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快速に負けても速さを捨て、「快適さ」に全振りした潔い特急【残念な時刻表#002】

【残念ポイント②】「座りたい」需要にも、安くて速いライバルがいた

「速さではなく、料金を払ってでも確実に座れることに価値がある」という意見ももちろんあるでしょう。その需要に応えるのがこの特急の役割です。

 しかし、ここにもう一つの残念な事実があります。この特急の前後を走る快速や区間快速の一部には、同じように追加料金で座れる指定席を連結した「Q区間快速」などが運転されているのです。

 そして、その料金と所要時間を比べてみると、興味深いことがわかります。

編集部作成。イラストはイメージです。

 表の通り、JR西日本のインターネット予約サービス「J-WESTチケットレスサービス」を利用した最も安い価格で比較しても、指定席付き快速のほうが料金は半分以下で、所要時間も3分速いのです。さらに、特急の割引特急券が前日からの発売であるのに対し、快速の指定席は1ヶ月前から購入が可能です。

211系

それでも「らくラクやまと」が走り続ける理由

・後続の快速より遅い。

・指定席が連結された快速と比較すると、料金は2倍以上で、やはり遅い。

 これらの事実を並べると、この奈良発新大阪行きの特急「らくラクやまと」は、「残念」の称号を与えるのにふさわしい列車と言えるのではないでしょうか。

 とはいえ、この列車が存在するのには、もちろん理由があります。それは、圧倒的な座席数です。 指定席付き快速の座席が1列車あたり20席しかないのに対し、「らくラクやまと」はその約9倍の178席を誇ります。座席もテーブル付きのリクライニングシートで、より快適です。

 チケットを購入できる確率の高さと快適性を考えれば、この特急を選ぶ価値は十分にある、ということなのでしょう。

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