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遺伝子の「水平伝播」はどう起きる? 別種の生き物が同じ遺伝子持つ理由や、薬剤耐性を持つ細菌が生まれる仕組みなどを解説してみた

 そんな水平伝播の方法は3つわかっています。形質転換接合形質導入です。

 形質転換とは、細胞外からの取り込みによる伝播方法。つまり死んだ細菌や遺伝子を食べて、それを自分の遺伝子に組み込むことで伝播するとのこと。

 次の接合は細菌間で見られる方法です。多くの細菌は性繊毛という器官で同種同士接合し、プラスミドと呼ばれる染色体とは異なる遺伝子をやり取りしているのだそう。

 同じことが異種間でも起こることがあり、その際、受け取った側がプラスミドを自身の遺伝子に組み込むことで伝播するとのことです。

 最後の形質導入はバクテリオファージが仲介する伝播方法。

 これは細菌内で増殖したバクテリオファージがその細菌の遺伝情報を取り込むことではじまります。そのバクテリオファージが別の細菌に自身の遺伝子と一緒に取り込んだ遺伝情報を注入し、受け取った細菌がそれを自身の遺伝子に組み込むことで伝播が完了するのだそうです。

 最後は水平伝播で何が起こるかについて。実際の事例としては、赤痢菌から病原性遺伝子が伝播して大腸菌が腸管出血性大腸菌にアップグレードしたり、薬剤耐性遺伝子を発言した細菌から接合によって薬剤耐性が広まって感染症を抑えるのが難しくなったりしているのだそうです。

 悪いことばかりではなく、遺伝子を他生物から取り込むことが新たな能力の獲得につながることもあります。例えば、脊椎動物の目で光を感知する機能は、5憶年以上前に細菌の遺伝子から水平伝播されたとする研究結果もあるそうです。

 他には、人に対してウィルスからの水平伝播を示唆するデータ自体はあるのですが、伝播した遺伝子によって機能を獲得したことは今のところ確認されていません。同様に鳥刺しを食べても羽毛は生えないし、空も飛べるようにならないのだとか。

 遺伝子がどう伝わって行くのかを解説した本動画。tuyukusaさんによる解説の詳細を聞きたくなったという方は、ぜひ動画をご視聴ください。垂直伝播と水平伝播の違い、細菌が薬剤耐性を持つ仕組みなどがとてもよくわかります。

視聴者のコメント

・現実にもアップグレードってあるんだ
・キメラアントかな
・喰えば喰うほど強くなるタイプ
・ファージかっこいいよファージ
・出たナノマシン
・今の所ってことは将来的には取り込めるかもな
・面白かった

▼動画はこちらから視聴できます▼

【VOICEROID解説】ゆかり先輩と知る生物の不思議【遺伝子の水平伝播】

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