1999年に発売された『ファイナルファンタジーVIII』を令和になってもやりこみ続ける男がいた──過酷な縛りを己に課すやりこみゲーマーの性(さが)
「『FF8』に飽きるという概念はない」
2015年から7年に渡り、『ファイナルファンタジーVIII(FF8)』の縛りプレイ、やりこみプレイに挑み続けている動画投稿者・shelfall(シェルフォール)さんはそう語った。
正直、この言葉を聞いたとき、「この人はいったい何を言っているんだ……?」と頭の中に疑問符が溢れてしまった。
しかし、shelfallさんがこの約7年の間に投稿してきた『FF8』の動画数は260超。しかも、常人であれば体験することはないであろう、特殊な遊びかたを続けている事実を見ると、妙な説得力がある。
例えば、コントローラーの△ボタンを押してはいけない縛りプレイ「△ボタン禁止でFF8」では、△ボタンを押せないため自由にメニューを開けないしセーブもできない状況でクリアを目指した。
メニューを開けないということは装備を整えてステータス強化(『FF8』の目玉であるジャンクション)もできない。加えて、△ボタンを押せないと戦闘で強い技を使うこともできない。苦行にしか見えない。
「1行動1回縛り」という縛りプレイは、その名の通り戦闘中に同じ行動を2回以上使わないでクリアを目指すものだ。
強力な技はもちろん、「たたかう」ですら1回しか使えないため、無駄な行動は一切許されない。苦行にしか見えない。
また、慎重に慎重を重ねてゲームを進めていくことをテーマとした「石橋を叩いてFF8」。ゲームのラスボスを倒すまでに通算800時間以上かけるやりこみプレイのため、戦闘での苦戦は一切ない。
しかし、30時間以上に渡って同じ敵を倒し続けるような、労働基準法もビックリな稼ぎプレイをさも当然のごとくこなしていくやりこみ具合は、これまた苦行にしか見えない。
そもそも『FF8』が発売されたのは1999年2月11日。20年以上も昔だ。
現代は2022年。人によっては「レトロゲーム」と呼ぶであろうタイトルを令和となった今でもプレイし続ける。しかも、数々の縛りを自身に課し、ときに苦行とも呼べるほどの時間と労力を費やして。
なぜここまで『FF8』を飽きずにプレイし続けられているのか?
あえて自身に厳しい縛りを課す理由とは?
苦行にしか見えない行為に挑んでいる時の心境とは?
「本当にクリアできるのか?」と疑問を抱いてしまうほど厳しい縛りを自身に課し、信じられないほどの時間と労力をゲームに注ぎ込む、やりこみゲーマーの頭の中に迫るシリーズ「やりこみゲーマー列伝」。今回はshelfallさんにお話をうかがった。
取材・文/河村六四
編集/竹中プレジデント
『FF8』に飽きるという概念はない
──2015年から約7年に渡って、『FF8』の縛りプレイやらやりこみプレイやらの動画を投稿しているshelfallさんですが、ここまでひとつのタイトルをプレイし続ける理由はなんでしょうか。
shelfall:
純粋に『FF』シリーズの中で一番好きな作品だからです。好きだからいろいろ調べたり考えたりしているうちに、新しいネタを思いつく、といった感じです。
──好きとはいえ、ずっと同じタイトルばかりプレイしていて飽きないんですか?
shelfall:
動画のコメントでも、人生のすべてを『FF8』に費やしているかのように言われることがありますが……(笑)。
ほかにも趣味はいろいろあって、音楽制作とかレゴとか、バランスを取りながらやっています。あと、『FF8』に飽きるという概念はないです。
──飽きるという概念がない……。
shelfall:
ないですね。いろいろな縛り条件でプレイするたびに新しい気づきがあるんです。普段なら瞬殺してしまうボスの意外な行動パターンが見られたり、普通にプレイしたら使わないキャラや弱い技が活躍したり。
──縛りを課してプレイすることで、毎回『FF8』の違った一面が見えてくる、と。
shelfall:
そうですね。普通にプレイするだけでは気づけない魅力を知れるのが縛りプレイの醍醐味だと思います。
──『FF8』の縛りプレイについては、ネタはまだまだありそうですか?
