世界シェアNo.1スポドリ「ゲータレード」はなぜ日本で販売終了したのか? 日本特有の“とある文化”から考察してみた
今回紹介する動画は、ゆっくりルーザーズさんが投稿した『【ゲータレード】日本で販売終了した理由とは?!【ゆっくり解説】』。
独特の蛍光色が話題を呼んだ「ゲータレード」が日本から撤退した理由について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。
■ゲータレードが日本で受け入れられなかった理由
霊夢:
はあ、久しぶりに運動していい汗かいたー。
そうだね。魔理沙、負けたんだからスポーツドリンク買ってきてよ。
魔理沙:
まあいいよ。何が飲みたい? ポカリ? それともアクエリ?
霊夢:
うーん、それじゃあゲータレードをお願いしようかな。
魔理沙:
え? ゲータレードなら2015年に日本で生産終了してしまったんだぜ。
ゲータレードはアメリカでも今はトップシェアのスポーツドリンクなんだが、色々な理由により日本では撤退してしまったんだぜ。
霊夢:
ええー! 好きだったのに! いったいどうして日本だとダメだったの?
魔理沙:
そうだな。それじゃあ今回は、世界でスポーツドリンクのトップ シェアを誇るゲータレードがなぜか日本では販売終了になってしまった理由について解説するぜ。
霊夢:
ゲータレードが日本で販売終了してただなんて。美味しかったのに。大きい飲み口が気に入ってたよ。
魔理沙:
そうだな。霊夢の言うようにゲータレードは大きい飲み口が特徴的だったり、形を変えて日本でも長く販売していたこともあって、ゲータレードに思い入れのある人は少なくないと思うんだぜ。
霊夢:
そうだよね。ポカリやアクエリもいいけど、ゲータレードも独特な味わいで私のお気に入りなんだよね。
魔理沙:
そんな霊夢にクイズだが、スポーツドリンクの王者と言えば何だと思う?
霊夢:
え? 王者? うーん、ゲータレードと言いたいところだけど、やっぱりポカリスエットかなあ。お店や自動販売機でポカリスエットを一番よく見かけるからね。
魔理沙:
そうだな。たしかに日本では大塚製薬のポカリスエットや、日本コカ・コーラのアクエリアスがスポーツドリンクの代表格だ。
霊夢:
だよね!
魔理沙:
ところが、世界全体で見ると、スポーツドリンクのシェア1位は、圧倒的にゲータレードなんだぜ。
霊夢:
へぇ! それは意外だね! ポカリやアクエリよりも世界的に飲まれてるのがゲータレードなんだね。
魔理沙:
ゲータレードは世界トップシェアのスポーツドリンクであり、なおかつ世界初のスポーツドリンクでもあるんだ。
霊夢:
世界初⁉ それまた知らなかったなあ。
魔理沙:
元々ゲータレードは1965年にフロリダ大学のアメフトチームである「フロリダ・ゲーターズ」のために、フロリダ大学の医学・生理学者であるロバート・ケード博士によって開発されたんだぜ。
霊夢:
ほお~。そんなに長い歴史がある飲み物だったんだね。それにしてもなんで学者がアメフトチームのためにスポーツドリンクを作ったの?
魔理沙:
それは当時のスポーツに関する誤った考えが原因だったんだぜ。
霊夢:
誤った考え?
魔理沙:
霊夢も聞いたことがあると思うが、昔はスポーツなどの練習中に水分補給をすると、疲れが増すと言われていたんだぜ。
霊夢:
はいはい。運動部の人たちが休憩中にすら水を飲ませてもらえないっていうアレね。今から考えると信じられない話だよね。
魔理沙:
今では運動中にこまめな水分補給が推奨されているが、当時は水分補給は悪とされていたために、アメリカでは熱中症によってアメフト選手の死亡事故が相次いでいたそうなんだ。
霊夢:
そうだったんだ・・・・・・。
魔理沙:
そうした状況を問題視したフロリダ大学のケード博士は、水よりも吸収力が高く、発汗によって失われる塩分を補給できるドリンクとして、「ゲータレード」を開発したんだぜ。
霊夢:
おお! こうしてスポーツドリンクが世に誕生したんだね!
