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“第二の月”が今年7月、地球に接近!? 新しく観測された謎の天体に「ロマンのある話だな」「SFのネタになりそう」の声

 今回紹介する、スカイ三平さんが投稿した『【ゆっくり解説】月が増えた?第二の月について解説します』では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、新しく観測された第二の月と称される天体と過去に観測された天体を解説していきます。

投稿者メッセージ(動画説明文より)

天文業界が騒然!衝撃!愕然! したか知らないけど
第二の月ってなんだろう
新しく発見された天体2020 CD3について解説します
過去に観測された主な第二の月観測も一緒に解説します


最近発見された第二の月とは

左から霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)博麗霊夢(はくれい れいむ)

霊夢:
 第二の月について歴史も交えて解説していきます。今回、新しく発見されたのは2020 CD3という天体です。アメリカのアリゾナ大学にある月惑星研究所がカタリナ・サーベイ(天文台)で発見しました。 

魔理沙:
 いつ発見されたんですか?

霊夢:
 2020年2月15日に発見しました。その後、2020年2月25日に小惑星センターが仮符号【※】をつけたから各種報道によって広まった感じです。

※仮符号
主に太陽系内で新たに発見された天体について、発見直後に命名される暫定的な呼称。

魔理沙:
 そうなんですね。しかし、月がもう一つ増えるだなんてなんか幻想的だよなぁ。夜がますます明るくなりそうだ。

霊夢:
 なに言ってるの? 新しく発見された2020 CD3は直径が1.9mから3.5mだから月と比べてはるかに小さい。

魔理沙:
 第二の月って言うから、めちゃくちゃ期待してたんだが……。月みたいに太陽の光を反射したりしないんですか?

霊夢:
 太陽からの光を反射する値を定めたアルベド(アルベード)というのがあるんですが、月のアルベドは0.136くらいで、2020 CD3のアルベドは今のところ0.03前後らしいです。

魔理沙:
 それって数値が低いほうが暗いんですか?

霊夢:
 そういうことですね。2020 CD3は、C型小惑星と推測されてて、C型のCは炭素のC(Carbonaceous)なのですが、炭素系が多いと反射率も暗くなってしまうから暗く見えてしまいます。

 2020 CD3のアルベドは、一般的なC型小惑星のアルベドとそんなに違わなくて自然物の可能性が大きいのは間違いないんですけど、まだ人工物の可能性を完全に排除できていません。

霊夢:
 
これは、ハワイのマウナケアにあるジェミニ天文台が観測した2020 CD3なんですけどね。

魔理沙:
 
点だな……。

 直径が数メートルでも、こうやって見えるのは天文台がすごいのか、天体がえらく近いのかだな。 

霊夢:
 地球まで、平均334万751kmくらいですね。地球と月の平均距離が38万4400kmくらいだから8倍から9倍くらいの感じです。

魔理沙:
 宇宙規模で考えると近いですね。でも、高度(距離)からして人工物の可能性は無いと思うんだけどな。

 第二の月とされている2020 CD3の小ささに「畳1枚分w」「石ころじゃないか・・・」「つーかある程度大きかったらとっくの昔に見つかってる」と驚きを隠せないコメントが多数寄せられました。

アポロ12号の残骸が第二の月!?

霊夢:
 人工物を否定する材料は、スペクトルです。例えば、J002E3という物体は、2002年に、香港出身のカナダ神であるアマチュア天文家の楊さんが発見した小惑星です。

 その後の観測で、地球を周回していることがわかりました。

魔理沙:
 ということは、第二の月ってこと?

霊夢:
 そうですね。それにJ002E3と同じ軌道を通る人工物は無かったです。

 月以外に地球を周回する大きな天体は他に無かったので当時の天文学者や天文業界は驚きました。

魔理沙:
 月以外の天体が、地球を周回するのは難しいんですか?

霊夢:
 太陽と月、地球からの摂動【※】の影響を受けるので地球周回軌道から外れてしまうんです。

※摂動
太陽系の諸天体が他の惑星の引力で楕円(だえん)軌道からずれること。

魔理沙:
 では、どうやって人工物とわかったのですか?