shelfall:
さすがに6シリーズもやっているので、縛りプレイのネタはそうそう思いつかないですね。正直、新シリーズ(【FF8】最少「倒した敵の数」クリアに挑戦)もたまたま思いついただけなので。
ただ、単発動画でのネタはまだまだあるので、『FF8』と触れ合って動画化するのは当分続けていけそうです。
──単発動画を含めると『FF8』の動画だけで260を超えています。これだけの投稿数になると、録画している量だけでもトンデモナイことになってそうですね。
shelfall:
もちろんゲームプレイのすべてを録画しているわけではないのですが、後々使うかも、と思って保存しておくものもあるので、それなりの量にはなっています。
フルHDで録画すると重くなりすぎるので、今は1280×720のサイズで録画していて。それでも、1時間録画すると1ギガバイト(GB)を超えてしまうので、いつの間にか外付けハードディスクも3台(2TBの2つ、4TBの1つ)に増えちゃいましたね。
──ええ、すごい…。それだけ録画していると動画を作るときに必要な場面を探し出すのも大変だと思うんですが、どう管理されているんでしょう。
shelfall:
ざっくり「このパートにはこの録画分を使おう」と考えながら動画データを区切って撮影をしていますね。動画データはナンバリングして撮影した順番がわかるようにしつつ、そのパートでどんなことしているのかメモをして後から見返してもわかるようにしています。
それでも「石橋を叩いてFF8(PC版)を初見プレイ」のときは、録画データかかなりの量になってしまったので大変でした。いまそのファイルを見ているのですがこんな感じで……。
──「アルケオ(アルケオダイノス)狩り」や「アダマンタイマイ食べまくり」がズラリと並んでいますね(笑)。
shelfall:
このシリーズはとくに稼ぎ作業が多かったので、後半のほうはずっとモンスターを食べてばかり【※】いた気もします。
容量的に1データ30~40分くらいのがズラッと並んでいるので、編集するのもひと苦労でした。
※特定のモンスターに対して「たべる」コマンドを使用することでステータスを強化できる。
──単純計算で「アルケオ狩り」で約6時間、「アダマンタイマイ食べまくり(食べ放題)」で約32時間……。これだけの時間、同じ敵とずっと戦うというのはもはや修行に近いですよね。このシリーズは結局どのくらい時間がかかったんですか?
shelfall:
通算で800時間はプレイしているとは思います。ラスボス戦の動画データは「1168」とナンバリングされているので、撮影だけでも1168回はしているみたいです。
このシリーズだけでハードディスク1台の容量を使いきってしまったんですが、見返してみてそりゃ埋まるなって量ではありますね。
──……それだけプレイしても『FF8』は飽きない?
shelfall:
飽きないです。プレイすればするほど『FF8』が好きになっていきます。
縛り条件を考えるときは極端な運ゲーは避ける。そして絶対に完走する
──縛りプレイをしていると、何度も敗北を重ねてしまうシーンというのは少なくないと思います。それこそ何時間、何十時間と同じ敵に挑むこともある。そんな失敗を重ねているときってどんな心境なんでしょうか?
