マンガ家的に2017年盛り上がったアニメ・漫画界の出来事を総ざらいしてみた【上半期の巻】
2017年もいよいよ大詰め。世間で話題になっているニュース、エンタメ、サブカルチャ―の情報について語り、2017年最後の配信を迎えた山田玲司氏の「ニコ論壇時評」。
12月13日の放送では、これまで取り扱ってきたニュースを総ざらい。大ブームとなった『けものフレンズ』や、昨年に公開され、なおもヒットを記録し続け、遂に東宝過去最高益を打ち出した『君の名は。』など、話題となったタイトルについて、漫画家の山田玲司氏が、乙君氏、しみちゃん氏とともに振り返りました。
※当記事では【前編】と称して、1月~6月のニュースを振り返りました。7月~12月を振り返る【後編】はこちら
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1月・『けものフレンズ』『君の名は。』など、話題作のメガヒットが連発
乙君:
まず1月。もうかなり前ですね。『けものフレンズ』が大ヒットしました。
山田:
これ、今年だったんだね。
しみちゃん:
なんか随分昔の気がしてきたな。
乙君:
さらに同時期に、東宝が『君の名は。』で過去最高益に。
山田:
『君の名は。』は去年夏ぐらいだったんじゃない? 『シン・ゴジラ』とぶつかったでしょ。
乙君:
それが1月までずっとロングランだったっていうのが、まずすごいですよね。
山田:
そうね。
乙君:
更に、漫画界では、田中圭一先生の『うつヌケ』といううつ病脱出漫画が大ヒット。
山田:
実は、これが今年のトピックのひとつですね。
2月・宮﨑駿監督が引退を撤回、山田玲司『CICADA』第1巻を発売
乙君:
そして2月は、スタジオジブリの宮﨑駿監督が長編新作アニメ『君たちはどう生きるか』を発表。引退すると言っていましたが、それをまたしても撤回し、長編アニメを作るという発表がありました。
山田:
毛虫じゃないのね、毛虫やめたのね。
乙君:
毛虫って。
山田:
毛虫、CGとかやるのかなと思ったら。
毛虫がどう生きるのかって言ったら、面白いけどね。毛虫が喋ってる! とかいうのを見たいけど、本当はね。
乙君:
王蟲じゃないですか。
そして、山田玲司『※CICADA』第1巻が、なんと2月に発売していました。
※CICADA
山田玲司原作の漫画が2017年2月10日に発売。
山田:
そうですね。滅びゆく漫画の世界。違う漫画の世界が滅んでから150年のSFを描いていますけど、作品の中で、いろいろなことが重なります。
乙君:
そうですね。
山田:
『君たちはどう生きるか』というテーマですけど、これと同じタイトルの漫画が大ヒットしてますね。あれは恐らく100万部はいくんじゃないかという。
山田:
それは、宮崎さんがやろうとした本の岩波新書の元ネタが、2年前からすでに漫画でやっていたんですよ。
乙君:
ああ、たまたま2年前に出してたものを、宮﨑駿さんが。
山田:
後追いの形になってます。
乙君:
へえ!
山田:
しかも、この『君たちはどう生きるか』というのを仕掛けたのは、我らが※柿内芳文くんですから。
※柿内芳文
星海社新書編集長。書籍『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『ウェブはバカと暇人のもの』などの編集を担当。
乙君:
なるほど、編集者の柿内くん。
山田:
柿内くんが仕掛けたもののプロモーションを、宮﨑駿がする、みたいな感じ。
しみちゃん:
(笑)
乙君:
すごい大御所。Amazonでベストセラーになっているって。
山田:
そうそう、今一番売れてる本なんだよ。実は『CICADA』のテーマはまさに「君たちはどう生きるか」について描いてある漫画なんで。
乙君:
元は小説なんだ。
山田:
そうです。『CICADA』も、ぜひ読んで貰いたい。