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新海誠監督、たつき監督を送り出したCGアニメコンテストの代表に、自主制作CGアニメの現在と課題を聞いてみた

自主制作アニメを届ける手段は増えている

──今、自主制作アニメが発表されてもなかなかPV数が上がらないとか、受け手の人たちになかなか届きにくい状態になってるんじゃないかなと思うんですけど

鎌田:
 むしろ昔に比べたら、それこそ30年のスパンで見ると、圧倒的に届ける手段というのは増えています。でも、PV数が増えないというのは、先ほど言ったように、自主制作CGアニメっていうのはもはや珍しくない。自主制作で作りました、個人で作りました、アニメーション作りました…… というだけでは何のインパクトもないという現状があると思います。それと同時に、圧倒的に作られる本数が増えたので1本当たりのPVは減るでしょう。

──自分が、今回インタビューするにあたって、自主制作アニメがどこにあるんだろう?と色々探してみたんですけど、なかなかまとまった場所・ポータルのようなものが無く、ここにある、あそこにある、こんな人がいるというのが、分かりにくいかなと思ったんです

鎌田:
 なるほど、それはあるかもしれません。我々CGアニメコンテストの入選者の中でも、そういったポータルを作るべきだっていう意見は確かにあります。確かに最初の10年間、CGアニメコンテストが生まれてから10年間は、まだインターネット自体ほとんど普及してなかったですし、インターネットで動画をガンガン見れるというのがなかった時代ですから。

──通信速度的にも不可能でした

鎌田:
 なのでCGアニメコンテストの上映会の会場に来ない限り、見ることが出来ないという状況でした。それに比べれば遥かに良い状況で、いろんな方法・媒体メディアがあるからこそ、分散してしまっているという面はあります。

CGアニカップで、開会の挨拶を行うDoGA代表 鎌田優 氏

──再生数がびっくりするぐらい低いものも少なくなかったのですが、クオリティーの高い良い作品がかなりあり、バラエティーにも富んでいると思いました

鎌田:
 クオリティーも技術も平均的に上がっています。でも、初期の方が遥かに種類は多様でした。というのは、初期の頃は自主制作のCGアニメってどういうものなの? 何を作れば良いの?かが誰も見えてなかった時代で、もっととんでもない作品がいっぱい作られてました。最近は、むしろ新しいジャンルが見えない。割とマンネリ化してるとむしろ感じてるくらいです。商業アニメに比べて自主制作CGアニメは、作る作風、作品の方向性、テーマの持ち方の束縛が少ないですから、色んなものを作るチャンスはあると思います。むしろクリエイターには「もうちょっと工夫して、新しい方向を開拓してみようよ!」と言いたいくらいですね。

STUDIO UGOKIはVimeoを通じて『ROBBER’S COMPANY』の有料配信を行っている。

自主制作では食っていけないという切実な問題

──それと同時に、最近、自主制作アニメ出身の方がいわゆる商業アニメ業界にどんどん入ってきています

鎌田:
 昔の新海さん、吉浦さんの頃は、自分で作品を作って、DVDを作って売って採算がとれる、回収できる、そこからヒット作になるという望みがあったんです。しかし、今はもう映像パッケージ商品が全然売れない時代になってしまって、自主制作で自分の好きな作品を作っても、もう食っていけないというもの凄く切実な問題がある。
 そうなった時、一つの選択肢としてCGプロダクションなどの企業に入るのが増えている。その点、今回取材されて、STUDIO UGOKIだとか、Wabokuさんのように小グループでのプロダクション的なものを作って商業的な展開をやろうという動きがあったと思います。むしろその動きを注目すべきかもしれないですね。

『【tilt×百舌谷】夜明け前のレゾナンス【オリジナルMV】』より

──次に、最近はCGクリエイターだったり、アニメを作ろうと思っていた方じゃない方、例えば突然Twitterに短い動画を上げてバズられるみたいなことが起こっていて、他にもボカロのPVとかも自主制作というくくりではなく、突然発表されたりとかありますが、アニメなのに自主制作アニメというような見方をされないものが出てきて、それというのはどう思っていらっしゃるのかなと

鎌田:
 まずボカロPVについては、これは今日のアニカップの代表の中で『夜明け前のレゾナンス』。これ完全にボカロPV。従来も今回もあったように昔からありますし、特殊な分野だと、別の分野だとは思っていません。
 ただTwitterとかに1カット、数カットだけアップして急に話題になるというのは、これを言うと多分炎上するかもしれませんが、あれは作品としては完成していないので習作だと思っています。
 その瞬間的に短い作品がバッと話題になるというのは、昔からよくあることで、それこそ新海さんも最初は『ほしのこえ』の予告編をアップしてそれからワッと話題になったというのがあります。
 バズられるという面では、数年前のCGアニメコンテストの入選作品の『将棋対囲碁』。CGアニメコンテストの上映会をそのままニコ動に配信したところ、ものすごいビューを稼いで、その年のトップになったこともあります。瞬間的にガッと増えるというのは、それがSNSというものじゃないのでしょうか。

ノラミジンコ『将棋対囲碁』より

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