野口聡一さん搭乗“クルードラゴン”から激レア映像をお届け! 出発前の様子からISS到着後まで世界最速でお送りした生放送を振り返る
日本人として初めて、アメリカ・スペースX社が開発した新型宇宙船「クルードラゴン」の運用初号機に搭乗し、宇宙に向けて出発する野口聡一宇宙飛行士。
「クルードラゴン」の打ち上げに際して、ニコ生番組『野口さん。「宇宙、ついて行ってイイですか?」TV』が、11月16日「打ち上げ生中継」、11月17日「ISS到着生中継」の2番組に分けて放送されました。
番組ではクルードラゴンの順調な打ち上げ、切り離された1段エンジンが地球へと帰還する工程、無事に大気圏を突破する様子が臨場感たっぷりに届けられ、ISSとのドッキング後にクルーが入室する模様を届ける生中継では歴史的瞬間が世界最速放送されました。
本記事では、2つの生放送番組の模様をたっぷりとお届けします!
野口聡一さんの役割をご紹介
番組は、NON STYLE(ノンスタイル)井上裕介さん、フリーアナウンサーの石田紗英子さん、元AKB48前田亜美さん、鈴木奈々さんが出演。
解説として、JAXA有人宇宙技術部門有人宇宙技術センター、きぼうフライトディレクター(J-FLIGHT)を務める島村宏之さんが参加しました。
解説の島村さんは、今回野口さんの担う役割について、「主に大事なのは緊急時対応。どう脱出するか、火災が発生したらどうするか、デブリが衝突して船体に穴があいたらどうするかを冷静かつ的確に判断し行動する人材」と紹介しました。
スペースX「クルードラゴン」ってどんな宇宙船?
続いてスペースXが開発する民間初の宇宙船、「クルードラゴン」に迫ります。
解説の島村さんは模型を用いながら、全長約8メートル、直径約4メートルという実際の「クルードラゴン」の大きさについて、「大きめのバスを縦にしたイメージ」と表現。
そして、「クルードラゴン」は、電気自動車メーカー・テスラの創業者イーロン・マスクさんが立ち上げた民間宇宙開発企業「スペース X」 が開発した宇宙船であり、これまで国が主導だった宇宙事業で、民間ならではの発想による「資材・エンジンの再利用」「部品作りでの3Dプリンター導入」など新しい試みが取り入れられていることを語りました。
続いて、2009年に野口さんが宇宙へと旅立つ際に搭乗したロシア製の宇宙船「ソユーズTMA-17」と「クルードラゴン」の画像比較が行われます。
まずは「ソユーズTMA-17」の画像。操作用の物理ボタンが複雑に並んでいることがわかります。
続いて「クルードラゴン」の画像です。タッチパネルでのシンプル操作が可能となっております。
いよいよ「クルードラゴン」打ち上げ!
「クルードラゴン」の打ち上げ予定時刻が迫ると、映像が現地からの中継に切り替わります。低温の燃料を充てんする作業が直前まで続くため、「クルードラゴン」の全長約70メートルという船体は白いもやに包まれています。
そんな白いもやから時折見える船体の黒い部分は太陽光パネルです。先端部の「クルードラゴン」では4名の宇宙飛行士が既に打ち上げ時のGに耐えやすい、深くリクライニングし上を向いた姿勢で待機していることが伝えられます。
画面に船内の映像が映し出されると、野口さんは画面右奥に座っていることがわかります。ちなみに、地球を旅立つ朝の食事は「カツカレー」であったと発表されました。
そして、いよいよ打ち上げのカウントダウンが開始です!
ついにエンジン点火! 「クルードラゴン」が轟音とともに地面を垂直に離れると、視聴者からは「かっこよすぎる…」「音がたまらん」「なんか泣ける」といったコメントで埋め尽くされます。
凄まじいスピードで地球を離れる「クルードラゴン」、地上からのカメラでは追えなくなると、船体側面に取り付けられたカメラからの映像に切り替わります。
ここでは島村さんより、「1段エンジンが間もなく切り離されますが、この1段エンジンは地球の海上で待機する回収ドローン船に戻り再利用されます」との解説が入り、その海上で待機する回収ドローン船の名前が「Of Course I Still Love You(もちろん、君をまだ愛してる)」と素敵な名前であることが紹介されました。
1段エンジンが無事に切り離され、2段エンジンも順調な燃焼を見せる頃には、早くも1段エンジンが海上で無事に回収されます。この1段エンジンが回収される様子について島村さんは、「初めて見た時はSF映画のようで本当に驚きました」と語りました。
既に重力の影響も小さくなり始めると、2段エンジンもゆっくりと切り離されていきます。
船内の様子を伝えるカメラ映像も画面に加わると、宇宙飛行士の膝元にある映画「スターウォーズ」のヨーダ人形が無重力により浮かび上がっていることがわかります。
そして、打ち上げから約13分、「クルードラゴン」は予定通りの安定軌道に入り、今回の打ち上げは大成功!視聴者からも「88888888」「こういう瞬間に立ち会えて感激」といったコメントが多数寄せられました。
「ISS到着」を世界最速配信!
