「オタクは引っ越しでぼったくられている」オタク特化の不動産会社代表が語る業界の裏側
オタクが重視する物件の条件
──もこうさんやこーすけさんなどの有名実況者の方々にも物件を紹介しているとお聞きしているのですが、どのようなきっかけで彼らの物件案内を引き受けることになったんですか?
平田:
もともと知り合いだった方もいますし、口コミで広がってから直接連絡があって……という方もいました。
──サイトで紹介されている方以外だとどのような方に紹介したとか、お名前出せる方とかいらっしゃいます?
平田:
GameWithのくすきさんや有名実況者のあぽろさん、『シャドウバース』世界王者の紅茶さん……ほかにもたくさんいます。
──『シャドウバース』関係の方が多いイメージですね。
平田:
僕自身が『シャドウバース』をプレイしていることもあって多いですね。ほかにも格闘ゲーム関係の方が少しずつ増えています。
──それは昔の知り合いだったり?
平田:
含めてですね。知り合いを通じて口コミで広がっていって「昔、格ゲーで全国に出ていた奴がいま不動産の仕事をやっていて、すごいいい感じだよ」と紹介してくれているみていで、声がかかっています。
──ゲーム実況者の方って物件を探すとき、やっぱり防音を重視するんですか?
平田:
そうですね。配信者の方々は音をけっこう出されるのでそこは気にしますね。
──音をちゃんと対策したい場合ってどういう物件が適しているとかあるんですか?
平田:
防音の部屋じたいは、うちではなくどの不動産会社でも「じゃあ防音の部屋にしましょう」という紹介はできるんですが、それでは意味がないんですよね。というのは、防音の部屋ってめちゃくちゃ高いんですよ。そうすると金額との相談になりますし、本人の住みたい部屋と違ってきてしまうんです。
──なるほど。平田さんのところだとどんな物件を紹介するようにしているんでしょう?
平田:
マンションタイプで音の響きにくいところを選んでいます。アパートは木造なのでどうしても音が響いてしまうので。あとは部屋どうしが離れていて音が届きにくい構造をしているとか、防音設備以外の部分で工夫して物件を探します。
──アパートはダメなんですね。
平田:
アパートはどうがんばってもダメです。実況者や配信者で音を出す方はアパートは選ばないほうがいいですね。
──実況者じゃなく、ふつうのゲーマーだったりコスプレイヤーだったりだとなにか求めるものって変わってきたりするんでしょうか?
平田:
格闘ゲーマーの方はアケコンの音もあるので音を気にする方が多いです。仕事が終わった後の夜中にプレイすることもあるので。
コスプレイヤーさんは収納ですね。衣装の数がものすごい量なのでクローゼットの大きいタイプの部屋を希望されます。あとひとり住まいなのに衣装を作る部屋が必要だと、1Kではなく2Kと衣装部屋を用意するんですよ。
──そうすると当然家賃も高くなってしまいますよね?
平田:
上がってしまいますね。だから都心からは少し外れたところで探したりします。
──ふつうの会社員の方だと、勤務先の近くとか駅からの距離を優先すると思うんですけど、重要視するポイントがまるで違うんですね。
平田:
そうなんですよ。オタク趣味を持っている方々って仕事より自分の趣味を優先することが多いんです。イベント好きでライブ会場の近くに引っ越した方もいましたね。
──ほえーすごい。完全に趣味>仕事の世界なんですね。
平田:
こういう趣味の部分で重要視したい条件って、通常の不動産では伝えにくい部分ってあると思うんですよ。たとえばコスプレが趣味で「コスプレの衣装作りの部屋がほしい」とか、有名実況者で身バレを避けるためにセキュリティがよく1階じゃないところとか。
昔は引っ越す度に住所特定されて視聴者に聖地巡礼されまくってた僕ですが
— もこう (@mokouliszt) 2018年6月17日
ここで引っ越しをさせて頂いてから特定されなくなりました。
今、家探しをしてる方に本当におすすめです。
https://t.co/pCXrUIrSQ3 pic.twitter.com/mCvEHCxaK2
──他人には隠したい一面ですもんね。とくに有名な実況者の方は芸能人のようにファンがいるのでたいへんそうです。
平田:
もこうさんが実際にあった話なんですが、物件を管理している人が鍵の受け取りか何かで会うことになったらしいんですよ。そのときに、「勘違いかもしれないけど会った人が笑ってた」と言っていて。
──そこから住んでいるところが拡散される……なんて可能性ゼロじゃないですよね。
平田:
ゼロじゃないです。これが銀行なら違うんですが、不動産ってどこか情報管理がザルな部分があるんですよ。仲介会社はとくに教育をしっかりしているところが少ないので可能性が高くなります。
損をしないための防衛として活用してほしい
──実はインタビューの前に、実際に物件案内を体験させていただいたんですが、非常にスピーディーで驚きました。1日丸々拘束されるのかと思っていたら、距離が近かったのもあるかもしれないんですが、だいたい全部で3~4時間で終わってすごく楽でした。
平田:
それはなによりです。でもこれがふつうなんですよ。
──いっしょに回ってくれた方、最初なんだこのイケメンって思ってちょっと気が引けたのですが、『グラブル』と『ウマ娘』の話題で盛り上がりながら楽しく物件見ることができました。
平田:
うちのスタッフはみんなオタクですよ。全員コスプレもやったことあります。
──そうなんですね。やっぱりオタクであることも採用理由に入っているんですか?
平田:
そこはとくに意図があるわけではないんですが、営業感の強いゴリゴリな方とかは避けています。物件案内で長時間いっしょにいるのに会話の話題が合わないのも困るじゃないですか。
──本当にそうです。オタク会話できたおかけですごく楽しく回れました。
平田:
実際のお客さんからも、半日くらいの物件案内でオタクなトークできたのがすごいよかった、という声はいただいています。
──ちなみに、“株式会社グランツアセット”を利用すると、ズバリ何がお得なんでしょう?
平田:
当社Twitterをフォローしていただくことが一応条件なんですが、仲介手数料を50%オフでやらせていただいてます。通常の不動産では言いにくい趣味で優先したいポイントも僕たちなら最初からオープンでお手伝いが可能です。
──敷金礼金家賃が安くなったりはしないんですか?
平田:
聞かれることが多いですね。オタクだったら家賃下がる? って無茶を言うなと(笑)。そのあたりはオーナーさんが決めるものなので僕らのほうではどうしようもないんです。
──そうなんですね。僕もてっきり安くしてくれるんだと思ってました(笑)。
平田:
値段を安くするというサービスより、過剰に請求されない防衛があくまで目的だと思っていただければと思います。
──ありがとうございます。最後にいま引っ越しを考えている方や、この記事を読んで“おたくのやどかり”に興味を持った方へメッセ―ジをお願いします。
平田:
まず基本スタンスとして、無理してうちを使わなくてもいいよ、というのは第一にお伝えしたいです。あくまでひとつの選択肢として、みたいな感じですかね。
別に使わなくてもいいけれど、うちに来たら満足させられる自信はあるので、引っ越しの際の選択肢のひとつとして思っていていただければ。あと、僕個人的にけっこうTwitterでブラックジョークを言うのでそれを容認できる方のほうがいいと思います(笑)。
■物件を探したい場合は
“おたくのやどかり”サイトページから問い合わせ。完全予約制なのでご注意を。
賃貸だけでなく家の購入も相談可能。
基本的にラインでのやりとりになります。スタッフのスケジュールにもよりますが、2~3日中に連絡がいきます。