「トランプ氏は不祥事を起こしても支持率が低下するとは限らない」ジャーナリスト・神保哲生氏がトランプ政権の持つ特異性を解説
ロシア政府がトランプ大統領と共謀していた疑惑について捜査を行っていたところ、突然解任を言い渡されたFBI前長官のコミー氏。
コミー氏は6月8日に議会の公聴会で証言を行い、大統領から捜査への妨害はあったのか、議員達の質問に答えました。
公聴会の配信に合わせて、ジャーナリストの神保哲生氏が実況解説を実施。(今回の議会は)「トランプ氏は不祥事を起こしても支持率が低下するとは限らない」と語りました。
共和党上院議員によるコミー氏への質問
~神保氏が通訳する議会中継~
ブラント:
もし大統領が解任にしなければ、あなたは自分からは辞めていなかったと思いますか。
コミー:
自分からは辞めていないと思います。
ブラント:
あなたは大統領から非常に問題のあることを言われたんだけれども、それでも通常通り登庁してきたのですか。
コミー:
そうです。
ブラント:
あなたは大統領に、「大統領個人は捜査の対象になっていない」、ということを2月11日と3月30日に2回言ったわけですね。
コミー:
そうです。
ブラント:
要するにあなたは、大統領が非常に問題のある命令を出していると思っていたのに何もしなかったということですね?
コミー:
私としては何もしないことが最も重要な対応でした。
ブラント:
あなたはフリン氏(元大統領補佐官)が副大統領にロシアとの接触について嘘をついたということが問題だと言っていますが、それは議会にも嘘をついたということを意味しています。あなたは大統領に対してフリン氏の捜査について情報を提供したことはありますか。
コミー:
大統領から「彼は良い奴なので捜査をしないでくれ」と言われたんだけれども、我々はそれについては何もしない。その情報はそのままにしておくと決めた。
ブラント:
あなたはそれを報告する責任があったとは思いませんか。
コミー:
どこかの段階でそれを報告しなければいけない時が来る可能性はありますが、(私は)実際に司法長官に報告をしているわけです。
ブラント:
司法長官を追い出して1対1になったときに大統領と1対1になりたくないと言っておきながら、その後大統領と2回も電話で話していますよね。それはなぜですか。
~神保氏の通訳終わり~
トランプ擁護の姿勢を見せる共和党
神保:
要するに質問をしているのは共和党の上院議員なので、「色々問題があると言っておきながら、何度も大統領と会っているし、今になってそれは問題だと言っているけれど、そのときは何もしていない、本当にそのときに問題だと思っていたのか。解任になってから問題があったと言い出しているのでないか」そういう文脈で質問をしています。
神保:
残念ながら(我々は)党派性のあるやり取りを見せられていると考えるべきだと思います。実際にトランプ大統領が捜査妨害したのかどうかをコミー前長官に聞くのが趣旨なのですが、共和党の議員はコミー前長官の信用性はあるのか、大統領は具体的には捜査妨害と言えることは何もしていないんじゃないか、という発言を引き出そうとしています。
もちろん中立的な議論のために色々なアングルから質問をするというのは重要なんですが……。
(趣旨としては)大統領が、今回のようなことが起きて、しかもその捜査をしようとしている人間を罷免するということや、それ(罷免)に至るまで3度も捜査をやめろとか捜査に手心を加えろとか言ってきたうえに、それに従わなかったから罷免にしたのでは? というわけですね。
神保:
捜査妨害にあたる可能性があるのか調査するという趣旨だったはずが、始めの趣旨とは少し違う。それは議員達がこの放送を見ている有権者を意識して発言しているからです。
つまり、「トランプを切る」という言い方はおかしいですが、「トランプを徹底的に調査しよう」という立場を採ることは共和党にとって、政治家にとって、選挙区的にとってはまだまだプラスにならないということです。何が正義かはもちろん大事だが、やはり政治なので党派性というものを排除できない、ということを今日は感じます。