『Re:ゼロから始める異世界生活』はどうやって楽しめばいいの? という素朴な疑問に答えてみた
俺はここを評価している!
岡田:
上手いなと思ったのが、何の能力もない奴が、どうやって状況を良くして、ヒーローっぽくなっていくのかと思っていたら、「ひと通り全部失敗したから大丈夫!」っていう方法は、見たことがなかった(笑)。俺はそこのところを評価しているんだよね。
つまりストーリーラインとして画期的だと思う。いわゆるアドベンチャーゲーム的というか……ゲーム的に全てダメな部分を潰してから王道を行くっていうのはさ、美味しいものを最後にとっておく的なやりかたなんだけど、ヒーローの描き方としてこういうのがあるなと思いました。
ところが後半にこいつがその「ヘタレ属性」で最終話に向かって加速していくと……具体的に言えば白鯨という空中を飛んでいるクジラみたいな奴がいるんだけど、そいつを退治する辺りから、何やら立派な奴になってくる(笑)。そこら辺で「燃える展開」というやつになるんだよね。だから好きな人はその「燃える展開」に、ものすごく乗れるわけ。
岡田:
こんなに、「細かく殺される話」っていうのはあんまり見たことがなくて、もともとアメリカの『リプレイ』っていうSF作品があるんだ。その辺が「死に戻り作品」の典型的な元祖みたいなやつだと思う。それでも、やっぱり少なくとも数年間生きて戻るんだけどね(笑)。
リゼロは「感動巨編」になるか「ただのハーレムアニメ」になるか
岡田:
『リゼロ』をどう楽しめばいいかというと……難しいね。これに乗れないのもわかるんだよ。確かにウザいはウザいし……あと死ぬ展開でいくつか手を出した後は、周りの人間がどんどん全部イヤな奴になってきたり、主人公のスバルっていう奴も、周りの人間に「俺の言う通りにすればいいんだ!」って言ったりするので、どこを好きになればいいのか難しいんだよね。
あのね……『リゼロ』は『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、まどマギ)の、暁美ほむらを主人公にしたバージョンと考えてみてはどうでしょうか(笑)。
岡田:
『まどマギ』はどういうふうにやっても、選択肢として正解がないのに、いかに正解を探していくのか、という話しで、『まどマギ』は、まどかが主人公だから、ほむらはあきらめなきゃいけないキャラクターとして描かれちゃったわけだよね、
スバルは諦めないでいつも可能性を探すキャラだという風に変えてみたら割と前向きな話で、感動巨編になるよ。ただ感動巨編は乗れた人には壮大だけど、乗れない人には「なんだかんだ言ってお前、ハーレムやんかい」という感じになっちゃうから、そこは乗れないかもわかんないね。
美少女が死にまくる話が苦手な人も多いだろうね。結局、選択肢は全部駄目というのを試してから正解に辿りつくのでカタルシスに行く前に、嫌なものを全部見なきゃいけないので、そこのところが苦手な人もいるのかもわかんないね。しかも死に方がほとんど痛そうだし(笑)。