「オフラインの遊び=贅沢」の時代に突入か。20代の外出回数が70代を下回る結果に。「引きこもり」自認する20代は6割超
旧い学校システムで選択肢を奪われた人間の消費活動
山田:
学校関係の現場の人には、申し訳ないんだけど……。システム全体の問題なんだろうけど、更新されない戦後型の学校の“40人を詰め込んでひとりの話を延々聞かせる”というのが、どれだけ古いやり方になっているかということなんだ。
そして、夢や希望がない、もしくは夢や希望がわからない時代に入って、いまだにそこに押し込めておくのは、10年、20年前に比べてはるかに負担が大きいはずなんだよ。
おそらく20年前くらいから俺たちのころとはまったく違う、想像を超えた圧力を子どもたちにかけてぶっ壊していると思う。学校で完全にまともな感性が捻じ曲げられて、外は恐怖でいっぱいだと押し込められた状態で、パッと「好きなことやれ」とか言われる。
冗談じゃないと思うよ。誰と外出して何するの? 外出したら何をしたらいいかを、さっきの恐怖と共感で植え込んでコントロールしているから、「俺を買え」とやるわけ。
乙君:
「金を使え」ということ?
山田:
こういう服を着ろ、こういう恋愛をしろ、こういう行動をしろと言って、その中の選択でしかやれることがないと今度は消去法になるんだよ。それでどうなるかというと、最終的にはネットで物を買うみたいな……。
まず受け入れなきゃならないのは、この学校というシステムが終わったところから“自分育て”を始めるというふうに全員が設定して構わないと思う。社会はそこに合意を持つべきだよね、学校を出たら即戦力なんてふざけんなという話。
気が付いたやつから本当のスタートなんだけど、学校から身を守る防空壕を作って、自分のたこつぼから自分にとって必要な知識や哲学みたいなものを組み立てていく作業を始める。それを一人で始めるやつが、最初に抜けるんだよ。
まわりの空気を気にして、学校で立ち位置だけを気にしながら、だよねーと生きていたら非常に危険なことになる。ゼロの状態から社会に出なければいけないから、みんなが怖くなってしまう。選択肢がないから外に行って何するの? という話だよね。
山田:
でも本人次第で外に行って楽しいことはいくらでもできるし、お金をかけない楽しみ方もいくらでもできるんだよね。俺は卒業してから組み上げていっていいんじゃないかと思うし、ネットのたこつぼの中から選択していくということが自分を育てることになると思う。
そこで新しいネットワークを作っていって、ネットの中で教育というか“自分育て”みたいなものは可能だと思うよ。だから今までみたいに「若いやつが家にいるんじゃない!」みたいなのは、完全に時代遅れで、そこからスタートだね。
面倒くさいから楽しい
乙君:
みんな気が付いていると思いますけれどね。その上で諦めているんだけど、それ以上に自分の目標とかを見つけるのが面倒くさいみたいなところがあると思う。俺は生きるのがとにかく面倒くさいですよ。
山田:
それを面白がれるかどうかでしょ?
乙君:
快楽原則に則ると、面白かったら生きるし面白くなかったら死ぬんですよね。でも、死ぬのも面倒くさいから、ダラダラしちゃうという話です。
山田:
でも、RPGはいきなりレベル50からじゃつまらないでしょ? 最初はスライムを倒すのも苦労するから面白いわけじゃん?
乙君:
それが面倒くさいですよ。成長していくということが面倒くさいんです。ダラダラとこの状態で、毎週の1クールごとに違うアニメが放送されて、ゲームがあって、この四畳半の中ですべてが充足して、そのまんま幸せに眠るように生きられればそれでいいんですよ。
だけど、やはり虚しさはあるんですよ。その虚しさをどうするかというコンテンツをみんな最近は消費しているんです。『おそ松さん』とかそんな感じですよ「ウェーイ!」と言って……。だから、そんなに学校に期待していないだろうし。
山田:
そうね、要は食い扶持があればいいわけじゃん? どうやって食っていくかの選択肢がいくつか学校以外にあれば、若い時期からそこから距離をとって生きていくことは不可能じゃない。
学校というものをどういうふうに利用していくかという考え方ができるんだけど、この国は学校から外れたら未来はない、という恐怖から始まるでしょう? その呪いから解いていかないとね。
乙君:
もうどっちに向いても面倒くさいですよね。
山田:
だから面倒くさいけど楽しいんだよ。
乙君:
われわれは楽しいんですよ。“面倒くさいから楽しい”というマインドはわかります。面白いけど、やっぱり面倒くさいのはわかるんですよ。できればずっとゲームの『三国志』をやっていたいんですよ。
山田:
『三国志』は面倒くさいだろ。俺は名前を覚えるのも大変だったからな(笑)。
乙君:
俺はもう『三国志』はレベル80くらいいっているんで。
山田:
だからそれが面倒くさくないのかという話じゃんかよ(笑)。
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