経営者が『AI』になることはあるのか。「為替トレーダー600人中598人クビ」を受けてプログラマーが言及
日本最大の株主は日本政府です
小飼:
日本最大の株主というは日本国政府なんですよ。ETF【※】とかでばんばん買っているおかげで。これは物言わぬ株主になっちゃう。だからそこの部分というのをうまく利用できないものかねと。
※ETF
上場投資信託。日本のデフレ脱却を目指すため、量的・質的金融緩和の一つとして2013年4月から始まった。
山路:
前に弾さんが言っていた、ベーシック・アセットみたいな考え方という。
小飼:
そう、ETFとかで政府が持っているものというのは、われわれのベーシック・アセットとして扱っていいんじゃないかと。アセットとしてオーナーシップを設定するというよりも、国のほうで、アセットのオーナーはあくまでも国だけれども、そこから上がる利益は、は均等に配りますよと言ったら、未来の原資に使えると思うんですけれどもね。
山路:
ここのお金持ちが持っているものを分配しろと言うと、たぶんすごい抵抗感はあるだろうけれども。
小飼:
でも、少なくとも会社はだれのものかという愚問はきちんと答えが出ましたよね。株主のもの。
山路:
ここまで資本主義というのがシンプルになっていくとは正直、最初に株式会社の仕組みを考えた人も思わなかったんじゃないでしょうか。
小飼:
でも、似たようなことをマルクスだって言っていましたよ。
マルクスも想定していなかったAIの存在
小飼:
ただ、マルクスが想定していなかったというのは、やっぱりインテリジェントな機械の存在なんですよね。機械は存在していて、そのオペレーターとしての人というのは彼の頭の中にあったんだけれども、AIは想定していなかったと思います。
山路:
しかし、ゴールドマン・サックスなんかで、AIで取り引きをどんどんしていくわけじゃないですか。
小飼:
なんですけれども、富というのは集中しっぱなしでは結局、富を持っている人も運用できなくなるんですよ。
山路:
だれかが物を買ってくれるとかそういう。つまり消費という活動で世の中にお金が回らないと意味がない。
小飼:
流れが生じないとダメなのね。今はその意味で、せっかくの資本主義をうまく生かし切れていない。
山路:
そういう水が1カ所にたまってよどんで……。
小飼:
よどんじゃうの。
山路:
みんなのところに流れていかないから、全体がいい生態系にならない。
お金を貯めるのは人間の本能なのか
小飼:
すいません、今回特に話題がちょっと固いですかね。それでも貯めるやつは貯める。お金を貯めるのは、人間の本能に訴えるところがあるのかもしれないですけど。
山路:
だって、貯めるみたいな機能はあるわけじゃないですか、お金に。これだけいろいろと使わないお金を貯めこむのは、なにか人間のそういう本能みたいなものがあるのかなという気がしますけれどもね。使おうというインセンティブよりも、なんとなくいっぱい持っているというふうに思うほうが安心するという、そういう本能。
小飼:
どうなんですかね。それは人によってすごい差があると思いますよ。1日にiPhone1台買えるくらいガチャですっちゃう人というのはそんなに珍しくないですし。
山路:
ガチャか(笑)。
小飼:
だから使う人はいっぱい使うんですよ。いろんな使い方をする人をいっぱい集めておかないと、次はどんなものに金が流れていくのかというのが判明するのに時間がかかるんですよね。
山路:
面白いですね。いろんな稼ぎ方をする人じゃなくて、いろんなお金の使い方をする人を集めておくというか。
小飼:
そうなんです。これは実際に、これだけ生きていれば嫌でもわかっちゃうんですけれども、お金は稼ぐより使うほうがよっぽど難しいから。借金する人でも、借金してでも使う人がいるから回るんですよ。なんで孫さんがあんなに借金しまくってるかって言ったら、孫さんぐらいしかお金借りてくれないんですよ(笑)。
山路:
しかも兆円単位でいろいろなことに投資して使うという人がいないですもんね。
お金の流れが善悪を形作る
小飼:
別の言い方をすると、孫さんがいっぱいお金を借りることによって、世の中はこっちのほうに進むだろうと、あるいは、こっちのほうに進むべきだというのを進めている、早めているという見方もできるわけですよ。使ってくれる人がいるから世の中がそっちのほうに行くんですよ。
iPhoneを買ってくれるからアプリもできて、アプリもできるからガチャもできてという。ガチャもできるからガチャアプリを作っている会社にお金も人も集まって、という。
山路:
まあ、パチンコとかのおかげで面白いアニメが見れたりするみたいなこともありますもんね。その消費に善悪は別にないよという。いろいろな使い方があるだけで。
小飼:
というよりも、お金の流れが善悪を形作ってくんですよ。
山路:
それがうまく流れた時に、そのお金の使い方がいいものっていうふうに社会の中で認知されるようになるということですか。
小飼:
そういうことですね。で、いくらお金が集まってもヤバいというふうに言うと、使いにくくされちゃいますよね? いろいろな法が作られたり、規制がかけられたり。
山路:
弾さん的には、あらゆる金の使い方っていうのはもう個々人の自由にすべて任せといたほうが……。
小飼:
そう、だから金をばらまくことによって知恵を絞れるんですよ。だから、税金を搾り取るんじゃなくて、知恵を搾り取る。金がないとそういうふうに頭が回らないんですよ。
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