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「憲法9条を変えると徴兵制は復活するのか?」「自衛隊は憲法違反なのか?」8党を代表する国会議員が徹底討論

 2018年4月28日(土)・29日(日)に渡って幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2018」。超トークステージでは討論「日本国憲法」と題したトークセッションが、元アナウンサーでジャーナリストの堀潤さんの司会進行で行われました。

 セッションに登壇した8党の代表者は、自民党憲法改正推進本部船田元本部長代行公明党憲法調査会事務局国重徹次長立憲民主党枝野幸男代表希望の党玉木雄一郎代表民進党大塚耕平代表日本共産党小池晃書記局長日本維新の会丸山穂高政務調査副会長社会民主党福島みずほ副党首

 視聴者からの「9条を変えるとどうなるのか。徴兵制のようなものが復活するのか」という質問に、各党の改憲に対する見解がそれぞれ述べられ、激しい討論が行われました。

左から堀潤さん、社会民主党福島みずほ副党首日本共産党小池晃書記局長民進党大塚耕平代表立憲民主党枝野幸男代表、自民党憲法改正推進本部船田元本部長代行公明党憲法調査会事務局国重徹次長希望の党玉木雄一郎代表日本維新の会丸山穂高政務調査副会長

※登壇者の政党・役職名は4月28日当時のものです。

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自民・船田議員「徴兵制というのはありえない」

堀: 
 憲法改正論の中心的存在とも言われる9条ですが、こんな質問が事前にきていました。「9条を変えるとどうなるのか。徴兵制のようなものが復活するのか」という質問です。

  一足飛びに徴兵制とはいかずとも、国民一人ひとりが戦争というものに対してどう関わってくる時代になるのか、そういった不安から来た質問だと思われます。議論に入る前に念のため、私のほうで憲法9条を紹介しましょう。

 一、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 ニ、前項の目的を達するため、陸海空軍その他戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。こうした内容になっています。それでは各党の皆さんから1分ずつ見解をいただきましょう。まずは自民党の船田さんお願いいたします。

船田:
 答えはないですね。今までこうやって憲法に対する議論を一生懸命みんなでやってくれています。このことをもちろんここでも大事なんですけれど、国会の中でちゃんとやってほしい。これが私の願いでございますので、まず申し上げておきたいと思います。

 それから9条をどう変えるかによっていろいろと違いはあるかと思いますけれど、私たち自民党が示している憲法の改正の中では、これは今の自衛隊をそのままピン留めをして、等身大の姿で憲法の中に書き加えるということ。一項、二項はそのまま残すということであります。

自民党憲法改正推進本部船田元本部長代行

 こういうことを考えますと、このことによって徴兵制が採用されるということはまず考えられないことであります。実際にも世の中を含めて、世界のいろいろな軍事情勢というのは、素人が出て行って戦闘ができるという状態では全くありません。

 非常に高度化をしております。いろいろな形があります。ですから徴兵制というのは、あまり私は意味がないと思っておりますし、加えて憲法18条には国民はその意に反して苦役を強いられることはないということが書いてあります。

 この18条も合わせて読むことであれば、決して徴兵制というのはありえないと私は申し上げます。

立憲民主・枝野議員「海外で戦争できる自衛隊になる」

堀:
 続いて立憲民主党枝野さん、お願いします。

枝野:
 憲法18条の関係で9条に自衛隊が明記されたから、簡単に徴兵制になるとは私も思いませんが、一方で単に9条に自衛隊を書き加えるだけであったならば、それは従来の解釈がリセットされると思っていただいたほうがいい。

 つまりこれまでの専守防衛、集団的自衛権は行使しない、自民党をもってしてもそのごく一部しか行使しないというこの解釈はチャラになります。したがってもう一度新しい情報に基づいて、新しい解釈が積み重なることになる。

 その場合は単に自衛権、自衛隊を明記をしただけであるならば、集団的自衛権を含めた全面的な自衛権が認められると読まれるのが普通の法解釈であり、おそらくそういう解釈になることは防ぎようがない。

立憲民主党枝野幸男代表

 国会で「こういう解釈するんですよ」と、作る前にいろいろ答弁していても、それはその後の解釈に拘束力はないのは現在の日本国憲法の解釈からもはっきりしています。したがって自衛隊を明記するならば、これまでとは全く違った自衛隊になる。海外で戦争できる自衛隊になる。これは明言しておきます。

公明・国重議員「慎重に検討を」

堀:
 公明党の国重さん、お願いします。

国重:
 徴兵制については憲法上許されていませんし、その復活となるような憲法改正は全く考えておりません。我が党は憲法9条の一項、二項は堅持をすると。また9条の自衛の措置の限界は平和安全法制で定めましたので、それを超えるような憲法改正というのは反対です。

公明党憲法調査会事務局国重徹次長

 自民党さんが憲法に自衛隊を明記するというような提案をされておりまして、これは一部の自衛隊違憲論を払拭したいという思いから来ているもので、理解できないわけではありませんけれども、多くの国民の皆さんというのは、自衛隊を憲法違反の存在だとは思っておりませんので、自衛隊を憲法に明記する必要性、緊急性があるのか、またこれまでの自衛の措置の限界を超えるような体制にならないのか、慎重に検討していく必要があるものと考えております。

