Googleマップの通りに進んだら橋から転落!? 崩落した橋が封鎖されずマップに反映もされなかったために発生してしまったインドの交通事故を解説
今回紹介する動画は、ニコニコ動画に投稿された『【2024年】『Googleマップ通りに進んで3人が死亡』地図アプリの道案内に従い走行し「先の無い橋」で車ごと墜落 ナビアプリの責任を問うことができるのか?【ゆっくり解説】』というゆっくりするところさんの動画。
2024年にインドで発生した交通事故について、音声読み上げソフトを使用して解説しています。
■さまざまな要因が重なった悲劇
魔理沙:
今回紹介するのは、インドで発生した少し珍しい交通事故の一例だ。この交通事故は運転手が道案内をするアプリに従い走行していたところ、崩落した橋から川に転落し死亡するという、かなり特殊なケースで大きな話題を呼んでいるものだ。
霊夢:
アプリに従ったのに川に落ちるってどういう……?
魔理沙:
例によって今回も紹介の一部でショッキングな表現をしている箇所があるので、そういったものが苦手な人はあらかじめ注意して視聴して欲しいんだぜ。
霊夢:
う……なんか怖そうだけど、アプリの件が気になりすぎる……。お、おっけーおっけーしておくわ。
魔理沙:
それじゃ早速本題に入るんだぜ。南アジアの国、インド共和国北部に位置し、約2億6000万人の人口を有するウッタルプラデーシュ州、バリヤ地域の河川で転落したと見られる1台の乗用車が発見された。
この日の午前中。地域住人が川の近くを通りかかったところ、大破した1台の白い乗用車を発見。警察に通報を行い、現場に緊急車両が到着。この車両は4ドアのセダンタイプだったが、上下が逆さ状態になっており、全てのドアが大破して取れかかっているような状態で、フロントガラスも割れて真っ白になっていた。
警察、消防は直ちにこの車を川から引き上げ、内部を調べたところ、車内から3名の男性が発見された。男性らは頭部、頸椎骨折などによってすでに亡くなっており、その場で死亡が確認された。
霊夢:
事故に遭ってそのまま死んじゃったのかしら。
魔理沙:
ああ。3名の遺体は検視のために運び出され、事故車両についても詳しい調査が開始された。亡くなった男性3名はスーツ姿で発見されており、身元調査を行った結果、当日は知人の結婚式に向かう途中だったことが分かった。
また、車両の調査を行ったところ、彼らはマップアプリ「Google Maps」を使用して会場に向かう途中だったことも分かった。出発地点と目的地を設定していた形跡があったこと、そしてこの事故現場はルート上にあったことから、警察は彼らがアプリの通りに走行中に橋から転落して死亡したものと考えた。
霊夢:
マップに従って進んでいたのに、なんでこんな事故に遭うわけ?
魔理沙:
実は、彼らが事故に遭った橋は、昨年発生した洪水によって崩壊しており、中間部がぽっかりと空いてしまっていた。復旧工事が行われていたが、この工事はほとんど進んでおらず、橋が未完成の状態のまま実質的に放置されている状況にあった。
霊夢:
じゃあその人たちは、先がない橋を走っていて……。
魔理沙:
ああ。彼らの見ていたマップには橋があったんだろうが、実際にはこの橋は中間部が崩落によってなくなっており、3名の車は真っ逆さまに川に墜落してしまったんだろう。
霊夢:
イヤアアアアアアアアアアアア!!!!
魔理沙:
さらに、この橋には転落の危険がある箇所がいくつもあったが、立ち入り禁止標識や橋が未完成であることを表す表示、バリケードなどは一切設置されておらず、簡単に車両が侵入できる状況になっていた。
しかし、その一方。彼らが道しるべにしていたマップにはこの情報が反映されていなかったため、マップの情報のみを信じて走行していた運転手の男性は、橋が未完成であったことに気がつかず、そのまま橋から墜落してしまったと断定された。
地域住民の間ではこの橋が壊れた状態であることが周知の事実だったため、利用を避けていたものの、死亡した3名は別の地域から来ていたため、橋の実情を全く知らなかった。
この事実を受け、地元当局は州の道路部門の技術者4名、そしてこの地域を担当していたGoogleマップ担当者を過失致死の容疑で警察に告発した。この事故、そしてこの告発はSNS上で大きな議論を巻き起こすことになった。
霊夢:
これって誰の責任なのかしら……。マップの担当者が疑われてるけど、橋をちゃんと封鎖しなかった地域の問題もあるんじゃない?