shelfall:
早く解放されたいという想いと、「いい縛り条件を作れたな……」と自分を褒めたい想い。ふたつの感情が混じりあった複雑な心境です。
──当然のことかもしれないんですが、shelfallさんでも失敗が続くと辛いんですね(笑)。
shelfall:
それはもちろん。全滅が続くと苦痛に感じることはあります(苦笑)。
最近だと「△ボタン禁止でFF8」のナムタル・ウトク(デリング大統領誘拐ミッションで戦うボス)戦はとくに大変でした。
──「△ボタン禁止でFF8」は文字通り△ボタンを使わずにクリアを目指す縛りプレイですが、どのあたりに苦戦したんでしょう。
shelfall:
この縛りだと、メニューを自由に開けないので、ジャンクション(魔法やアイテムを装備してステータスを強化すること)や習得アビリティ設定、アイテムの使用が好きなタイミングで行えません。そのため、序盤は強制的にノージャンクションで進めないといけない。
ナムタル・ウトク戦もノージャンクションでの戦いになります。加えて、△ボタンを連打して特殊技が出せるまで粘ることもできないため、ただのノージャンクション縛りよりも難易度が上がります。
ただでさえ難所なのに、メニューを開けないということでセーブもできず、負けたらゲーム最初からやり直し。1回やり直すのに倍速モードを使って1時間かかるので、難易度が高かったです。
──負けたら1時間やり直しというのは厳しい戦いですね。
shelfall:
このときは確か通算8回目の挑戦で突破できました。
最近の縛りのなかだと運要素が大きく絡む戦いになってしまい、辛かったしもうやりたくないですね。でも結果的には、ちょうどいい塩梅のクリアをお見せできたのかなと思うので、これはこれでアリだったのかなと。
──いやあ……聞いているだけで大変さが伝わってきます。そんな苦痛の中でも自分を褒めたくなる“いい縛り”とはいったいどういう条件なんでしょう。
shelfall:
縛り条件を考える際に大事にしていることが3つあって、ひとつ目が完走できる縛りにすることなんです。これは絶対です。
──詰まないで最後まで走り切れること。理由としてはどのような?
shelfall:
私は他の投稿者の方の縛りプレイ動画もよく見ているのですが、パート1からずっと見ていた動画が完結しないまま、投稿者が途中で失踪してしまったときって、やっぱり残念な気持ちになるんですよね。
最新のゲームでもないどころか、もう20年以上前のゲームの、しかもマニアックな縛りプレイに付き合っていただいている視聴者の方にそういった悲しみを感じさせたくないという想いがあります。
──ふむふむ。
shelfall:
そしてふたつ目が極端な運ゲーを避けることです。一見すると無理そうでも、理詰めで最善を尽くすことで勝機が見えてくる。でも最後は運ゲーになる。というのが個人的にいい縛りだと思っています。
──ふたつの運ゲーにはどのような違いが?
shelfall:
自分なりの縛りプレイの哲学は「人事を尽くして天命を待つ」で、これはただただ試行回数を重ね突破するのではなく、「最適な戦略を立てたうえで、それでも運ゲーになる部分は仕方がない」という考えかたです。
逆に、とくに戦略を立てずに試行回数を重ねて「何十時間かけました」「何千リテイクやりました」みたいな運ゲーは、プレイするのはもちろん、視聴者の方も辛いと思うので、自分としては避けたいと思っています。
──なるほど。戦略を立てるのを重要視されている。そしてそのうえで運ゲーになるのはしょうがないと。
shelfall:
そして3つ目が縛り条件がシンプルであることです。
細かい条件を多数並べて、ひたすら難易度を上げるタイプの縛りプレイは個人的にあまり好きではなくて。難易度が高ければ、それだけ苦労している様子は見せられると思うのですが、見ていて「何がよくて何がダメか」が分からなくなりがちになってしまうと思うんです。
「△ボタン押さずにクリアします」や「同じ行動は2度と使えません」ってシンプルじゃないですか。シンプルだから見ている側もわかりやすい。コンセプトを考える際にシンプルでわかりやすいというのは意識しています。
──縛りプレイだとしても、難しければ難しいだけ“いい縛り”というわけでもないんですね。
shelfall:
じつは……初『FF8』縛りプレイ動画の「FF8ノージャンクション1人旅+α」がまさに極端な運ゲーを試行回数で突破するタイプの縛りだったんです。
△ボタンを連打して、いい特殊技の条件が出るのを待つという。だからラスボス戦はとくにひどくて、無敵がなくなったら無敵が出るのを祈る。本当にひたすら天に祈るだけでした。
しかも途中で詰んでしまって……セーブデータを遡ってリノアのレベルをより低いまま進めることでなんとか完走できたのでよかったのですが、自分の動画の中では一番苦労したし、いま振り返ると美しくないなって思います。
──とはいえ、そこまで難しい縛りプレイを完走して、実現可能だと証明したことには意義があると思っています。
shelfall:
そうですね。そうだと思います。「極端な運ゲーを避ける」考えが生まれたのはこの縛りが相当辛かったからですし、以降の縛りプレイ動画では、見ていてそんなに苦じゃない、ただの祈りゲーじゃないみたいなところを考えて作るようになりました。
アイデアを思いついてチャートに落とすまでが縛りプレイでの楽しさの9割を占める
──縛り条件を考えて、事前準備をして、実際にプレイして、クリアする。苦しい時間も少なくないやりこみプレイの中で、一番楽しい瞬間ってどのタイミングなんでしょうか。
shelfall:
一番はアイデアを思いついた縛り条件でクリアまでの道筋が見えたときです。
もちろん、プレイしていて戦略がうまくハマっておもしろい戦闘が撮れたり、動画に対してリアクションをもらえたときも楽しいのですが、自分としてはチャートができた段階で縛りプレイはほぼ完成していると思っています。
チャートさえ組めればあとはゲームをプレイしていくだけ……と言ったらおかしいんですけど、チャートに従ってプレイしていくことになるので。アイデアを考えてからチャートに落とすまでが楽しさの9割くらいを占めていますね。
──縛りプレイはチャート作りが9割……。縛り条件はどのようにお考えで?
