ジブリ新人アニメーター募集の目的は“伝統芸の継承”? 「宮崎駿監督の最終作を一緒にやったとなったらアニメーターにも泊が付くよね」マンガ家が考察
宮崎駿がディズニーに入社したら
山田:
【※】大塚康生さん。あと【※】ジョン・ラセター。【※】鈴木敏夫さん。
※大塚康生(おおつかやすお)
島根県出身のアニメーター。日本におけるアニメの創成期から第一線で活躍し、宮崎駿や高畑勲と組んでルパン三世』『パンダコパンダ』『未来少年コナン』などを手がける。軍用車両に造詣が深く、ジープマニアとしても有名
※ジョン・ラセター
米国のアニメーション作家。『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』などなどで監督、総指揮を担当。ジブリ作品が米国で公開される際には宣伝活動、翻訳総指揮を行っている。大のジブリファンとしても有名で彼の仕事部屋はジブリグッズで埋め尽くされている。
※鈴木敏夫(すずきとしお)
ジブリのプロデューサーであり、代表取締役。宮崎駿の右腕としても有名。1989年にジブリ入社後は全作品の映画プロデューサーを努めている。大の中日ドラゴンズファン。
山田:
ナウシカの話、宮崎さんがしてさ、あんなもの作れないと言っていたからナウシカはつくれないんだよ。彼自身。策がないんだよ本当は。
こういう時は、もうね、拉致ですよ拉致。ディズニーに送る。そうするとそこには、ジョン・ラセターが待っているんだよ。「ハヤオ、…。」みたいな。
山田:
そしたら「日本の興行を忘れる」「鈴木敏夫を忘れる」
乙君:
鈴木敏夫も忘れるの? やっぱり。
山田:
問題は、敏夫がそうなるとだまっちゃいないですから。
乙君:
だまっちゃいないですね。
山田:
ジョン・ラセターというのは、ディズニーのボスであり、ピクサーのボスです。
そして駿信者であり、駿の友達ですから。駿がモノを作る時に、ラセターに見せられるかな? と思いながら作るでしょ?そこで、敏夫に伝令が行きます。
「すみません。駿さんのために、一番よくわかってくれるあなたが、メンタルトレーナーとして、ディズニーに入ってもらえませんでしょうか、鈴木さん」
「駿のことなら任せろ」と鈴木さんは思っているから。で、ディズニースタジオに鈴木敏夫合流ですよ。なかなかいいチームが出来たでしょ? そしたら「ここちょっと矛盾あるよね?」とか、みんなで考える。こういう場に宮崎駿を置いてみ。孤独じゃなくなるんだよ。
乙君:
そうなっちゃう。
山田:
そしたら駿やる気満々ですよ。そしたら、さっき言っていた大塚康生さんは何かって、この体制を作った時に、要するに駿はディズニーというアウェイに放り込まれているわけだよ。
乙君:
そうですね。
ラセターが途中で宙ぶらりんにしている企画を宮崎駿にやってほしい
山田:
ここで、『ルパン三世 カリオストロの城』作っちゃいます。本当はカリオストロの城は、大塚康生さんがやる予定だった。大塚さんはルパンのファーストシリーズという奇跡のような名作を作った後に、作んなきゃいけなかった。カリオストロを。
やだなー、もういいかな。となって、ちょっと駿やれよと言われて、駿が作ったのが、あの『ルパン三世 カリオストロの城』なんだ。
だから、俺は、ラセターに大塚をやってもらいたいわけよ。ラセターの途中で宙ぶらりんになっている企画を、「ちょっとさ、ハヤオさ、これやってくんないかなー。100億出すからさー。」みたいな。
乙君:
ディズニー資本だからね。
山田:
ありでしょ!? 日本のアニメーターブラックだとかなんとか言って、つまんないことでガンガン叩かれているおじいちゃんが、一気にお金のことは考えなくていいんですよ! これミラクル起こっちゃう!
最後にひとつ言いますけど、僕のリクエストあります。何を描いてほしいかというと。
乙君:
なんでしょう?
山田:
俺、宮崎駿名言集をいっぱい見ていてね、特に好きなのがね。NASAを批判しているやつなの。
「すぐにアメリカのNASAとかは、火星に住むとかバカなことを言いだすじゃない。あんなとこ人が行ってどうするんだ。そんなことよりもサハラ砂漠に住めよという話じゃん。サハラ砂漠で人が幸せに住むようなことにお金を使った方がいいに決まっているんじゃねえか、なのにすぐに外に行こうって、これってさ古い女じゃなくてさ常に新しい女が良いって言っているんだよね」という発言を駿は言っているんですよ。NASA批判ですよ。
乙君:
なかなか、するどい指摘ですね。
山田:
NASAを批判する少女の話(笑)。
アメリカ人がそれを見るわけだよ。ディズニー作品として駿の監督。そしてNASAがやっていることは、ちょっと違うんじゃないですか? というメッセージをバーンとして、最後に言いたいよね。
「盗んだのは、アメリカ人の心です。」
乙君:
おー、おめでとう!
山田:
ありがとう!