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経営者が『AI』になることはあるのか。「為替トレーダー600人中598人クビ」を受けてプログラマーが言及

 世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスが大量のコンピューターエンジニアを採用しており、人間のトレーダーに替わって株取引の自動化を進めています。

 ゴールドマン・サックスの最高財務責任者に就任予定のマーティ・チャベス氏は、「2017年現在で本社に残っているトレーダーはわずか2人です。空いた席を埋めているのは、200人のコンピューターエンジニアによって運用されている『自動株取引プログラム』です」とコメントしました。

 これを受けて、『ニコ論壇時評』ではプログラマーの小飼弾氏と、山路達也氏は「一部の株主と、限りなく少ない経営者とAIがひたすら資本を運営し、利益を生み出す会社像」について解説しました。

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人間のトレーダーを600人から2人へ

左から小飼弾氏、山路達也氏。

山路:
 同じようなことが海外の話でも出てきていまして、ゴールドマン・サックスはAIによる自動化を進めて、人間のトレーダーを600人から2人にするという。

小飼:
 でも、2人残るというのはなんか半端だよな、と。トレーダーではなくて、AIマネージャーというタイトルであればわかるんだけれども。

山路:
 これは会社の本質というのがどんどん明らかになってきている気がするんですけれどもね。

小飼:
 僕、折につけ言っていましたけれども、従業員というのは、法人の目から見た場合というのは什器と一緒だと。重たい機械のほうではなくて……。

山路:
 ロッカーとかの什器。

小飼:
 備品と同じだから。

山路:
 これは言ってみたら経費で動かしているようなものなんだという。

小飼:
 漁師が鵜飼いの鵜に変わっただけという。株主のものなんですよ。

山路:
 これは経営者も会社を所有しているわけではないわけなんですよね。

小飼:
 とは限らないわけです。そこは分離できるわけです、株式会社の場合は。

山路:
 経営者でも株を持っているオーナー社長みたいなものもいるけれども。

小飼:
 雇われもいるわけですよね。

経営者がAI化することはあり得るのか

山路:
 もう経営者自体もAIになっていくということは、十分にあり得ることなんですか?

小飼:
 あり得ますね。法律的には代表取締役というのを置かなければいけないですし、あまりに当たり前すぎて自然人でなければいけない、とまでは書いていないんですけれども。

山路:
 そういう決まりがないのであれば、それは面白いことをやってくるやつがいるかもしれないですよね?

小飼:
 でも、代表取締役はいるわけですよね。

山路:
 会社の本質というのは、言ってみたらそこに会社のお金があるよ、資本があるよということと、それをなんらかの手段で動かして利益を生み出すみたいなものさえあったら、それこそが資本主義という。

小飼:
 そこで上がった利益というのを、持ち株比率で分配する。もちろん今は、そう単純でもなく優先株とか、劣後債ですとかというものもあります。そういったものも加味しなければいけないですけれども、基本的には持ち分に応じて利益というのが配分される。

山路:
 一部の株主と、限りなく少ない経営者と、あとAI。それがひたすら資本を運営して、利益を生み出していくというのが会社の未来なんですかね。

集中するオーナーシップと日本の税法

小飼:
 今の問題というのは、そこにあるんじゃなくて、オーナーシップが過度に集中しているんですよね。面白いことに税金の議論をするときには、そっちのほうには全然目がいかなくて、給与がいくら以上だったら……というような。

山路:
 年収800万~900万のサラリーマンには増税になるみたいな。

小飼:
 だから少なくとも、税法上は働いたら負けなの。

山路:
 結局、ストック(資産)の部分がどんどん増えていっても、そこにそんなに課税されるわけじゃないですもんね。

小飼:
 そこはフラットですから。東日本大震災で税率がちょっと上がったんですけれども、基本的にはそういうことです。

山路:
 配当なんかの利益に関しても。

小飼:
 フラットです。

山路:
 別に累進課税みたいなことはないわけですもんね。

小飼:
 NISA【※】とかを使うと、少額の部分に関しては一部税金が免除されるという……。

※NISA
2014年1月にスタートした、個人投資家のための税制優遇制度。毎年120万円の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となる。

山路:
 でもNISAなんて微々たるものじゃないですか(笑)。

小飼:
 はっきり行って、あの制度はクソです。

山路:
 なんでこれ、みんな年収800万~900万の増税うんぬんそれよりも下か上かみたいな議論はしているのに、会社を持っている人のストックに課税するみたいな議論にはならない?

小飼:
 ストックに課税するというのか、オーナーシップを分散するということを考えないと、結局のところみんなオーナーのところに行くので。

山路:
 しかも、資本は集まれば集まるほどお金はどんどん強力になっていくじゃないですか。だからオーナーシップというか、オーナーの数は減る方向に行くんですかね。金持ちはますます大きなオーナーになるという。

小飼:
 結構問題なのは、オーナーは自然人でなくてもいいんですよね。institution(組織)でもいいんですよね。

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