小学生「なんでご飯はお茶碗よりオニギリで食べる方が美味しいの?」 「それは…」科学者が大人も納得の回答
「夏休み子ども科学電話相談」はTwitter実況と併せて楽しもう
岡田:
もともと彼が訊きたかったのは、なんでパキケファロサウルス科の恐竜の中で、頭がとんがっているやつと、平たいやつがいるのかっていうことで、この先生が仰るには、もともとドラコレックスとスティギモロクというのが別々の恐竜として報告されていたんだけど、現在の学説ではドラコレックスが成長して、スティギモロクになって、それがパキケファロサウルスになるっていうのが、支配的な学説だと。
岡田:
ここまでは、この男の子も知ってたんですよ。だから小林先生は「子どもだっていう説があるんだよね。だからホマロケファレは真っ平なんだけど、あれが成長して、実はパキケファロサウルスみたいにドーム状になっていくと考えている研究者もいます」と、説明してあげるんだ。
岡田:
するとケイジ君は「なるほど!」って感心するんですね。最近は、この子ども相談があまりに面白いから有名になっちゃって、ツイッターを見ていると、「今回はすごいぞ!」とかですね、「この質問はすごい!」って解説をツイッター上で、みんながドンドンやっているんです。ツイッターと同時に見ると、面白さが何倍にもなります(笑)。4日
科学者が「物の考え方」を教える番組
岡田:
僕の好きな回は、「お茶碗で食べるご飯より、おにぎりの方が美味しいのは何故?」という小学校1年生の子どもの質問の回です。このときは一瞬スタジオにいる4、5人の先生たちが「誰が答えるの?」って、ざわついたんです。すると、統計学の先生が出てきて、「僕ら科学者は、本当かどうかを調べる時に、まず数を数えるんだ」と言って、その場にいる先生方に、「ご飯とおにぎりどっちが好きですか」と聞くと、ちょうど半々に分かれた。
「半々に分かれるっていうことは、どっちが美味しいかが正解じゃなくて、多分美味しいというのは記憶に関係しているんじゃないかな? 昔楽しいことがあっておにぎりを食べた人は、おにぎりを美味しく思うし、白いご飯をお茶碗で食べて美味しいと思った人は、ご飯が美味しいって答えるから……」っていうふうに話していく。
つまりこれは、どちらが美味しいか、美味しいと感じるのは何故か、という正解を教えるのではなくて、「それが本当かどうか、まずはこの場にいる人間だけでも数を数えてみようよ」という物の考え方を教えるというところが、面白いんだよね。
岡田:
あとね、昆虫のネタは大体100%当たりなんだけど、植物学の質問で「虫が食べる葉っぱと食べない葉っぱがあります。何が違うんですか?」って聞いたら、先生が物凄く嬉しそうに聞いて「虫が食べない葉っぱは、実は苦いんだよ。葉っぱの中に毒が入っているからだよね。虫が食べる葉っぱはそんなに苦くないんだよ。毒があるんだけども、ちょっと食べてみようよ。ちょっとかじってみたら、その2つの苦さの差がわかるよ」と言って薦める。
また別の子が、「蝉の抜け殻って食べられますか」って聞いたら、先生がすごく嬉しそうに「お母さんに唐揚げにしてもらおう。ちょっと食べてみよう。全部食べたらダメだよ。お腹を壊すからね」というふうに、この番組ではやたら食べることを薦める(笑)。
知識を与えるのではなくて、科学というのは基本的に実践であるので、まずは自分でちょっと食べてみたらいい、と言うんだ。
僕らは大人だから「蝉の抜け殻はキチン質【※】で、できているから食べられる」っていうふうに考えてしまう。そうじゃなくて毒じゃないんだから唐揚げにして、端っこ食べてみて、味わってみてから考えてみようという、面白い発想が出てくるんです。科学とは何かという基礎を教えてくれる良い番組であります。
※キチン質
節足動物や甲殻類の外骨格や、キノコなど菌類の細胞壁などの主成分である。カニの殻もキチン質である。
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