『全日本女子プロレス』 本当にあった“最狂”にヤバイ話を吉田豪が語る
「おい! 私の写真は撮らなくていいのか! 今、撮らないと後悔するよ!」
久田:
この本を読んで面白かったのは、僕は赤城マリ子さんですよ。
吉田:
当然、僕らの世代じゃないんですけど、超格好いいじゃないですか(笑)。スナックをやっていた人だから水商売っぽいサバサバした感じと、プロレスのプロ意識とね。
久田:
本を読んだら言いたい放題じゃない(笑)。
吉田:
赤城マリ子さんはどういう人かというとマッハ文朱さんよりも先輩なんですよ。だからマッハさんとかビューティー・ペアが、いかにポンコツでろくでもないやつだったのかみたいな、全方位に悪口を言い続けてました(笑)。
久田:
ただ、当時のポスターではど真ん中なんですよね。
吉田:
大スターです。16歳ぐらいで、もう女子プロに入った珍しい人ですね。昔、まだ全女があったころにマッハ文朱さんたちを表彰する時があったんです。僕はその時に会場の横浜アリーナに行ってマッハ文朱さんにインタビューしたんです。
その時に僕は赤城マリ子さんと全然面識はなかったんですけど、赤城さんに「おい! 私の写真は撮らなくていいのか! 今、撮らないと後悔するよ!」って脅されてたのを思い出しました。その時に赤城さんを格好いいと思ったんですよね(笑)。
久田:
格好いいですね。変わらないということですね。
吉田:
全然変わらないですね。異常なプロ意識の持ち主というか(笑)。
ベテラン女子プロレスラー列伝
久田:
マッハ文朱さん、僕が子供のころに背が高くて……蹴りを使ってたぐらいは覚えてますけど。
吉田:
マッハさんは極真なんですよ。だから押さえ込み的な強さではないですよね。打撃で大山総裁【※】が本当に「俺の娘にしたい」と言ったぐらいの人ですよね。
※大山総裁
大山倍達。国際空手道連盟総裁・極真会館館長。1970年代に週刊少年マガジンに連載された劇画『空手バカ一代』でも、主人公として取り上げられた。
久田:
なるほど。背高いもんね。あと、ビューティー・ペアとかクラッシュ・ギャルズが「いじめられた」とか言っても「いじめてないんだけど」と言う人がいっぱいいたんで面白かったですね(笑)。
吉田:
いじめの検証ですね。ナンシー久美さんがいかにひどい人かというのを、ダンプ松本さんとかいろんな人が言うんだけど、ナンシーさんに会ったら本当にいい人でした(笑)。
理由がだんだんわかってきますよね。とにかくダンプさんが練習嫌いだったから無理に練習をさせたら嫌われたみたいな感じでしたね。
久田:
長与さんとダンプさんが出演されていた回の『ザ・ノンフィクション』、ご覧になりましたか。
吉田:
ふたりともプロレス辞めたはずなのに復帰して水商売をやりながらなんとか続けている……みたいな感じでしたね……。
久田:
その話の裏話もこの本に出てくるんですけどね。
吉田:
ノーギャラで、ひどい目に遭ったとぼやいてるダンプさんとかね。ちなみに僕が印象的なのが、この本には入っていないんですけど尾崎魔弓さんのインタビューをしたときにその話をしたら、本当にああいうのは迷惑だって言っていました。
久田:
どういうこと?
吉田:
ああいう女子プロレスが落ちぶれてるみたいな感じのは……本当にプロ意識があるんだったら、ああいうの出ないでほしいみたいなことですね。尾崎さんがピシャリと言っていたのが印象的でした。