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人手不足を理由に単独作業!? 確認作業を省略して機械に頭を挟まれ死亡… 京都市のごみ処理施設で2022年に発生した死亡事故を解説

 今回紹介する動画は、ニコニコ動画に投稿された『【2022年】『人足りないけどまぁいいや』ごみ処理場で確認作業を省略した結果5トンの重さが頭に…「廃棄物処理場脳挫滅事故」【ゆっくり解説】』というゆっくりするところさんの動画。

 老朽化が進む京都市のごみ処理施設で2022年に発生した「単独作業中のダンパーゲート死亡事故」を、音声読み上げソフトを使用して解説しています。


■血の海となった凄惨な現場

魔理沙:
 2022年11月、我が国の本州近畿地方に位置する京都府京都市内のクリーンセンターで、作業員男性が頭部を潰されて亡くなるという恐ろしい労災事故が発生した。

霊夢:
 ヒィィィィ! いきなり悲惨すぎる!

魔理沙:
 今回はかなりショッキングな内容を含むので、そういったものが苦手な人は、予め注意して視聴して欲しいんだぜ。

霊夢:
 うぅ……なんかこのやり取りも久々な気がするけど、私がオッケーしないと動画が終わっちゃうし……お、おっけーおっけーしておくわ。

魔理沙:
 ヨシヨシ。それじゃ早速本題に入るんだぜ。事故が起きたのは、京都市南部地域から収集される、家庭ごみや事業系ごみの焼却を担当している、いわゆるごみ処理場で、従業員数は約50名。一部は委託スタッフだった。

霊夢:
 どこの地域にもあるクリーンセンターね。

画面左:魔理沙 画面右:霊夢

魔理沙:
 この施設では、主に可燃ごみの焼却、一部電力発電のための熱回収、廃棄物管理を行っており、1日当たり約400トン以上のごみを処理していた。

 当時50代だった作業員男性のAさんは、この日いつも通りに朝出勤した後、ごみピット付近での点検作業を開始した。

霊夢:
 ごみピットって、ごみを貯めておく地下室みたいなところだっけ?

魔理沙:
 ああ。文脈によっては、ごみを収集したり処理するための穴や施設を指すことも多いが、この施設のごみピットは深さ12m以上の深いコンクリート張りの穴で、焼却前のごみを貯めておく場所だった。

 投入口が複数あり、運ばれたごみをゲートから投入するんだが、そこには油圧で上下するダンパーゲートというごみの投入を制御するための装置が設置されていた。この装置で油圧システムを利用してゲートの開閉を行い、ごみの流れを調整する。

 ダンパーという名前は空気や物質の流れを調節する機構を指すことが多いんだが、ここではごみの投入量や、そのタイミングを管理するための役割を果たしていた。

 まあ、簡単に言えばごみを落とすための傾く床といったところだな。

霊夢:
 へえ~、ごみ処理場で起きた事故とか今まで何度か聞いてきたけど、まだ知らない設備が結構あるものね。

魔理沙:
 これは重いごみや、大量の廃棄物を扱う際に安定した動作が可能なため採用されており、Aさんは現場監督の指示でこのダンパーゲートの点検を行っていた。

 というのも、このダンパーゲートは非常に古いもので、以前から不具合が頻発していたため、Aさんは時折こうしてダンパーゲートの清掃・点検を行っていたんだ。  

霊夢:
 古いから不具合……イヤナヨカーン……。

魔理沙:
 本来、この点検作業は、最低でも2名以上で行うことになっていたが、この日は従業員たちの体調不良が重なり、人手不足となっていたため、現場監督は仕方なくAさん1人で点検作業に向かわせた。

 彼はこの時、ダンパーゲートを上げた後、その下部で詰まっていた小さなごみなどの清掃を行っていた。

 それから数十分後。Aさんの同僚の作業員であるBさんは、別の区画を担当していたが、移動中にダンパーゲートの近くを通った。そしてちょうどそこに新たなごみが運ばれてきて、ダンパーゲートが稼働し、仕切りの床が持ち上がり、ゲート下、床下の部分が露出したんだが、その時、その床下の部分に、作業着を着た男性が倒れているところを発見。

霊夢:
 そそそそ、それって……。

魔理沙:
 ああ。この倒れていた男性はAさんで、どうやら何らかの理由でダンパーゲートに体を挟まれてしまったようだった。この時、彼は頭部を挟まれていたようで、現場は血の海になっていたという。

霊夢:
 イヤァアアアアアアア!!!

