5分で分かる“ピクサー映画”の特徴「泣くタイミングが用意されてる」「実はブラックジョークが大盛り」
感情移入を促進させる「擬人化」の技術
マクガイヤー:
あともうひとつは「擬人化の上手さ」というのがあって。すごいのがファインディング・ニモって水中生物、魚とかをすごく研究して活かしたって言うんですけど、クマノミは性転換をするんですね。
しまさん:
あっ、そうなんですね。
マクガイヤー:
あれはイソギンチャクと共生をしてるんですけど、そこでハーレムみたいなのを作ってて、1位のオスが死んだら2位だったオスがメスに変わると。
しまさん:
オスがメスになるんだ、へえ。
マクガイヤー:
『ファインディング・ニモ』って、最初はお母さんが食われちゃう。
しまさん:
お母さんがいなくなっちゃうね、いきなり。
マクガイヤー:
じゃあ、お父さんはお母さんにならないんだ? という話ですよ。
しまさん:
あっ、えっ? 今、実写でいろいろ研究してるという話なのに。
マクガイヤー:
そうそう。
しまさん:
矛盾……。
マクガイヤー:
ここは、無視したんです。
しまさん:
あっ、そこは無視したんだ。
マクガイヤー:
そうしないと、いろいろ面倒だからってことで。
しまさん:
そうだね(笑)。話が違う話になっちゃうもんね、お父さんが急にお母さんになっちゃったらね。
マクガイヤー:
だからこれ、お父さんが実はゲイだったみたいな話にすれば。
しまさん:
よりリアルな。
マクガイヤー:
より面白くなるけど、そこは話が複雑になるからやめたんですよ。
しまさん:
そうだね、今日からお父さんはお母さんだよみたいな(笑)。それあったほうが面白かったな。
マクガイヤー:
今やそういう時代ですからね。
しまさん:
今やもう全然柔軟に。
マクガイヤー:
でもそうするとテーマがちょっと変わっちゃう。
しまさん:
変わっちゃうね(笑)。
マクガイヤー:
でも続編では、こういうのあってもいいという。
あとはちょっと『ファインディング・ドリー』に合わせて、『ファインディング・ニモ』についていろいろ解説しようと思うんですけど。この亀のクラッシュっていうのが出てくるじゃないですか?
しまさん:
150歳。
マクガイヤー:
「みんな~こんにちは~」みたいなこと言うじゃないですか?
しまさん:
何言うの?
マクガイヤー:
「あ~、あ~い」。
しまさん:
(笑)。
マクガイヤー:
これは、サーファーの喋り方なんですよ、アメリカ西海岸の。
しまさん:
あっ、そういうことなんだ。
マクガイヤー:
「レッツチェケラ~ウ」みたいな感じですよ。
しまさん:
その格好良さをなぞってるんだ。
マクガイヤー:
だから、その西海岸で大麻ばかり吸っていてちょっとおかしくなっちゃったサーファーの喋り方です。「オッケ~イ、イエ~ス」みたいな。
しまさん:
なるほどね。で、意味不明の日本語を入れ墨してるようなね。
マクガイヤー:
そう、なんか「愛人」みたいなTシャツを着たりとか。
しまさん:
「長谷川」みたいなね、なんかね。
マクガイヤー:
あとは水槽に行きますけど、水槽の魚がみんなおかしい。あれは精神病院みたいになってます、水槽が。
しまさん:
怖い。本当だ、怖い。
マクガイヤー:
そういうブラックなネタをガンガン入れてくるわけです。
しまさん:
そうだね。
マクガイヤー:
だから「水槽が安全だから出たくない」とか言うやつとかいるじゃないですか。
しまさん:
ちょっと病んでるもんね、全員ね。
マクガイヤー:
そう、全員病んでるわけですよ。だからずっとあそこに閉じ込められてて、実際の植物っていうか自然のものかと思ってたらみんな作り物、みたいなね。
しまさん:
怖い。
マクガイヤー:
そういう、ブラックなネタをガンガンに入れてくるところが面白さなわけです。
しまさん:
なるほどね、ニモはそう思って見るとホラーですね。ある種ね。
マクガイヤー:
そういう擬人化の上手さがあって、更にインサイド・ヘッドでは性格を擬人化したりもするし。
あとカーズは、ちょっと日本人から見るとこんな車まで擬人化するんだとか思うんですけど、アメリカ人にとってはよくあることらしいです。
しまさん:
あっ、そうなんですね。
マクガイヤー:
だからカーズのトランスフォーマーとかも出たりして(笑)。
しまさん:
もう意味がわからない(笑)。何重にもなってて意味がわからないですね。
マクガイヤー:
いいですね、これ欲しいです。
しまさん:
でも車が喋るというだけで子供にとっては嬉しそうなんじゃないですか。
マクガイヤー:
だからトランスフォーマーも喋るじゃないですか? 車が。ああいう感じ。
しまさん:
ああいう感じだよね。