5分で分かる“ピクサー映画”の特徴「泣くタイミングが用意されてる」「実はブラックジョークが大盛り」
サブカル評論家のDr.マクガイヤーさんが、世間のオタクトピックを語りまくる番組『ニコ生マクガイヤーゼミ』。今回紹介する特集は、「ピクサー」について。
『トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』など、数々のタイトルを世に放った映画制作会社・ピクサー。書籍編集者のしまさんさんがアシスタントとして話題に加わり、「ピクサー映画の特徴」について語りました。
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ストーリーに最も重きを置く「Story is king」というフレーズ
マクガイヤー:
ピクサー映画の特徴という話をしましょう。まずフレーズとして、「Story is king」という、ストーリーが一番大切だというものがあります。
しまさん:
ピクサーがアニメを作る時に大事にしている22か条みたいなのがあるじゃないですか?
マクガイヤー:
2条なんですけどね。
しまさん:
2条なんですか?
マクガイヤー:
結局2つ大事にしているキャッチフレーズがあって、1つは「Story is king」。ストーリーが最強。
しまさん:
物語がすべてだと。
マクガイヤー:
CGって、いかに技術の高いCGを作ってもお客さんは感動しない。とにかくお話、脚本が大切なんだということで、これを練り上げるまでは作らない。だって皆さんわかりますよね。『バグズ・ライフ』と『アンツ』というのがあって、同じような見かけですけれど、どっちが今まで残っているかといったら、バグズ・ライフなわけですよ。
しまさん:
アンツ、きもいな。
マクガイヤー:
これ、シルベスター・スタローンが声をやっていたりしますよ。
しまさん:
そうなんだ。アンツっていつ? バグズ・ライフより前?
マクガイヤー:
これ結構、同時期なんです。バグズ・ライフの方がちょっと前かな。
しまさん:
まだバグズ・ライフの方が見られるなあ。
マクガイヤー:
アンツも今見ると、そんなにつまんなくはない。これはドリームワークスにいたカッツェンバークが指揮、制作総指揮をしたやつなんですけど。
しまさん:
そうだったんだ。
マクガイヤー:
これが、本当にすごくて、『ファインディング・ニモ』と『シャーク・テイル』というのがあったんですが、みんな『シャーク・テイル』のことなんか忘れています。
しまさん:
シャーク・テイル、きもいな。
マクガイヤー:
これは、その主人公の魚をウィル・スミスがやっていて、どうせウィル・スミスがやるんなら、顔もウィル・スミスに似せようということで、こんな顔になっている。
しまさん:
ホントだ、ウィル・スミス顔だね。
マクガイヤー:
後ろのシャークも、『タクシードライバー』の人、誰だっけ?
しまさん:
タクシードライバーの人?
マクガイヤー:
出てこない。マーティン・スコセッシの映画によく出る人が出てるんだけど。なんだっけ(笑)。
しまさん:
なんで、これが出てこないの? もう。
マクガイヤー:
デニーロがやってる。
しまさん:
固有名詞27%くらいしか出てこない。
マクガイヤー:
デニーロです。でも、今やファインディング・ニモしかみんな覚えていないし。
しまさん:
そうだね。
マクガイヤー:
本当にすごいのは、『ダイナソー』という映画。実は、ピクサーと合併する前のディズニーが作っていて。
しまさん:
ダイナソー、知らんわ。
マクガイヤー:
知らないでしょ! これも、そんなに悪くなかったんですよ。でも結局、ピクサーには敵わんということで、このディズニーの作っているCG部門を解散したりした。
しまさん:
いや、このビジュアルで、誰が見に行くか?
マクガイヤー:
実際は、もうちょっと可愛くなってるんですけどね。のちのちにまで残るお話にはならなかった。
しまさん:
そうだね。
マクガイヤー:
というかルックとして見せたいのは左だし、どちらかというとダイナソーはこんなルックなんですけど、健全ディズニー映画なんですよ。
しまさん:
そうなんですね。古き良き世界の。
マクガイヤー:
恐竜同士が戦っても決して恐竜は傷つかない。相手の恐竜は最悪のダメージを追わないし、リーダーとなっているその恐竜が仲間を引っ張って、大成功みたいなやつなんですけど、左の『アーロと少年』の方が毒たっぷりなわけですよね。
しまさん:
そうなんだ。でも、どう見てもハートフル感がすごいけどな。
マクガイヤー:
『アーロと少年』は、アーロが恐竜なわけですけど、隕石が落ちてこなかった地球ということで、恐竜が進化して。
しまさん:
生き残ったんだ。
マクガイヤー:
そう、恐竜がまるで西部時代のアメリカみたいな感じで、畑耕すんですよ。恐竜一家が、大草原の小さな家みたいな感じで。
しまさん:
でも4つ足歩行なんですか?
マクガイヤー:
そう、顔をトラクターみたいにして、畑を耕したりしてる。
しまさん:
え? そうなんだ。
マクガイヤー:
人間トラクターみたいな感じで。それで作物が育ったんだけども、害虫がやってきて作物を盗んでる。害虫を殺さなければダメだ。ということで寝ずの番をしてるんですよ。
しまさん:
まさか!
マクガイヤー:
そう、その害虫が人間なんですよ。
しまさん:
そこで少年がやってくるわけだ。
マクガイヤー:
この少年をアーロは殺さなければいけない。
しまさん:
なんと!
マクガイヤー:
でも、結局殺せなくてっていう話なんですよ。それが最初なんですけど、その後お父さんが死んじゃったりします。
しまさん:
擬人化世界に人が出てくるみたいな感じ?
マクガイヤー:
そう。それがすごいわけですね。ピクサーは。どっちかっていうと、『アーロと少年』の方が、毒がたっぷりなんです。
しまさん:
ホントだね。
マクガイヤー:
旅の途中で、アーロが完全に麻薬中毒になったりします。
しまさん:
そうなんだ!
マクガイヤー:
麻薬中毒じゃない、麻薬みたいな果物を食べてトリップしたりする。
しまさん:
それ聞いて、ちょっと見たくなった。
マクガイヤー:
害虫扱いで、しかもアーロはがんがん家族と喋るのに、少年は言葉をしゃべりません。恐竜は擬人化しているんだけど、人間は獣化しているわけですよ。この倒錯。
しまさん:
このブラックジョーク。
マクガイヤー:
ブラックさ。ジョークじゃないけど(笑)。
しまさん:
ジョークじゃないけど、マジでやってるけど(笑)。
マクガイヤー:
真面目にやってるんで、もっと罪深いところなんですけど。