話題の記事

【最後まで聴くべき】サビで曲調がガラッと一変! “静と動”の構成が驚異的なぼかうた『◈*_放浪遊び』

 今回は、ゆくえわっとさんが1月13日に投稿した「◈*_放浪遊び」を紹介する。鳥のさえずりという静謐な環境音から始まるナンバー。そこに、UTAUのナースロボ_タイプTによる〈どこでもないみちをはだしでとびはねて〉という音色で果てしない冒険がはじまる。

文/小町 碧音(こまち みお)


 どこか機械的な響きを持ちながらも、実際に自分が冒険をしているような感覚に引き込まれるのは、五感を刺激する歌詞の力によるものといえるだろう。〈からだは宙にとけて〉〈悠々と空を嗅いだら〉〈風が袖を引いて〉といった自然が奏でる香りのする具体的な言葉は、目の前に広がる風景を鮮明に浮かび上がらせ、心を解放していく。また、雄大なサウンドに寄り添う一つひとつの言葉に絶妙な空白が生じるなかで、語りかけるように歌われるのも、この曲の特徴のひとつだ。

 音の波形が〈果てない日を〉〈追いかけて〉〈はしゃいで見てた 願い事は とうに追い越している〉〈遠くの方で〉といった、先へと進み続ける表現を持つ言葉たちと手を繋ぎながら、徐々に軽快なリズムに乗っていく様子は清流のように爽やかで心地よい。物憂げな響きを持った歌声は、幼い頃に見ていた景色が今現実のものとなった状況と、そこに潜むノスタルジックな感情を、歌詞の意味と一体となって表現しているように聞こえる。

 そして向かうのはクライマックスのサビ。〈まぎれて舞い散るこの刹那だから みちなきのままでゆく 景色もわるくはないでしょう〉と、歌声もサウンドもスケール感を増していく。

 その後、訪れる静寂。終盤に差し掛かるフレーズにある〈叶えたいもの増えて〉という歌詞が、希望の光を灯し、「どこまでも行けるような気がする」「新しい世界が待っているような気がする」という高揚感を高める。

 特に注目すべきは、二度繰り返される〈三月を超え果てない日を〉という歌詞だ。このフレーズには、限界を超えていく力強さがある。静と動を見事に表現したサウンド構成が魅力的なのはもちろん、感覚に訴えかける言葉そのものが持つ力も強い。   

 放浪するのも悪いことではないというニュアンスが込められたサビは、まさに自由な冒険を体現している。どんな失敗をしたとしても、すべては一瞬の出来事だから落ち込むことなく、前へ進んでいこう。そんなポジティブな気持ちで、空に向かって突き進む勇気を与えてくれるこの詩は、限界を感じさせない空のように広大で寛大な心を持った1曲といえるだろう。


「The VOCALOID Collection」 公式サイト

無料でボカロ聴くなら「ボカコレ」100万曲以上のボカロが聴ける音楽アプリ! ダウンロードはコチラ

―あわせて読みたい―

「ライアーダンサー」のボカロP”マサラダ”による最新楽曲。自ら制作したMVに注目!『ウルトラトレーラー』

【ボカコレ2023投稿作品】感情が爆発するような激しいサビに注目! ロックとテクノポップを融合した『ロストマジックロスト』

「ボカロP」の最新記事

新着ニュース一覧

アクセスランキング