shelfall:
「よーし縛りプレイのネタを考えるぞ」ということはなくて、入浴中に漠然と『FF8』のことを考えているときに、フッと降りてくることが多いですね。
思いついたアイデアの中で「これはいけそうだな」というものは、実際にチャートを作るところまで進めちゃいます。
──というと、思いついたとしても、そもそも無理そうだったり、チャートを作っているなかでボツにしてしまったアイデアもあったり?
shelfall:
ありますね。それこそ「1行動1回縛り」は『FF7』で思いついた縛り条件だったんですよ。
でも、『FF7』は序盤に選択できる行動が少なく、どう考えても最初のダンジョンのボスが倒せなくて。縛り条件を緩める方向で検討もしたんですが、条件が複雑になると見ている側もわかりにくい動画になってしまうし、インパクトもない、ということで諦めたんです。
──最初のダンジョンすらクリアできないとは……。
shelfall:
これは『FF7』に限った話ではなくRPGの縛りプレイあるあるなんですが、序盤のほうが辛い……というか障壁になりがちなんです。ゲームが進行すればするほど、アイテムや装備が揃ってさまざまな戦略がとれるようになります。でも序盤はその選択肢が少ない。
でも『FF8』は、カードゲームで集めたカードから強力な魔法を作る“カード変化”と、魔法やアイテムを装備することでステータスを強化する“ジャンクションシステム”の噛み合いのおかげで、序盤からとれる選択肢が非常に多いんです。そんな『FF8』なら「1行動1回縛り」もできるんじゃないか? そう考えて『FF8』で挑戦してみることにしたんです。
──その自由度の高さこそ『FF8』の魅力であるとは思うのですが、逆にチャートを作るときは大変さが増すのではないでしょうか?
shelfall:
おっしゃる通りです。「【FF8】1行動1回縛り」は序盤からとれる行動が多いからこそできた縛りプレイではあるのですが、それゆえにチャートを作る時はかなり試行錯誤をしました。
思いつきで進めちゃうと後半使える行動がなくなってしまうので、1戦目からラストバトルまでどの行動を使うか、細かくチャートをしっかり組んでから走り始めました。
──どうチャートを組んでいったのか気になります。
shelfall:
最初のボスのイフリートからラスボスまでの強制戦闘をエクセルにバーッと並べていくんです。次にそれぞれの戦闘の間に必要な最低限の行動を書き出してクリアの目処が立つかどうかを確認。そこが通ったら、難所になりそうなところを洗い出して、そこで絶対に必要な行動を当てはめていく。
パズルのように組んだりバラしたりをくり返して、チャートを組むだけで何日もかかった記憶があります。
──ほうほう。チャートを組んでいくなかでもっとも試行錯誤したところってどのあたりですか?
