元探偵ファイルの山木陽介が明かす探偵業のホントのところ! 探偵学校のカリキュラムは? 気になる調査料金もぶっちゃけ公開「だいたい1日10万円」
「1日10万円くらい払ってもらえれば、まあまあ」気になる依頼料は?
ニポポ:
我々が探偵さんに依頼をしようとしたら、どのくらいの予算がかかるものかを、教えてもらってもいいですか?
山木:
予算に関しては、正直話を細かく聞かないと言いようがないです。引っ越し屋と似ていて、「1LDKの引っ越しだから」と聞いていても荷物が全部本だった……みたいなこともあるじゃないですか?
だいたいの予算感で言うと1日10万円。「じゃ1週間なら70万なのか?」と言われるのですが、「1週間のうち、この曜日はやらなくてもいい」とか、「70万円を払う予算があるなら、本来100万円でやるところを70万円でやりますよ」とか……。
目安として考えると1日10万円くらい払ってもらえれば行動調査ならまあまあ。これが経費込みなのか、調査車両込みなのか。それを入れるか入れないかでまた変わってきます。でもだいたい10万円ですね。
ニポポ:
浮気調査で確定的な証拠を押さえるなら、たとえばどんな行動をしているところで押さえますか?
山木:
浮気調査に限定するのであれば、何を目的とするかなんですよ。お金を使って配偶者が不貞行為をしている証拠が欲しいということは、8割方それを裁判の証拠に使うということなんですよね。離婚が成立する要件というのが7つぐらいあって、その要件のひとつとして一番手っ取り早く達成しやすいのが、配偶者が配偶者以外の異性と何かしちゃうこと。
客観的に見て認められるものは何かという話になると、ホテルから出てきた。あとは相手の家に行って、また同様に出てきた。これが1回じゃダメなんです。1回だと「相手の具合が悪かったから」とか。
ニポポ:
そうか、逃げ切れるんだ。
山木:
家に入るところも相手が同じ会社の人だと、「パソコンの調子が悪いから設定しに行った」とか言えるんだけれども、これが複数繰り返されると、「今度は胃が痛かったのか」とか「今度は洗濯機の調子が悪いのか」とかいろいろ言えるようになる。それに対して「じゃなんで洗濯機の調子を見てるのに家の電気が消えるんだ?」とか言い張れるんですね。
これが探偵の調査料金を上げることでもあるんですけれど、1回ホテルに入っただけじゃ離婚の証拠としては難しいんです。
ニポポ:
不貞行為の証拠としては使えるかもしれないけれども、裁判に出すときの書類としてはちょっと甘いよと。
山木:
3、4回は撮らないと。間違いなくどんな弁護士でも裁判でだいたい勝てるというのが同じ相手と3回以上なんですね。
ニポポ:
難しいんですね。
山木:
やっていればパターンも見えてくるから、「半分くらいの金額でいいから来週くらいにまた」とか、「2、3週間に1回くらいにしましょうか」とか、今度は予算の中で自分たちの体が空いているときにやるんです。
「3週間くらいくれれば、僕たちが50万円の予算の中で調査しますから」「証拠が出て来るまでがんばりますよ」という話が、ある程度依頼人とのコミュニケーションができていれば可能なんですよ。これを最初にしちゃうと、「なんていやらしい探偵なんだ!」ってなっちゃう(笑)。
100万円くらいもらって自分たちのペースで調査させてもらったほうが、予備調査とかも含めれば結果的に200万円くらいの調査をしていることもあるので。
探偵業の昔と今――昔は1万円で出来たが、今は100万円でも出来ないコト
ニポポ:
では、「100万円で請け負いましょう」となったときに、お客さんは前金でポンと払うんですか。
山木:
僕らからしてみたら前金のほうが確実です。なぜかと言うと、調査結果が依頼人の望むとおりではなかったときに渋るので。
ニポポ:
そっちか! なるほど。
山木:
渋られても、裁判を起こせば確実に勝つんですよ。でもその時間と裁判費用が無駄だから……。自分がいた会社もそうですし、自分たちもそうなんですけれども、そういうときは諦めます。面倒くさいので。だから前金で半分以上をもらうようにしています。100万円なら経費もあるので50万円を先にもらう。証拠が上がってきたら払ってもらうんですが、証拠が上がらなかったときの保険なんです。
ニポポ:
たまたま調査日が空振りだったり、依頼者の勘違いだけで進行していた場合というのは、結果自体が依頼者側からしたら思わしくないじゃないですか。こういった場合って、トラブルに発展しちゃうんですか。
山木:
発展しますけれども、依頼人とのコミュニケーションがとれていれば、まあまあ落ち着くんです。たとえ依頼人の勘違いが激しくて、こちらが面倒くさいと思って電話に出なかったりしていると、こちらが正しくても向こうの感情が先走ってダメになりますね。探偵だけじゃなくて、サービス業や飲食業と同じです。
ニポポ:
「スクープ誌の記者が自分で調査するのが面倒だから探偵さんに依頼しようと思ったんだけれども、金額面で折り合わなかった」っていう話をしていましたね。
山木:
金額面も10年前と今で全然違うんです。昔すぐできていたことが、今はできないんですよね。昔だったら1万円でできていたことが、今は100万円かけてもできないんですよ。
ニポポ:
えっ、そんなことがあるんですか。ちょっと気になるね(笑)。
山木:
今はそれができないがゆえに、探偵の料金も跳ね上がっているんです。ぶっちゃけると、個人情報。個人情報の中でも携帯電話の持ち主。携帯電話の持ち主は昔は1万円ですぐにわかったので。
昔はキャバクラの女の子の本名とかがすぐにわかりましたよ(笑)。今それをやったら半年くらいで逮捕じゃないですかね。
ニポポ:
「実は遠い知り合いなんです」って言ってストーキングしている子の調査を依頼することも、ありえなくはないじゃない?
山木:
「蒸発した嫁を探してください」とか、「妹を探してください」と依頼が来たときに、「では、その人の写真をください」と言ってもらった写真が、どう見ても風俗の写真だったり。
ニポポ:
風俗の宣材写真(笑)。
山木:
それなら、すぐわかるんですよ。でもそうじゃなくて、ある一定の関係で仲良くなってしまったらどうなの? と。本名もわかります、住んでいたところもわかります、でも蒸発しちゃいましたと。出してくる情報は個人の結構突っ込んだ情報で信じられる情報で判断するしかない。探偵が怪しいな、と思っても依頼人の言っていることに正誤問題なければどこで探偵は身を守るのかとなると、契約書なんです。
探偵と契約した方は書かされているんですけれども、「調査報告書の内容を悪意ある使い方をしません」という誓約書があるんですよ。それを書いたことによって、僕らが裁判沙汰になったときに回避できるんです。それらがないと僕らはほう助になるし、殺人事件の容疑者にされる可能性もありますからたまらないですよ。僕らがなんとか今でもできているのは、報告書を渡す前にサインをさせているからですよ。
▼記事化箇所は02:58から視聴できます▼
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