霊夢:
 アメリカにある天文学者が、J002E3から反射してやってくるスペクトル特性を分析してみたらアメリカのアポロ計画のロケットであるサターンVに使われた塗料(二酸化チタン)と一致しました。

 それと、軌道情報から過去の軌道を計算すると1970年頃から太陽周回軌道を回っていて、翌年くらいには地球に接近していたことも分かりました。

霊夢:
 こうした情報からサターンVの残骸情報を照会してみるとアポロ12号で使われた3段目ロケットのS-IVBロケットである可能性が高くなりました。

魔理沙:
 ロケットの残骸かよ。

霊夢:
 ちなみに、この残骸(J002E3)は2003年に地球周回軌道を外れましたが、2032年ごろにまた地球周回軌道に乗る可能性があります。

 こういったことから人工物であることを完全に排除できません。

魔理沙:
 他に、詳しく観測してみたら人工物だったことがありますか?

霊夢:
 他には、6Q0B44Eというのがあって、2006年にカタリナ・スカイサーベイが発見しました。

 軌道を調べてみると、地球周回軌道に乗ってて地球から、およそ58万キロから100万キロのところにあるのが分かりました。

魔理沙:
 えらく範囲がありますね。

霊夢:
 数メートルという小ささと絶対等級【※】は30等級という暗さで観測を続けることも難しい状況でした。

※絶対等級
天体が仮に我々から見てある基準となる距離にあったとしたときの、その天体の視等級(見かけの等級、m)である。

魔理沙:
大きさと暗さが第二の月と似てますね。どうやって人工物とわかるんですか?

霊夢:
 密度を測定してみたら立方メートルあたり、15kgしかなくて自然の天体にしては密度が低すぎで、この低い密度は、空の燃料タンクと似ていて人工物の可能性が大きいとされています。

魔理沙:
 なんのロケットのタンクなんですか?

霊夢:
 今のところは、アポロ12号を打ち上げたロケットのタンクとされていますが、小さくて暗くて遠いので特定断定には至ってません。

 アポロ12号のロケットのタンクという人工物の可能性が示唆されるのに対して「それはそれでロマンある話だな。半世紀前のロケットが周回軌道を漂ってるって。」「なんかSFのネタになりそうだ」「回収できたら博物館物だな」といったようなロマンに想いを馳せるコメントが多数寄せられました。

地球に接近する新しい物体の正体とは

霊夢:
 2009年9月に、カタリナ・スカイサーベイが地球に接近する新しい物体を発見しました。

魔理沙:
 またカタリナ・スカイサーベイか。

霊夢:
 地球と、ほぼ同じ公転軌道を回り、公転速度も地球と秒速140mほどしか変わらず、直径は3mから6mほどの大きさで絶対等級はおよそ30等級という暗さ。

 当初は、人工物だと思われていました。

霊夢:
 しかし、観測を続けた結果、軌道のズレを詳しく計算すると空のタンクのものとは明らかに違っていて人工物ではない、天然の物体である可能性が大きくなりました。

 発見から17ヶ月後に、天体に命名される仮符号2006 RH120が付けられました。

魔理沙:
 どこからか、太陽系の外から飛来してきたのですか?

霊夢:
 1番支持されてる説は、月に小惑星が衝突したときに飛び散った破片が舞い上がって軌道に乗ったと考えられています。

魔理沙:
 でも、それだったら他の破片もあっておかしくないですよね。他の破片は?

霊夢:
 シミュレーションでは、50個ほどの大小の破片が飛び散って地球周回軌道に乗ると推測されていますが、大きさが1m以下、50cmにも満たないものが大半なので発見観測するのは難しいです。

魔理沙:
 ちなみに、その2006 RH120は、今どこにいるんですか?

霊夢:
 地球までおよそ、3156万5151キロの距離にいます。

 地球が外側、その2006 RH120が内側なので2020年7月くらいには1765万2549kmまで接近します。

霊夢:
 そして、今回の2020 CD3は観測史上、先ほど解説した2006 RH120以来、地球を周回する月以外の天体となる可能性が大きいから第二の月として報道されているというわけです。

魔理沙:
 今後どうなるんですか?

霊夢:
 しばらく、地球の周りを回って来月くらいには離れていくと推測されていますが、推測通りに絶対とは言い切れませんね。

 だから、今も色々な天文台や天文学者が観測調査をしています。

魔理沙:
 地球に衝突する可能性は?

霊夢:
 まだ分かりませんが、観測した直径1.9mから3.5mが正確なら大気圏に突入しているときにバラバラになって地球への影響はないと思われます。

 2020 CD3が地球を周回する月以外の天体として第二の月になる可能性が大きいということに対して「第二の月なら100万年くらい周回して欲しわ」「仮に直撃コースでも余裕で大気で燃え尽きる程度だもんな」といったコメントが寄せられました。

 二人の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます▼

【ゆっくり解説】月が増えた?第二の月について解説します

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