闇金業者かな? 『まじかる☆タルるートくん』作者・江川達也氏が語る、当時の「週刊少年ジャンプ」編集長が怖すぎる
2017年9月29日に最終回を迎える『ニコラジ』。フィナーレに向けて、豪華ゲストが連日出演中ですが、ニコニコニュースでは過去放送分から選りすぐりの内容をピックアップ。
今回お届けするのは、漫画家の江川達也さんの出演回(2014年9月8日放送分)。『まじかる☆タルるートくん』や『東京大学物語』の作者としてもお馴染みの江川さんを迎え、MCにやまだひさしさん、アシスタントの百花繚乱さん、絵師のせらみかるさんと共にお送りしました。
『サラリーマン金太郎』の作者の本宮ひろ志さんのアシスタントになり、売れる漫画を研究してからデビューしたという江川さん。漫画の描き方やストーリーの作り方、本宮先生の逸話などをお聞きしました。
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ジャンプ読者アンケートのデータを集計。理論化して漫画に活かす
江川:
漫画を描く時って、ストーリーだけだとテンションあがらないので絵からイメージしたほうがいいですね。まず簡単にかけるキャラでコマを割って、絵を展開させてくみたいな。ストーリーだけだと小説っぽくなってしまって、漫画っぽくならないんですよ。
やまだ:
なるほど。そうじゃないと小説本みたいになっちゃうと。
江川:
ストーリーを先に考えたりいろんな作り方があると思うんですけど、キャラクターを先に作る方法もあって。キャラクターを作ってどんどん動かしていくとキャラクターが勝手に動いていって適当なところで終わらす、みたいな描き方もできるんですよ。
百花繚乱:
『まじかる☆タルるートくん』はどうだったんですか?
江川:
『週刊少年ジャンプ』の場合は打ち合わせをするんですよ。
やまだ:
過去の放送で集英社特集をやった時も言ってましたね。打ち合わせは結構入念にやると。
江川:
そうなんですよ(笑)。勝手なことやれないんですよ。でも僕は打ち合わせと違うもん描いちゃうんです(笑)。そうすると「違うじゃん! 」ってなるんですけど、それでも面白ければ通りますね。つまらなければボツになっちゃいますけど。
やまだ:
先生になっててもボツとかやり直しとかあるんですね。
江川:
『週刊少年ジャンプ』はむちゃくちゃボツが多いですよ。
やまだ:
ボツが多いとイライラしないですか。
江川:
ならないですね。厳しい編集部っていうのは分かって描いていたんで。人気取れないと10週で終わっちゃいますからね。
やまだ:
厳しい世界ですね。
江川:
そのほうが面白いじゃないですか。読者アンケートも毎回、表のデータがとれるんで自分でマーケティングしていましたね。どういうものを描いたらどういう反応があるのか。グラフをつけて分析して数学的にどうやったら漫画が売れるのかっていうのを論理的に考えたんですよ。その理論で漫画を描いてました。
百花繚乱:
すっげー(笑)!
やまだ:
そんな黄金律あるんですね(笑)。
本宮ひろ志に「これ売れるのか?」と言われ、売れる漫画を意識
江川:
基本的に自分は売れる漫画は描けない人です。売れない漫画ばっかり描いてる漫画マニアみたいな方で、好きな漫画も売れてないマイナーな漫画なので(笑)。持ち込みとか投稿してる時にメジャーな漫画家とは趣味がかけ離れてるな、と気づきました。
その後、本宮ひろ志先生のアシスタントに行って売れる漫画の作り方をうかがいました。本宮先生の漫画ってあんまり好きじゃなかったんですけど(笑)。
やまだ:
よく言えるわ(笑)。
江川:
売れる漫画っていうのが分からなかったんで(笑)。本宮先生は『週刊少年ジャンプ』の歴史を作った人ですから、ちゃんと売れる漫画の理論を持っていましたね。そこで勉強させてもらって、俺の漫画は全然うけないっていうのが分かりましたね。そこからうける話や読者のことを勉強して、デビュー作を描きました。
やまだ:
ちゃんと理論があって入念な準備をしてデビューされてたんですね。その時に本宮先生に言われたことで一番影響受けたことってなんですか。
江川:
一番は読み切りを描いて先生に見てもらって「これ売れるのか?」って言われて、売れるっていうことを意識したことですね。自分の中ではテーマが大事で作品を描くんだ、ってことばっかりで漫画が商品であることが抜け落ちてたんですよ。そりゃプロだもんなって思って、売れる漫画を意識しだしましたね。