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「憲法9条を変えると徴兵制は復活するのか?」「自衛隊は憲法違反なのか?」8党を代表する国会議員が徹底討論

心配される自衛権の範囲の拡大については「変わらない」

堀:
 クロストークです。自衛権の有り様については確かにもう少し伺ってみたいですね。たとえばアメリカも自衛権の中での活動範囲というのが非常に拡大していく。国連安保理決議を待たずとも自衛権の発動だという形でいろいろなことができてしまう。

 日本の関係性においてアメリカは非常に重要な国でもあります。まず挙手をいただきたいと思います。早かった玉木さん、船田さんの順で参りましょう。

玉木:
 船田先生にお伺いしたいんですけれども、いわゆる旧3要件、新3要件もそうなんですが、武力行使ができるひとつの基準が、昔ならば我が国に対する急迫性の侵害があります。他に取りうる手段がないです。やるなら必要最小限度です。

 こういう三つの大事な原則があったわけでありますけれども、今回自民党がまとめられた改正案、考え方では、自衛のための必要な措置を講じることができると。

 あるいは妨げないという表現だったと思いますが、必要性は書いているけれども、最小限ということが最後削除されたというふうにお伺いしておりますが、これはこれまでの自衛権の範囲が少なくとも量的には拡大するのではないかと読めるのですが、総理がおっしゃったように改憲しても全く変わらないのでしょうか、少し変わるのでしょうか。そこを教えてください。

船田:
 それは変わらないという答えであります。憲法第9条の一項、二項を残すことで、三項あるいは9条に自衛隊を明記するということにしましたけれども、その時に三項のところで必要最小限という言葉を使いますと、二項が意味しているところは、これは本来の必要最小限度がありますから、それが重なって最小限が二回表現されるということに繋がると思います。

 ですから二項を残す形で、三項目で必要な措置というのは、私はこれは順当な方法であり全体が変わるということには決してならないと解釈をしております。

堀:
 船田さんも先に手を挙げていらっしゃいましたけれど、船田さんは何を発言されようとされていましたか。

船田:
 私は枝野さんとかつて国民投票法を決める時に、途中まで一緒にやってきたわけであります。

 彼が現在は立憲民主党党首でありますけれども、その前に憲法9条を変えるならこう変えたいという、いわゆる枝野論文を出していると思いますが、その枝野論文について少し説明をいただけるとありがたいと思っています。

 そういうお話をされているのであれば、接点というのは少なくてもあるのではないか、話し合う余地は十分あるんじゃないかと思ってますが、そこをお聞きしたいと思います。

枝野:
 話し合う余地はありません。今も大きな間違いをおっしゃっている。今の自民党から出てきている第三項を書き加えれば、間違いなく新たな解釈が生まれて従来の際必要最小限の自衛権というのを超えて、必要な範囲であれば海外で、地球の裏側で戦争ができるという解釈になってしまうから。

 これはプロが読んだらはっきりしています。にもかかわらず、それをごまかしながら説明をしているようなところと真っ当な議論ができるはずがありません。それから私がかつて出した草案ではあれを議論する前提として、今の安保法制を廃止してください。

 なんならば集団的自衛権の部分行使は、私の書いている試案では憲法違反です。集団的自衛権は認められない。我が国の領土、領海が攻撃されなければ、我が国は武力行使ができないという内容になっていますので、それを前提に今のルールを変えていただければ議論の余地があります。

「必要な自衛の措置」には集団的自衛権も含まれる? 安保関連法の存在は?

堀:
 早かった福島さん、小池さん、大塚さんの順でいきましょう。

福島:
 変わらないと言うけれど、船田さんに質問です。集団的自衛権の行使をする自衛隊の明記ということでよろしいですね。

船田:
 集団的自衛権をフルにやるということでは決してありません。これは本当に急迫不正の侵害があり、そしてそれが第三国が受けた場合にそれをそのまま放置していたら、これは我が国の平和と独立に重大な明白な影響がある。

 こういう状況のみを考えておりますので、極めて限定されたものだと思います。

福島:
 集団的自衛権の行使は、憲法違反であり、安保関連法は違憲であると法律家のほとんどが言っています。違憲の安保関連法を作り、今の答弁でも集団的自衛権の行使を一部でする自衛隊ということであれば、今の自民党の案に何の限定もないですよ。