魔理沙:
 驚いたBさんは、すぐに現場監督にこのことを伝え、工場は稼働を一時停止。救急と警察に通報が行われた。

 数分後、現場に緊急車両数台が到着し、Aさんの救助が行われたが、その場で死亡が確認され、彼の遺体は検視に回された。

霊夢:
 そそそ、そんな……。

魔理沙:
 その後明らかになった彼の死因は「脳挫滅」。Aさんは硬い金属のダンパーゲートに頭部を挟まれ、頭蓋骨、脳が完全に破壊されており、ほぼ原型がないほどだったという。

霊夢:
 こここここ怖すぎる……。

魔理沙:
 その後、警察・自治体による事故原因の調査が行われた。事故に至る要因は複数あった。まず、ダンパーゲートが完全に停止していない状態で作業を行っていたこと。

 当時Aさんは、現場監督の指示でダンパーゲートの下に入り、清掃・点検を行っていた。だがこの時、現場監督はダンパーゲートを上げた後、本来規則となっていた機械の稼働状況を確認しないまま作業に当たらせており、ダンパーゲートの動作確認もしていなかった。

霊夢:
 じゃ、じゃあもしかして……。

魔理沙:
 そしてAさんがゲート下にいる状態で油圧装置が作動し、下降したゲートに頭部を挟まれ、死亡していたと考えられた。

霊夢:
 そんなばかな……作業してるって分かってるのに、どうして動いたりするのよ。

魔理沙:
 こういった作業では、通常数名で取りかかり、安全確認のための合図、連絡をその都度行うことになっていた。

 しかし当日は、監督が例外的に単独作業を許可しており、ゲートを操作していた別の作業員への合図、連絡が適切に取られておらず、Aさんがゲート下に入っている事実が周知されていなかった。

霊夢:
 そ、そんなことって……。ていうか、そもそも稼働状態で作業すること自体だめでしょ!

魔理沙:
 その後、京都府警は今回の事故を業務上過失致死事件として捜査を行い、2023年に業務上過失致死の疑いで現場監督を書類送検した。

 この時の捜査では、責任者である現場監督が安全管理義務を怠った点、機械停止の確認不足、作業員への指示不徹底が焦点となり、規則を守り通常の手順を守っていれば、十分に防げた可能性が高いと判断された。

 このセンターを運営している京都市環境政策局は、今回の事故を受け公式に謝罪を表明。再発防止策として、安全教育の強化、作業員全員に対する定期的な安全講習の実施、作業手順の見直し、機械稼働時の二重確認ルールの導入。これは例えば複数の作業員による動作許可制などだな。

 そしてダンパーゲートを含む施設内の機械に、緊急停止装置やセンサーの追加を検討すると発表。当該施設は事故当日から一時停止していたが、安全点検が行われた後、再開された。

霊夢:
 ううぅ……ちょっとした連絡でちゃんと防げた事故だったのに……。

魔理沙:
 この事故は労働安全衛生の重要性を改めて浮き彫りにし、地元メディアで大きく報道され、また、労働組合、市民団体からは、施設の老朽化や人件費削減による安全管理の懈怠を指摘する声が上がり、京都市に対しさらなる対策を求める意見が提出された。

 この事故の発生原因としては、現場責任者の安全確認不足が直接的なものだったが、作業者間のコミュニケーション不足、施設の老朽化なども要因となっていたという指摘が多かったようだ。

霊夢:
 ここってそんなに古い場所だったの? でも装置が古いって言ってたわよね……。

魔理沙:
 このクリーンセンターは1970年代から稼働した施設で、老朽化に伴う不具合が近年頻発しており、また最新の安全基準に適合していないような箇所や、作業マニュアル、安全ルールの形骸化、そして実態に即していなかったことから、内部でその危険性が指摘されていたが、改善されずに放置されていたため、このような悲惨な事故が起きてしまっていたんだろう。

霊夢:
 こういう事故が起きないとなかなか対策って取られないから悲しいわね。

魔理沙:
 こういったごみ処理施設で発生する労働災害、それも挟まれ事故は非常に多く、厚生労働省の資料によればその死亡者数は全国で約780人にもなり、またごみ処理場は、機械による挟まれ事故が製造業、建設業に次いで多い場所だった。

霊夢:
 こういう事故があったってことを忘れず、二度と同じ事故が起きないようにしてほしいわね。


 安全確認の軽視と人手不足が重なったことで、取り返しのつかない死亡事故が発生しました。

 元の動画では、事故の詳細や背景についてより深く解説していますので、気になった方はぜひ動画をご覧ください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【2022年】『人足りないけどまぁいいや』ごみ処理場で確認作業を省略した結果5トンの重さが頭に…「廃棄物処理場脳挫滅事故」【ゆっくり解説】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm44832786

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