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「日本の映画人は左翼が多くてアメリカから学ぼうとしない」――津川雅彦氏が日本映画界に提言

「文化が届けば日本語も世界を席巻することができると思うんです」

山本:
 でも映画って、ものすごく力があると思うんです。ハリウッドがアメリカの安全保障にどれだけ貢献しているか。世界中で大ヒットするわけですよね。

 問題提起で申し上げたいのは、たとえば中国が戦略的にこれを利用していて、『バットマン』シリーズや『スーパーマン リターンズ』『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』などの映画をヒットさせているレジェンダリー・ピクチャーズというハリウッドのヒットメーカーを買収したんです。

 世界でヒットするノウハウを持ったハリウッド映画に、中国のイメージ戦略が入ってくるんじゃないかなと思っています。逆に日本の映画産業が元気になって輸出できるようになれば、日本のイメージを世界に発信できると思うのですがいかがでしょうか。

津川:
 僕が思うのは、今は世界中が英語になっているでしょう。あれはハリウッドがそうしたんだと思っています。ハリウッドの映画が世界中に出て、世界中の人が見て、ハリウッドってカッコイイなと思ったことが、英語ってカッコイイなということに重なって、英語が氾濫していった。

 だから僕は日本映画が世界に出ていって……カッコイイものはいくらでも作れるんですから。日本人ってカッコイイなと思わせたら日本語は氾濫すると思うんですよ。日本語はクールジャパンの影響で「カラオケ」や「出汁」という言葉も使われるようになっているので、文化が届けば日本語も世界を席巻することができると思うんです。

 たとえば、3.11の東北の被災者があの悲惨な災害の中で我慢、忍耐、礼節という美しい心を世界の人が見たわけですよね。それで感動して応援してくれた。ああいうことは映画でもできるはずなんですよね。この美意識を映画に乗せて世界に持っていくことはできるのですから、美しい心の中に幸せがあるんだと、みんなを幸せにするんだと。

 文明は腹の足しになる、文化は心の足しになるもの。文化では腹は膨れないけれど心は満たされるわけなので、これからは僕は心を満たす時代が、世界中が裕福になってくれば、必ずそういう時代が来ると思うんです。そのときに日本の美意識というものが、思いやりも含めて、世界に通用していくと思います。

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