魔理沙:
ああ。マップの情報が約1年以上、この重要な橋の状況を反映していなかったことについて、一定数の批判の声があった。こういったナビゲーションアプリが今回のような事故の責任の一端を担うかどうかについても議論がある。
Googleマップは、ライドシェア、電子商取引、食品デリバリーといった多くのサービスを支える大型のアプリのひとつで、世界中で利用されている。ここインドでは最も使用されているナビゲーションアプリでもあり、国内だけでも約6000万人のアクティブユーザー、そして1日に約5000万件のマップ検索が行われているという。
霊夢:
すご……さすが世界一人口が多い国ね。
魔理沙:
だがその一方で、Googleマップは誤った道案内をすることが度々あり、過去にはそのナビゲーションが原因で死亡事故が起きており、しばしば批判の対象となっていた。
霊夢:
この事故の前にもあったの?
魔理沙:
ああ。2021年には、インド中西部のマハーラーシュトラ州で、誤った道案内の指示に従い自動車を運転していたところ、ダムに転落して死亡する事故が起きており、またインド南部にあるケララ州では同様にマップに従い走行していた2名の若い医師が、今回の事故同様に川に車ごと転落して水死する事故が起きていた。この事故の際も、警察は2名がGoogleマップの示した間違った指示に従い事故に遭ったと指摘していた。
霊夢:
こんな事故があるんだ……。ていうか、そもそもGoogleマップってどうやってそういう道の変化に対応するわけ?なんか定期的に道路の写真を撮影する車が走っているっていうのは聞いたことあるけど……。
魔理沙:
それはストリートビューという、実際の道路がどのようになっているのかパノラマ画像を組み合わせて仮想的に世界を表現するためのものだな。
Googleマップは、宇宙にある衛星、端末のGPS信号、Wi-Fiなどを利用して位置情報を検出し、道案内などを行う。例えば、道路の渋滞状況などはGPS信号の集まり方などで反映される。アプリを使用すると、ユーザー端末側で発信するGPS信号をキャッチするんだが、ルート上にこの信号が多ければ、渋滞している可能性が高く、それが少なければ道路利用者が少ないことを示唆する。
それだけではなく、政府やユーザーからの道路渋滞、道路封鎖情報、事故情報に関する更新情報も随時受け取り、マップアプリに反映しているという。
霊夢:
へえ、そういう仕組みになってるんだ。
魔理沙:
また地図の更新については、人工衛星からの撮影画像、ストリートビュー、政府通知を使用して変更を確認し、地図に反映されている。ただ、道路の舗装状況であったり、災害による被害、その復旧状況などの反映は遅れてしまうことも多い。
これは国、地域ごとに担当が違うが、Googleでは毎日大量に寄せられる苦情などに対応する人手が通年不足しており、交通量の多い場所に関する苦情や、当局から通知された情報がどうしても優先されるため、今回の事故が起きたような郊外の地域では更新が遅れてしまうこともあるという。
さらに言えば、インドではこうした問題をタイムリーに報告するためのシステムがそもそも整備されていないこと、広大な国土すべての道路変化を把握すること自体が実質的に不可能だという背景もあり、こういった事故が起こってしまいやすい地域でもあった。
霊夢:
そういう背景もあったんだ……。急激な経済成長とか人口増加に追いつけていないんでしょうね。
魔理沙:
この問題を解消するためには、政府がデータ収集とその共有に能動的に動き、莫大な投資をしなければ実現しないだろう。また、Googleマップ担当者によれば、「ナビゲーションアプリは利用規約で、ユーザーが道路上で自身の判断を適用する必要があること、アプリが提供する情報が実際の状況と異なる場合があることを明示している」ということで、実際にはマップ担当者の責任を問うことは難しいとの見方もあるそうだ。
しかし、その一方で崩落していた橋を封鎖していなかった政府自治体の安全管理問題、ひいてはインドにおけるインフラ整備の不備といった、兼ねてからの社会問題が根本的原因であるといった声も多かった。
これはGoogleマップだけの問題ではなく、インドが元々抱えているインフラ整備や安全管理の問題も複雑に絡んでいる事故だったんだ。
霊夢:
前に起きてた電線の事故も、インフラ整備が地域によって全然違ったことで起きてたし、すぐにはなくならないんでしょうね、こういう事故……。
複数の要因が重なり起こってしまった悲しい事故でした。フル解説をご覧になりたい方は、ぜひ動画をご視聴ください!
▼動画はこちらから視聴できます▼
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