“夢の映像化”ができる日も近い? 「脳の活動パターン」を用いた視覚の画像化技術を解説してみた
今回紹介する、生命科学ゆっくり解説【ナマラボ】さんが投稿した『【ゆっくり解説】夢を映像化する最新脳科学!脳から心読む技術とは【ブレイン・デコーディング】』では、音声読み上げソフトを使用して、夢の映像化についての最新研究を解説していきます。
夢の映像化はそんな遠い未来でもない?
霊夢:
突然ですが皆さんは自分の夢を映像に残したいと思ったことや、他人の夢を見たいと思ったことはありませんか?
魔理沙:
ということで、今回のテーマは夢の映像化についてだ。
霊夢:
夢はとても不思議なので、普段ありえないような状況が起きるのに、夢の中では滅多に「これは夢だ」と気づくこともありません。
魔理沙:
さらに、なぜ人は夢を見るのかについても、まだほとんど解明されていない。
霊夢:
しかし近年では、目覚ましいスピードで技術が発展していて、少し前までは不可能であったことも実現の可能性が見えてきています。
魔理沙:
夢の画像化についても、まだ完成はしていないが、将来達成される可能性を感じる研究が進んでいるんだ。今から紹介するのは、日本人研究者である神谷先生の研究成果だ。まずは被験者にいろいろな画像を見せて、コンピューターに脳の活動パターンを学習させるんだ。その後、被験者にはフクロウの画像を見せたんだ。そしてコンピューターに、どの時の脳の活動パターンをもとに、どんな画像を見ているかを答えさせたんだ。
霊夢:
うーん、思っていたものとはちょっと違うわね。フクロウのいる場所やなんとなくの雰囲気はたしかに似ているわね。それでも脳の活動パターンから、ここまで近いものが作られるのはすごいんじゃないかしら。
魔理沙:
せっかくだから、もう少し他の結果も見ていこう。
霊夢:
私的には、白鳥やポストが特に似ていると思うわ。
魔理沙:
現在の技術ではこれが限界ではあるんだが、質感や雰囲気はかなり惜しいところまで近づいていると思う。ここまで紹介したのは、2019年時点での成果になる。この脳の活動パターンを用いた視覚の画像化は、実はもう少し前から研究が行われていたんだ。神谷先生は、2013年には夢の画像化に取り組んでいたんだ。
霊夢:
でも2013年って約10年前じゃない。ということは、10年前には夢を画像化できていたってこと?
魔理沙:
この頃行われた実験では、まだそこまでは達成されていないんだ。実験内容を解説しながら、詳細について話していく。被験者にあらかじめいろいろな画像を見てもらい、画像と脳の活動パターンをコンピューターに学習させておいたんだ。そして今回は夢の内容を調べるために、被験者にはMRIの中で眠ってもらったんだ。
霊夢:
すごい寝心地が悪そうだわ。
魔理沙:
MRIを使わないと脳の活動を測れないからしょうがない。MRIでの測定と同時に脳波を測定することで、夢を見ているタイミングを割り出し、夢を見たタイミングで被験者を起こして夢の内容を聞き出したんだ。この方法でひとりの被験者あたり、だいたい200回分の夢の情報を得たんだ。
霊夢:
それでどんな結果が得られたのかしら。
魔理沙:
この実験ではコンピューターには夢の内容をざっくりと推定させたんだ。具体的には夢に登場しているものの種類を、男性、女性、建物、車、食べ物、文字などの約20のカテゴリーからコンピューターに推測させたんだ。
たとえば巨大化して怪獣と戦う夢を見ていた場合は、怪獣をあらわす動物と、ビルをあらわす建物が夢にあらわれていることがわかれば成功となる。そして睡眠中の脳の活動パターンを読み取った結果、被験者の夢の中に現れた物体を高い精度で予測することに成功したんだ。
霊夢:
すごいわね。解析の精度が良くなれば、本当に夢を映像化することもできるかもしれないわね。
魔理沙:
この成果がもっと発展すれば、夢の映像化ができるようになるかもしれないんだ。ただしMRI装置内で眠らないといけないけどな。
霊夢:
それだと安眠できずに悪夢を見てしまいそうだわ。
魔理沙:
神谷先生いわく、意外によく眠れるらしい。この研究は他にもとても重要な結果をもたらしているんだ。今の技術でも夢をなぜ見るのか、そもそも夢とは何かが解明できていないんだ。夢に関するのひとつの説として、1977年に ハーバード大学のボブソンとマッカーリーが提唱した賦活合成仮説というものがある。
これはレム睡眠中には感情を司る大脳辺縁系と視覚を構成する視覚野が活動していて、その時に合成されたイメージこそが夢だという仮説。今回、睡眠中における視覚野の活動パターンが夢と関連していることが分かったということは、賦活合成仮説が正しいことの科学的な証明につながるかもしれない。
霊夢:
夢そのものの意味も解明されるかもしれないってことなのね。
魔理沙:
夢の映像化が可能になるだけではなくて、そんな遠くない未来には私たちが想像していない世界が広がっているかもしれないな。
まだまだ謎が多い分野ですが、近年の研究によってだんだんと解明に近づいてきているのかもしれません。解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
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