「Apple Watchがようやく実用的になった」新機能搭載で話題の『Apple Watch Series 3』の魅力を解説
iPhone8と共にAppleから発表されたApple Watch Series 3。Series 3はこれまでのApple Watchと違い、携帯電話通信機能を内蔵していることが話題を集めています。
これを受けて、小飼弾氏は山路達也氏にApple Watch等のITデバイスのビジネスモデルについて解説を行います。さらに、多くのITデバイスが普及している社会でのBluetoothの脆弱性が及ぼす影響についても言及しました。
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こんなに便利になったApple Watch Series 3
小飼:
Apple Watch Series 3ちゃんと入手していますよ。ここが赤いのわかるかな。
山路:
これ、いわゆるセルラーモデルというやつですよね。もう自慢したくてしょうがない(笑)。
小飼:
自慢したくてしょうがない(笑)。
山路:
実は私もApple Watch Series 3、セルラーじゃないんですけれども、普通のGPSプラスWifiモデルに変えてみました。iPhone7に機種交換した時のポイントが貯まっていたので変えてみたんですけれど、ようやくApple Watchが実用になったかなという印象です。
小飼:
Siriに現在地を聞いた時に、全裸で露店風呂に入っていたんですよ。全裸で露店風呂に入っている状態で、ちゃんと答えてくれたというね。全裸コンピューティングができるような環境になったんですよ(笑)。
山路:
そういうLTEで直接携帯電話網に接続して話すことも、できるようになったということですね。
小飼:
もちろん電話もかけられます。
山路:
バッテリーとかそんなに持つわけでもないんですよね。
小飼:
とは言っても今まで通りですかね。Appleの公称だと18時間と言っていますけれども、実際の使い方だと1日半から2日くらい持つという感じですかね。
山路:
そういうLTEでガンガン話したりとかしたらということですよね。私は前まで初代Apple Watchを使っていたんですけれども、それから比べるとえらい電池が持つ印象ですね。
小飼:
「シリーズ1をまだ売り続けるのは、やめろよApple!」と言いたい。本当にあっという間に電池がなくなるので。
山路:
シリーズ1はまだいいんですよ。初代とシリーズ1は違うので。
小飼:
そうなの? それは知らなかった。
山路:
そうですね。確か積んでいるCPUとかその辺の消費電力が違ったはずだから、初代とシリーズ1ではまた違うみたいですね。いずれにしてもSiri文字盤とか、日常生活の中ですごく便利というわけではなくても、なんとなく便利でちょっと手放せないものにはなりましたね。
小飼:
なんと言っても健康状態まで把握していますからね。ちゃんと持ち主が死んだらわかるんですよ。
山路:
そうなんですか(笑)。
小飼:
WatchOS 4には持ち主が心臓の問題を出すと警告を出してくれるのもありますし。
山路:
まだ、死んだら通報してくれるわけじゃないですよね。しかもマインドフルネスというか、「深呼吸をしてマインドフルネスを高めましょう」みたいな機能がついていたりするからすごいですよね。
スマホの次のビジネスチャンスはApple Watchなのか?
山路:
スマホの次は何がくる? みたいなことが最近議論されていますけど、こういうApple Watchみたいな方向に行くと弾さん的にはどうですか?
小飼:
ひとつの方向性ですね。あともうひとつ重要なのは、なにもかもこれでやる必要性はない。例えばSiriと話すことや音楽を聞きたいのであれば、ワイヤレスレシーバーを使ってBluetoothで繋げちゃえばいいわけですよね。
だから同じことをヘッドアップディスプレイ【※1】でやったら、それがApple流のウェアラブルコンピューティング【※2】だと思うのです。
※1ヘッドアップディスプレイ
人間の視野に直接情報を映し出す手段。
※2ウェアラブルコンピューティング
身につけて持ち歩くことができるコンピュータを使用すること。スマートフォンなど単に持ち運べるコンピュータとは異なり、主に衣服状や腕時計状で身につけたまま使えるものを指す。
山路:
個人的にちょっと不思議だと思ったのが、iPhone、スマートフォンのビジネスは例えばアプリだったりとか広告だったりとか、そこのところにお金や、色々な人のビジネスがその上で動くみたいなものが成立したじゃないですか。
だけど、Apple WatchとかAirPodsみたいなものは、そこがビジネスのエコシステム【※】になるということがあんまりイメージできないんですけれど。
※エコシステム
ビジネス生態系。主に情報通信産業において、動植物の食物連鎖や物質循環といった生物群の循環系という元の意味から転化して、新規な産業体系を構成しつつある発展途上の分野での企業間の連携関係全体を表すのに用いられる用語。
小飼:
でも入り口ではあるでしょう。結局、実際に欲しいコンテンツがいくらクラウドの上にあっても、それにどうやってアクセスするのかといえば、スマートフォンなり、タブレットなり、あるいはスマートウォッチなり、なんらかのデバイスが必要でしょ。
だからそこを押さえるというのは真っ当なビジネスのやり方だと思いますよ。はっきり言って、ちょっと押さえ過ぎだと思いますけれど。
山路:
下手をすると独占企業に認定されちゃうかもしれないですよね。
小飼:
この場合Androidがあるのがすごくありがたくて、嫌だったら他からAndroidの物を買ったらいかがですか、という風に言えるわけなので。
山路:
Androidの方のシェアが大きいわけですよね。
小飼:
数はね。だけど儲けはごっそりAppleが持ってくという。
山路:
なるほど、Android人にとっては嫌な構図になっていますよね。