 フルスペックの自衛隊、フルスペックの集団的自衛権の行使をするように安保関連法を変えたら、変わってしまうのではないんですか。

堀:
 続けて小池さん、どうぞ。

小池:
 船田さんに正確にご説明をしていただきたいと思うんですね。自民党の案ではこう書いてあるんですよ。「必要な自衛の措置をとる。そのための実力組織が自衛隊である」と。

 必要な自衛の措置というのは、それ以外何も書いていないわけですから、先ほどの議論があるように、何の限定もないんじゃないですか。

 この必要な自衛の処置には、個別的自衛権のみならず集団的自衛権も含まれるということになるんじゃないですか。そこをきちんと正確に説明していただきたい。

 船田:
 先ほどから正確に説明しているつもりではありますが、要するに9条の一項、二項、とりわけ二項を残す、とりわけ手をつけないということは、そのことによって交戦権の否定、そして戦力を持たないということであります。

 ですからそれによって規定される自衛隊は、これは戦力ではない、戦力以下であるいうことであり、これが必要最小限度の実力部隊であると。このように私たちは解釈しております。

堀:
 大塚さん、どうぞ。

大塚:
 国重さんに感想をお伺いしたいのですが、自衛権は自然権です。個別的自衛権はもともと国が持っているものです。

 ところが集団的自衛権は1944年の国連を作ろうとしたダンバートンオークス会議にはなかったものが、その時想定していた集団的安全保障が冷戦構造によってうまく機能しないということから、1945年に盛り込まれた後天的な人為的な権利なんです。

 しかし日本の自衛隊は自然権である自衛権を行使するための自衛隊ですから、そのために自衛隊が頑張ってくれるのは当然のことなのですが、もし集団的自衛権を認める、あるいは集団的自衛権を行使するために自衛隊が活動するということになると、自衛隊の本来の役割と異なってくるかもしれない。

 この個別的自衛権と集団的自衛権の差。そして自衛隊が個別的自衛権、自然権を行使するための組織であるというのが私の意見なんですが、感想をお伺いできればありがたいです。

国重: 
 我々が平和安全法制で許容したものも、あくまでも自国防衛のための武力行使でありまして、他国の防衛それ自体を目的とする一般的な集団的自衛権は認めてないわけですね。

 憲法9条の解釈の根幹というのは、これは自国防衛にありますから。ここは論理の一貫性はあるということで。まるごとのフルスペックの集団的自衛権というのは、我が党としては認めるべきではないという考えです。

堀:
 丸山さん。

丸山:
 なんでこの会議がニコ超会議では本会議ではできないのかが不思議なのですが、しっかり枝野思案を出していただいて、審査会で議論しましょうよ。どうして出てこないんですか。

枝野:
 だから今の安保法制を撤回してください。前提を変えているのに、議論の土俵ができていません。

丸山:
 「撤回してください」じゃなくて、ご自身の案を出さないと撤回もクソもないじゃないですか。

枝野:
 私は案を出しています。そして現状ではこれを含めて9条を変える必要性はないと思っているので。変えるなら自分の思案だけれども。この考え方が国会の3分の2を超えたら出しますよ。

丸山:
 永遠に超えられないじゃないですか。

枝野:
 一度でいいから野党の提案について与党が単独で通したことがありますか。私の案は出す必要はありません。

堀:
 丸山さん、自衛権についてもぜひ。

丸山:
 自衛権はやっぱりわかりにくいんです。今の議論を聞いていただいても、テクニカルでわかりにくいなと皆さんも思われたと思いますので、しっかりわかりやすい条文で書かなきゃいけない部分だと私は思っているので。

福島:
 はい。

堀:
 福島さん。

福島:
 わかりやすいと言うけれど、自民党の案は何も限定がないんですよ。何にも憲法の案に限定がついていないから問題だと思っています。

丸山:
 おっしゃる通り。

福島:
 枝野さんがおっしゃる通りで、違憲の安保関連法を放置したまま9条を変えると、もうぐちゃぐちゃですよ。憲法規範がなくなっているところで、また何の制限もない自衛隊の活動、自衛権を認めたらどこまでできてどこまでできなくてどうなのかが、全くわからないんですよ。

 安保関連法を廃止してからやるべきです。

丸山:
 自衛隊の案も、結局公明党さんが加憲とおっしゃっているわけだから、それに忖度をして条文で出てきているんで。それがおかしいって、じゃあどうおかしくてどう変えるべきか。