魔理沙:
ゲータレードという名前は、「ゲーターズ」というチーム名と、レモネードなどの飲み物を意味する語句、「エード」を組み合わせてつけられたんだぜ。
霊夢:
良い名前だね。
魔理沙:
こうして生まれた世界初のスポーツドリンクであるゲータレードは、瞬く間に全米に広まり、ヨーロッパをはじめ世界中に普及していったんだ。
霊夢:
おお、それはスポーツをする人には嬉しい話だね。
魔理沙:
そうだな。熱中症のリスクを減らせるうえに味も美味しい、なおかつ塩分補給も出来るゲータレードを世界中のスポーツマンたちが愛飲したというわけだぜ。
ゲータレード:
その通り!
※第三の話者として「ゲータレード」が登場して、自身について解説する
霊夢・魔理沙:
こ、この声は?
ゲータレード:
スポーツドリンクの起源にして頂点。どうも、疲弊したスポーツ界に爽やかな風を吹かせた記念すべき元祖スポドリ、ゲータレードです。
霊夢:
(大御所っぽいオーラ放ってる奴キターーー! )
ゲータレード:
ポカリスエット? アクエリアス? あんなもん二番煎じですよ。本物を知りたきゃみんなもっと飲め! ゲータレード!
霊夢:
ポカリやアクエリはゲータレードよりも後に生まれたんだよね。
魔理沙:
その通りだぜ。ゲータレードが生まれたのは1965年、日本で販売開始したのは1970年だが、ポカリスエットの発売は1980年、アクエリアスの発売は1983年だからな。
霊夢:
そうだったんだ。ということはポカリやアクエリは、まず間違いなくゲータレードの影響は受けているだろうね。
魔理沙:
世界的にゲータレードが普及したことで、日本でも大正製薬から販売されることになったんだ。
ゲータレード:
フ・・・・・・。大正製薬さん、目の付け所が良いですね。
霊夢:
でも日本では売れなかったんだから、目の付け所は悪いんじゃない?
ゲータレード:
君失礼だな。
魔理沙:
霊夢の言う通り、日本ではなぜかゲータレードは流行らなかった。最初に日本での販売を開始した大正製薬はわずか1年たらずで撤退。
ゲータレード:
え? ててて撤退?
魔理沙:
そして大正製薬から日本アイソトニックへ販売権が移るが、資金難に陥り、スポーツシューズメーカーの「SPOT BILT」が日本アイソトニックを吸収。その後も雪印乳業、ポッカ(雪印との提携)、サントリーと、いくつかの販売会社に権利が渡っていったが、どうにも日本ではアメリカのようにゲータレードが普及しなかったんだ。
霊夢:
アメリカだとトップシェアなのに、不思議だね。
魔理沙:
そうだな。アメリカではこんな風にさまざまなフレーバーのゲータレードがお店に並び、好評を博していたのだから、日本であまり売れなかったのは誰にとっても想定外だっただろう。
ゲータレード:
おかしいよね?
魔理沙:
日本でゲータレードが普及せず、2015年にサントリーからの生産が終了してしまったのは、いくつかの理由があるぜ。
霊夢:
理由?
魔理沙:
1つには、商品形態が日本には合っていなかったということが挙げられるぜ。 先ほどアメリカのお店に並ぶゲータレードの写真を見せたが、霊夢は日本でこのような色味の飲み物を見たことがあるか?
霊夢:
えっと、あんまり見たことないかも。
魔理沙:
日本だと、着色料を使用した原色に近い色の飲み物が敬遠される傾向があるんだぜ。それは現在でもそうだし、50年前も同じだったんだ。
霊夢:
え? でも白色半透明のゲータレードだってあったよね?
魔理沙:
ああ。ゲータレードは何度か改良が行われているからな。蛍光カラーのもの、粉末タイプのもの、霊夢が言ったような白色半透明のもの……。世代によって思い浮かべるゲータレードは違うだろう。しかし日本に上陸した当時のゲータレードは、黄色い着色がされたものだったんだ。
霊夢:
そうだったんだ。たしかにTHE アメリカって感じがしてカッコいいようにも見えるけど、日本人の感覚では、どうしてもちょっと毒々しく見えるよね。
魔理沙:
ところが日本のゲータレード販売会社は、世界中でこれだけ売れているんだから、日本でも売れるに違いないと考えた。しかし、結果的にはゲータレードの色味や、少し薬品のような風味がする味わいなども、日本人には受け入れにくいことだったんだぜ。
霊夢:
なるほど。
魔理沙:
加えて、日本は海外に比べて根性論と言うべき悪しき慣習がはびこっていた。おかげでゲータレードが日本に上陸した後も、スポーツをしながら水分補給をするのは許されないという時代が長く続いたんだ。
霊夢:
うーん、そういうところが日本の良くないところだね。
魔理沙:
そのせいもあり、外国輸入であるスポーツドリンクという文化自体が長らく受け入れられなかったんだぜ。
霊夢:
そうかぁ。早めにゲータレードが普及すれば熱中症患者が減っただろうに。
魔理沙:
ただ、ゲータレードは流行らなかったが、後に大塚製薬がポカリスエットを販売したことで、日本でもスポーツドリンクが爆発的に普及することになった。
霊夢:
ついに!
