『全日本女子プロレス』 本当にあった“最狂”にヤバイ話を吉田豪が語る
6月30日に『吉田豪の”最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集』が発売されました。
本書ではインタビューを元に全日本女子プロレスの「世界で唯一の賭け事が成立するプロレス団体」という側面に触れています。これを受けて久田将義さんと吉田豪さんが『タブーなワイドショー』で全女スター達の逸話について語りました。
結末を決めないで平気でプロレスをやっていた特殊な団体、それが全女
吉田:
今回取り上げるのはこれです。「吉田豪の“最狂”全女伝説 女子プロレスラー・インタビュー集」、久田さんにも読んでいただきましてありがとうございます。
久田:
もちろん読ませていただきました。あと一連のプロレス本の流れにもなりますよね。
吉田:
「1984年のUWF」という柳澤健さんが出した本が、佐山聡さんがいわゆるプロレスをどう格闘技にしていくかを本気で考えて、高い理想をもって行動したものの、志半ばで破れるという物語ですけど。何の高い理想もなく、あっさりガチをやってた全女【※1】という、そういう本ですね。
「全女ガチやってたの?」(コメント)はい、これをまず一から説明していきますと、全女の特殊さ、このタイトル「世界で唯一の賭け事が成立するプロレス団体」というこれ、言っちゃうとそれこそG1【※2】とかでも賭けをするのは可能です。
※1 全女
全日本女子プロレス。正式名称は全日本女子プロレス興業株式会社。1968年、東京都品川区の品川公会堂で旗揚げ戦を開催、2005年、後楽園ホールの興行を最後に解散。
※2 G1
G1 CLIMAX。新日本プロレス主催のヘビー級選手によるシングルリーグ戦。
吉田:
全女の何が特殊かと言うと、関係者が賭けをしていたということなんですよ。関係者が賭けるのは、プロレスではまず無理です。
久田:
格闘技じゃないからね。
吉田:
それが成立していたのが、全女の異常さですね。まず、新人同士は基本的にガチで試合をやらされます。で、新人の試合に内部の人が賭けます。
「押さえ込み」というアマレスに近いルールなんですよね。普通にプロレスをやった後に、ある段階から、ただ地味に押さえ込んでカウント3を取ったら勝ちというね。
久田:
アマレス的なやつかな? それとも柔道的なやつ?
吉田:
柔道に近いんですけどね。
久田:
「押さえ込み」というのが、この本にいっぱい出てくるんですよ。
吉田:
平気で結末を決めないでプロレスをやっていた特殊な団体、それが全女。若手はその後にプロレスを学んで、「強いだけじゃだめだ」ということを学んでいったりするんですけど。
全女は特殊だ、というのがわかるのが、チャンピオンベルトがかかるような試合であっても、選手は「押さえ込みでいいや」と(笑)。押さえ込みでベルトが移動するプロレス団体って世界でもないんですよ。
久田:
テレビで全女の試合を結構見ていたけど、あれはガチで押さえ込んでたんだ?
吉田:
全女の試合を見ていると……いわゆる他のプロレス団体だと、カウントは2.9で返すものじゃないですか。
全女はそういう試合だとすごくバタバタしてるし、カウント1ぐらいで必死に返しているみたいな(笑)。ギリギリで返すのが流儀じゃないですか。
久田:
なるほど、本当にやってたのね。すごいね。
吉田:
全女は違う特殊なルールなんですよ。それが混ざることがあって……要は、実力主義でチャンピオンも交代するし、実力主義でスターが辞めていくんです。