福島:
 邪道としての安保関連法をやめてくださいよ。

玉木:
 すみません、ちょっと整理しますね。最初の話をします。自民党の現在の案の自衛のための必要な措置ですね。ここから導かれる解釈を教えてもらいたいんです。今ある急迫不正の侵害、他に措置がない、保有手段がない、必要最小限。

 これは現行の9条二項から導かれる解釈です。これはあくまで解釈でありますが、今度新たに付け加えるのは条文です。

 条文で明確に何の制限もない自衛のための組織と書かれますから、当然これまでの解釈で導かれたものを超える明確な明文規定がありますから、当然これは単にあとから書いたほうが優先するというだけではなくて、明確に何の制限もない自衛のための措置と書いてあるから、無限定の自衛のための措置を講じることができるようになると読むのが当然じゃないですか。

堀:
 船田さん、端的に言うと、おそらくこのあと武力行使の要件とかが変わっていく必要が出てくるんじゃないかという話だと思うんですね。そのあたりを含めて憲法改正後どうなっていきますか。

船田:
 やはり先ほどから言ってありますように、二項を残すということによって、二項の解釈としては、それは必要最小限である、三要件があるということは明白でございます。

 ですからそれを残して、そして三項あるいは9条の二項において必要な自衛の措置をとるということを書いても、それは必要最小でも阻止と同じ意味だと解釈します。

枝野:
 二項の解釈よりも三項の条文ができたら、そのほうが優越するなんていうのは、基本の基本じゃないですか。二項の解釈がありますからっていうのは、全く理由になっていないです。本当に解釈を変えないなら、今の解釈をがっつり全部書き込めばいいじゃないですか。

玉木:
 その通りで、船田先生は最高裁判所じゃないですから。だから明文が圧倒的に優先します。もし限定を書きたいのであれば、限定の条文になぜ書かないんですか。単に自衛のための措置と書いたら、それはフルスペックの集団的自衛権を含めた概念に当然なります。

アメリカの言いなりにはならない!? 憲法改正後は自発的に安全措置を

堀:
 ぜひ皆さんにお伺いしたいのですが、アメリカとの関係をどう築いていくのかというのは重要な点だと思うんですね。憲法改正したあと、しかしながら日米安保、アメリカとの様々な関係ある中で、単に一国で判断できない状況もいろいろ生まれてくるんじゃないか。

 まさに集団的自衛権の論点はそこにもあると思うのですが、アメリカとの関係については今後どのようなスタンスでいくのか、日本政府が憲法改正後、やるべきことはありますか。

船田:
 アメリカがこれからどのような状況を作るのか、あるいは世界の中でどういう軍事行動も含めて行動していくのか、そういうことはいろいろまだ予測ができませんけれども、しかしアメリカから言われて日本が平和安全法を持っているから、どこまでもアメリカについて行って諸外国で、自分たちの地域以外で、他の国の領土において何かをやるということは、これは絶対にありえないと思っています。

 そこは我が国9条に基づいた平和安全のための措置をしっかり守る。そこは自発的にやれることでありますので、そこは全然アメリカの言いなりとは全く思っておりません。

堀:
 小池さんに代表してもらって野党から一言。

小池:
 日本は今までアメリカの武力行使に一度たりとも反対したことがないんですよ。そういう国が今までは憲法9条があったから、実際の武力行使は拒否できたかもしれない。しかし必要な自衛の措置をとるというような条文の憲法になったら、「集団的自衛権は入ってません」と、そんな解釈をアメリカはしませんよ。

 日本に対して真正面から実際の武力行使を求めてくると。それを拒否できないような憲法になるんじゃないですか。

堀:
 大塚さん、一言。

大塚:
 アメリカとの関係、これは国民全員に考えていただきたいのですが、日米安保条約は安保のことだけを書いてあるわけじゃないんですよ。

 経済条項というのがありまして、両国間の通常経済の条件を整えると書いてある。こういう条約であることをみんなが理解した上で、今後の日米関係を考えていくべきだと思います。

堀:
 最後に船田さん、もしあれば。

船田:
 アメリカの解釈は出ると思います。変化もあるかもしれません。でも私たちの憲法は改正をしたとしても、我々が決めた憲法ですから、それをどう解釈するかは我々の立場でやるべきであります。

枝野:
 アメリカに言われて解釈を変えたのは、このあいだの自民党ではないですか。

堀:
 ぜひ国会で議論の続きを期待しております。

▼討論は下記プレイヤーの3:41:40からはじまります ▼

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