魔理沙:
NCAAスポーツドリンク、アクエリアス、ウィルソンスポーツドリンク、XL-1、クイックエンチ等……。多くの企業からスポーツドリンクが発売されたんだぜ。
霊夢:
へえ。元祖のゲータレードじゃなくて、ポカリがブームの火付け役だったんだ。
魔理沙:
ゲータレードは、味、色、日本の慣習による抵抗から、一足先に発売していたにもかかわらず、後発組であるポカリスエットにスポーツドリンク天下を明け渡してしまったというわけだぜ。
霊夢:
ゲータレードも日本人に合うように、早くから見た目や味を改良する必要があったのか。
魔理沙:
爆発的に流行っている商品だとしても、世界中の国でも同じように流行るかと言われればそうではない。なぜなら国によって文化が異なるからだぜ。
先ほど霊夢が言ったように、ゲータレードも日本人の舌や感覚に合わせてローカライズした形で早期から販売する必要があったのかもしれないな。
後に日本でゲータレードは色味、味ともに徐々に改良されていったが、時すでに遅し。その頃にはポカリスエットやアクエリアスをはじめ、GREEN DAKARAやアミノサプリなど、多くのスポーツドリンクがひしめき合う厳しい競争市場となってしまっていたんだぜ。
霊夢:
ゲータレードがアメリカでトップシェアである理由の1つには、最初のスポーツドリンクだからと言う理由もあっただろうから、早くに日本でも発売していたのにシェアを取れなかったのはもったいなかったね。
魔理沙:
そうだな。商品やサービスの競争においては、先行者利益と言って市場に早く参入したものが有利だとされているからな。
ゲータレードは世界各国でスポーツドリンク市場における先行者利益を享受できたが、日本人の口に合う改良が遅れたために先行者利益を取れなかった。後に撤退することになる最も大きな理由だったと言えるんだぜ。
ゲータレード:
惜しいことをしました。
霊夢:
でもいいじゃない。アメリカではまだまだ現役なんだからさ。
ゲータレード:
まあ、そう言われてみれば。
魔理沙:
ところがアメリカにおいても近年では消費者のスポーツドリンク離れが加速しており、ゲータレードは販売会社であるペプシコ社の脚を引っ張っていると言われているんだぜ。
ゲータレード:
え? アメリカでも危ないんですか? 僕……。
魔理沙:
これには特にアメリカで高まる健康志向が起因しているんだぜ。健康意識が高い層ほど、ゲータレードのようなスポーツドリンクを飲むくらいなら水を飲むという消費者が増加していて、スポーツドリンクを飲む人が減っているんだぜ。
ゲータレード:
そんなぁ。
霊夢:
ってことはそのうち日本だけでなく、世界中でゲータレードが飲めなくなってしまうかもしれないってこと?
魔理沙:
まあ可能性はかなり低いが、健康志向が行くところまで行ったらそんな日も来るのかもしれないな。
霊夢:
そんなの嫌だ! 私は飲みたい! ゲータレード!
魔理沙:
それなら今から飛行機に乗ってアメリカに行くか?
霊夢:
そうだね。早めにチケットを取ってもらえるかな。
ゲータレード:
ありがとう! ぜひ本場のゲータレードを!
解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。
『【ゲータレード】日本で販売終了した理由とは?!【ゆっくり解説】』
・なぜ「板ガム」は「粒ガム」にシェアを奪われたのか? 機能性や社会環境の変化からその理由を考察してみた
・なぜ乱立していたタピオカ店は消えたのか? 「希少価値」「新型コロナ」から読み解く“第3次タピオカブームの終焉”について解説