夏だし怖い話でもしてみないか? 明日から使える「怪談の方程式」専門家が“怖い”を生み出すロジックを解説
8月3日の「闇の日」に開催された『洒落(しゃれ)にならない怖いワークショップ【ニコニコワークショップ】』。ホラーサイトをプロデュースする株式会社 闇の頓花聖太郎さんと大原絵理香さんをスタジオに招き、『トイレの花子さん』を題材に「どうして人間は怖く感じるのか」を解説していただきました。
生徒にはゲーム実況者の愛の戦士さん、九血鬼さん、SHIRAHANさん、RYOさんが登場。今年の夏は身の毛もよだつ怖い話を聞いて涼んでみてはいかがでしょうか。
株式会社 闇ってどんな会社?
愛の戦士:
ではまず、株式会社 闇とはどのような会社なのでしょうか。
頓花:
ホラーとテクノロジーを使ってイベントやサイトを作る会社です。実際にどういう仕事をしているのかと言いますと、ヤフー株式会社さんとゲームソフトの『バイオハザード』とコラボして実際にゲームができるサイトを作ったり、深夜廻というホラーゲームのサイトを作ったり、最近ではよく聞くようになったVRもやっています。
頓花:
あとはお化け屋敷の技術協力をやっています。ひらかたパークのお化け屋敷、あとはイベントもプロデュースしておりまして、ホラー合コンの「ホラコン」やユニバーサル・スタジオ・ジャパンのホテルのホラールームをプロデュースしています。
愛の戦士:
闇さんの公式サイトもいろいろ仕掛けがあるようですが、サイトはどうやって作っているんですか。
頓花:
まず日本で一番怖い企業サイトを作ろうというところからはじまりました。お化け屋敷をウェブで体験できるようなものを作ろうというのがコンセプトです。すごく無駄なこだわりがありまして、例えばHTMLにサイドストーリーがあったり、実際につながる電話番号が出てきたり、モデルさんは実際に首吊りをした状態で撮影しています。
一同:
すごい!
頓花:
あと僕は幽霊を美しく作りたいという思いがあります。これがメイク前のモデルさんです。
一同:
かわいい~。
頓花:
そしてこのように盛りに盛って、かわいらしく仕上がったんじゃないかと思います。
RYO:
違う方向に盛ってるじゃないですか! これは……かわいくない!
愛の戦士:
RYOちゃんはどれがタイプ?
RYO:
……左上。
愛の戦士:
ですよね(笑)。
九血鬼:
自分は真ん中かな。
愛の戦士:
さすがだな(笑)。ちなみにサイトを作るのはどのくらい時間がかかりましたか。
頓花:
撮影から実装まで一か月弱、地獄でした。
RYO:
こういうサイトを作っているときに、何か起こったりしませんでしたか。
頓花:
深夜に作業をしているとミシミシっていう音がするんです。でもそれは大概、社員のいたずらなんですけどね(笑)。
怖い要素×信ぴょう性×自分との距離感=洒落にならない怖い話
頓花:
では、怖い話はどう作っていけばいいのかについてお話します。当たり前ですが、怖いと思うから怖いんです。どういうことかと言うと、想像力なんですね。いかに相手の想像力を暴走させられるかです。そのためのロジックがありまして、僕がいつも考えている公式を紹介します。
頓花:
つまり「怖い要素×信ぴょう性×自分との距離感」で成り立っていると思います。具体的に言うと黒い影が見えるとか、そういったゾクっとする話です。しかしそれだけだと怖くないので、実際に自分が体験したこととか、友達が体験したことという信ぴょう性。その上で、自分との距離ですね。遠い地方で起こった話だと、そこまで怖くなりにくいので「今、聞いているあなたが呪われるかもしれない」という距離感を意識してあげると怖くなるのかなと思っています。
怖い話のよくあるモチーフって、村の伝統とか、事故とか、夢で何かを見た、子どもが何かを言ってきた、日常のすきま、お風呂に入っているとき、ベッドの下などが挙げられます。これはどういうことかと言うと、下図の左側は信ぴょう性を高める効果を出しています。
頓花:
図の右側は自分との距離を縮めていますね。夢は毎日見るし、お風呂にも毎日入りますよね。そんな身近なところで怖いことが起こったら、今夜のお風呂が怖くなるかもしれません。ですので、よく使われるモチーフにはそれなりの理由があるんです。同じ怖い話でも信ぴょう性があるとか、距離感が近いとかで、印象がかなり変わるんです。ではこのマッピング図を見てください。
頓花:
信ぴょう性があるけど自分から距離が遠いと、いわゆる怪談ができあがるし、信ぴょう性と自分との距離を縮めてあげると、洒落にならない怖い話ができあがるんです。