民進・大塚議員「国民の生命と財産の安全を守るために9条を守る」

堀:
 続いて民進党の大塚さん。

大塚:
 憲法9条が改正されたからといって、徴兵制がすぐ復活とか、そういうことはあまり心配していませんが、そもそも私たちは憲法に書いてあろうとなかろうと、自衛隊は合憲であるという立場でありますので、そういう観点から自衛隊の皆さんの働き、そして貢献には大変感謝をしております。

 その上で、この9条の一項に書いてあるように、国際紛争を解決する手段。こういう観点から自衛隊を行使することはあってはならない。自衛権を行使するための自衛隊。これは私たちは合憲の立場であります。

 いずれにいたしましても、国民の生命と財産の安全を守る。この観点から改正したことがマイナスになるようでは本末転倒ですから。

民進党大塚耕平代表

 国民の皆さんの生命と財産の安全を守る。そのために9条を守っていきます。

日本維新の会・丸山議員「次世代のためにも不透明な部分を変える議論を」

堀:
 日本維新の会の丸山さん。

丸山:
 9条は先ほど読んでいただきましたけど、非常にわかりにくいと思います。

 戦力を持たない、これを保持しない、国の交戦権はこれを認めないと書いてあるのに、実際にはまあ自衛隊が存在するということで、本来わかりやすくなければならないはずの憲法がパッと見て国民の皆さんから見ても「あれ? 自衛隊とこの条文との関係はどうなっているの?」というふうになっていますので、このおかしな状況を改めていくというのは非常に大事な部分だと思います。

日本維新の会丸山穂高政務調査副会長

 徴兵制に直接的に結びつくことはないと思いますし、何よりも今の条文のままで置いておくほうが余計に不透明であって、よくない状況だと思いますので、しっかり次の世代ためにもこれを変えていくという議論は前に進めていかなければいけないと我が党としても考えておりますので、ぜひ他の党の皆さんも積極的に議論に乗ってきていただきたいと思います。

共産・小池議員「徴兵制が復活することはありうると思う」

堀:
 共産党の小池さん、お願いします。

小池:
 今の憲法のままであれば、絶対に徴兵制は復活できません。同時に憲法に自衛隊を書き込んだら、自動的に徴兵制が復活するかと言うと、そういうことはないと思います。

 しかし憲法9条に自衛隊が明記されて憲法上の公共性が与えられることになれば、徴兵制のための法律を作ることが可能になるし、その結果、徴兵制が復活することはありうると思います。

日本共産党小池晃書記局長

 やはり海外で無制限に武力行使ができるようになってくれば、自衛隊の志願者が減っていく可能性もある。そうすると徴兵制復活の動機としては生まれてくる。そういうこともありうるのではないかというふうに思います。

 先ほどからのお話で与党のほうは「何も変わらない」と言うけれども、だったら何のために憲法を変えるのかということになるわけで、何も変わらないわけがないんですよ。

 やはりきちんと自衛隊を書き込んでしまったら、これは個別も集団もなく自衛権行使できる別の自衛隊になる。そうすれば徴兵制も含めて新たな議論がはじまることになります。

希望の党・玉木議員「議論すべきは自衛権の在り方」

堀:
 希望の党の玉木さん、お願いします。

玉木:
 9条を変えたらそのまますぐ徴兵制になるとは思いませんが、今自民党で安倍総理の案として検討されている自衛隊を明記する案に私は反対です。

 議論すべきは自衛権の在り方であって、我が国の自衛隊がどこまで何ができるのかということをしっかり憲法上、法律上でも議論を深めることが大事であって、ただ組織の名前を書いてもその書いた組織がどこまで何ができるのかが特に9条ニ項の戦力不保持を残したら、結局またこれまで延々続けてきたどこまで何ができるんだという議論が続くわけです。

希望の党玉木雄一郎代表

 ですから憲法上、自衛隊ではなく自衛権の議論をしっかりすることが大事であって、そして必要であればその制約をしっかり書き込んでいく。そういった議論を国民とともに進めていくことが大事だと思います。

社民・福島議員「経済的徴兵制は起こりうると思う」

堀:
 社民党の福島さん、お願いします。

福島:
 憲法9条に自衛隊を明記した場合に、自衛隊の自衛権に集団的自衛権の行使が入るのかっていう質問を安倍総理に去年11月予算委員会でしました。総理の答えは「はい、その通りです」ということなんです。

 憲法9条の一項、二項の解釈を変えて、集団的自衛権の行使を限定的にやれるようにしました。そのままです。

 つまり憲法9条に自衛隊を明記することは、災害救助の自衛隊でも国土防衛の自衛隊でもない、世界で戦争できる集団的自衛権の行使の明記であると、総理大臣自身が答弁してるんですね。

 ですから違うんですよね。戦争しない国から戦争する国に変わる。そして軍事裁判所や憲兵隊を必要とする、そうなると思います。徴兵制一足飛びにいかないかもしれない、でも経済的徴兵制は起こりうると思います。

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