shelfall:
強いてひとつあげるなら、魔法のランプで出現するディアボロスに、セルフィの特殊技「スロット」専用の究極魔法「ジエンド」を使う判断をしたところですね。どんなボスでも絶対に一撃で倒せるこの行動を、本当に序盤で使ってしまって大丈夫か、とても悩みました。
じつは、チャートを作り始めたものの、この縛り条件でのクリアは無理だと思っていたんです。いいコンセプトではあるんですけど、行動回数がまったく足りなかったので。そんなときに、序盤でジエンドを使ってディアボロスを倒せれば使える行動が増えていけるかも……と気づいたんです。
──動画のコメントでも「意外だ」って反応がありましたね。
shelfall:
あのタイミングでディアボロスのG.F.を入手して、そのアビリティを使っていろいろな魔法を精製できて、その後にとれる行動が増えていった。英断だったと思います。
事前に入念なチャートを作ったのもあって、“敵にダメージを与える行動すべてを使い切ってのクリア”の道筋が見えたときにはゾクゾクしました。
私生活への影響がないようにバランスをとって活動している
──ここ7年における投稿された動画を見ると、いつも何かしら厳しい縛りを課してプレイしているじゃないですか。こう聞くと失礼かもしれませんが……ゲームを縛らないで普通にプレイしても満足できるんですか?
shelfall:
どうなんでしょう……。ここ数年は動画を投稿している縛りプレイ以外でゲームをほとんどプレイしていないので、ちょっとわからないですね。
──つまり『FF8』以外はほぼプレイされてないってことですよね。それには何か理由が?
shelfall:
ゲームに限らず、レゴや音楽など動画を作って投稿するところが楽しくて、そこに時間を使っているがゆえ、新しいゲームを開拓したい想いがあまりないからでしょうか。仕事や家族と過ごす時間も大事にしていて、自分の可処分時間も限られているので。
それもあって、かかる時間が予想しにくい運ゲー要素の強い縛りプレイではなく、戦略の部分に重きを置いた縛りプレイのアイデアを考えて投稿しているのもあります。
──とはいえ、先ほどお話にもあった800時間はプレイされているというのは、けっこうな時間だと思います。これだけゲームに費やしていて私生活の影響はないんですか?
shelfall:
そこは大丈夫です。平日の日中は働いていますし、休日は妻や子どもや猫と過ごしており、自分がゲームなり動画制作なりをするのは、夜、家族が寝た後です。子どもからもそんなにゲームばっかりやっているお父さんだとは思われていないはずです(笑)。
──(笑)。私生活とのバランスはとれていると。
shelfall:
そうですね。もうあまり若くはないので、睡眠時間を削って無茶なプレイもそんなにしていませんし、あくまで趣味なので、私生活に支障をきたさない範囲で活動しています。
──動画投稿は趣味の範疇とのことですが、今の時代、動画投稿・配信を職業にされている方も増えてきていると思います。動画投稿を専門に……という選択肢はなかったんでしょうか?
shelfall:
おっしゃる通り、今ってクリエイターが収益を得る手段はいろいろあって、自分自身もニコニコ動画とYouTubeで収益自体は出ています。
趣味がお金になっている稀有なケースでとてもありがたいとは思っているのですが、動画投稿を職業にしようと考えたことは一度もないです。
──ほうほう。それはなぜですか?
shelfall:
動画投稿を職業にした場合、再生数や視聴者獲得など、戦略的な視点が必要になってくると思うんです。そして動画投稿が義務的になってしまい、その「義務感」がコンテンツにも透けて見えてしまう気がするんです。
動画投稿を職業にしている方を否定する気持ちはまったくないのですが、自分の方向性とは違うなと。自分としては、好きなときに好きな動画を投稿して、それがたくさん見ていただけたらうれしい。あくまで趣味としての活動が心地よいんだと思っています。
──なるほど。
shelfall:
あと、家庭を持っているのもひとつの理由ですね。もし独り身だったら会社を辞めていたかも……と考えることはあります。
ただ、僕のような引きこもりタイプは社会との接点を持っていないとダメだと思っているので、やはりサラリーマンとして働きつつ趣味で動画投稿をしている現状が合っていると思います。
──あくまで趣味として。好きなゲームを好きなときにプレイしていくほうが自身のスタイルに合っていると。
shelfall:
それこそ、職業として活動していくなら、『FF8』のような20年以上前に発売されたゲームではなく、流行りのゲームもプレイしないといけないでしょうし……。
やはり自分の好きなことを優先して、そういうマニアックな楽しさを一緒に共有できる人が少しでもいてくれたら嬉しいという思いのほうが強いですね。