無事に打ち上げ成功した「クルードラゴン」運用初号機は、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキング完了。野口さんがISSへ入室する模様が生中継されました。
ISS到着生中継のスタジオに新たに加わったのは、宇宙までハンバーガーを打ち上げた経験のある人気動画クリエイター「水溜りボンド」のトミーさんとカンタさん。そして、JAXA有人宇宙技術部門有人宇宙技術センター・インクリメントマネージャの井上夏彦さん(以下、夏彦さん)です。
ISSとクルードラゴンのドッキングについて夏彦さんは、「ISSの後ろからクルードラゴンが近づき、ISSの下に潜り込んでから徐々に近づきドッキングする」というシステムであることを紹介します。これらの工程は時速28000kmという物凄いスピードの中で行われているため、少しずつ時間をかけなければならないそうです。
ISSとクルードラゴンのドッキング成功時の映像が流される際に寄せられた、「ハッチを開けるのにも時間がかかるんですか?」との質問に夏彦さんは、「時間がかかります。接続部分に空気を入れて、互いの気圧を同じにしてからでないとハッチオープンができないので」と回答していました。
ISSで野口さんが行うミッションは?
続いて番組では、ISSに到着した野口さんが行うミッションが紹介されました。
お主な内容は、以下の3つです。
宇宙探査に向けた技術実証
宇宙で燃焼がどのように行われるのか、宇宙船の中でどうしたら火事が発生しにくくなるかという技術に関する実験。
例えば、地上ではロウソクが燃える際、熱く軽くなった空気が上にのぼり、空気が循環するためロウソクの火は消えませんが、宇宙ではそのような循環が発生しないため、周りの酸素を燃やし尽くすと消えてしまう特性があります。
ISSではこのような空気の循環を人工的に発生させているので、同様の環境下でどのように燃焼が発生するかを細かく調査し、今後の火災発生を未然防止するなどの技術開発に繋げる狙いがあります。
社会課題への貢献や新たな「きぼう」利用需要の創出
ISSでは重力の影響がないため、立体的な細胞培養にメリットがあることから、地上では難しいヒトiPS細胞の培養などで医療分野へ応用できる技術の開発を目指します。
ここでは、今後人類の寿命が延びるのではという話題も出されました。
人材育成、社会貢献、国際貢献
重力の影響がない環境で成長できる特性を生かし、様々な国や地域から集められた植物の種子を栽培、新たな品種開発を目指します。これにより、地上での食糧問題や、農業従事者の雇用など多くの社会問題に貢献できるのではという狙いがあります。
いよいよハッチオープン! 野口さんの歴史的な一歩!
いよいよハッチオープンのタイミングも間近に迫ります。映像では、ISS側からアメリカのキャスリーン・ルビンズさんがハッチオープンの準備を進める様子が映し出されました。
夏彦さんからは、「基本的にハッチは手動で開けることになっており、ドッキングから約1時間半ほどかかります」との説明がありました。対するクルードラゴン側は、船内の片付けをして待機している状況であることが伝えられます。
ドッキング成功時の野口さんのコメントも届けられました。
「民間宇宙船のドッキング成功に立ち会えてとても幸せ。訓練の間、そして打ち上がった後も困難な状況に直面したが、全集中で乗り切りました。これから半年間の宇宙滞在でも皆さんと感動を分かち合いましょう!オール・フォー・ワン、クルーワン・フォー・オール」
いよいよハッチオープンの準備が整うと、ISS側、クルードラゴン側ともに慌ただしさが増し、歴史的瞬間が迫ります。クルードラゴン側では衣服を着替え、各クルーがパットを見ながらの最終作業を行っている様子が映し出され、最後の荷物整理が行われています。
11月17日15時2分。ついにハッチオープンとなり、マイケル・ホプキンス船長、今回が初宇宙となるビクター・グローバーさん、シャノン・ウォーカーさんと続き、最後に野口聡一さんがISSへの歴史的な一歩を刻みます!
この後はISSクルーよりISS内の安全上注意事項説明があり、到着した4人を歓迎する「ウエルカムセレモニー」が行われることが伝えられます。野口さんはカメラに向け手を振ってくれる場面もありました。
ISS内では記念撮影が行われ、早速良好な関係性が築かれていることも伝わります。
番組の最後は夏彦さんの「もちろん今回の歴史的瞬間は始まりでもあります。これから野口さんらクルーは様々なミッションにチャレンジしていくのです」という言葉で締めくくられました。
番組情報
『野口さん。「宇宙、ついて行ってイイですか?」TV 打ち上げ生中継』の視聴はコチラから。
『野口さん。「宇宙、ついて行ってイイですか?」TV ISS到着生中継』の視聴はコチラから。
関連リンク
宇宙と交信しよう!6 months mission challengeキャンペーン
野口宇宙飛行士のYouTubeチャンネル「soichi astro」