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「日本の映画人は左翼が多くてアメリカから学ぼうとしない」――津川雅彦氏が日本映画界に提言

 自民党参議院議員の山本一太氏が番組ホストを務める『山本一太の直滑降ストリーム』に俳優の津川雅彦氏がゲストで登場しました。

 番組内では、国会議員として、クールジャパンを振興する山本議員が日本の映画・ドラマについて津川氏に意見を求めたところ、津川氏が日本の映画界の問題点を指摘しました。

左から山本一太氏、津川雅彦氏。

※本記事は、2016年2月10日に配信した「山本一太の直滑降ストリーム」の内容の一部を再構成したものです。

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今の日本映画は何がだめなのか

山本:
 私はクールジャパンコンテンツ振興をやっていまして……そのときに思ったのですが、日本の映画とドラマは大丈夫なのでしょうか。

津川:
 だめですね(笑)。何がだめかっていうと、映画配給会社が映画を作っている人たちを儲けさせないっていうシステムになっているんですね。それが映画の発展を阻害しています。それともう一つは、日本の映画人は左翼が多くて、アメリカが嫌いなんです。

 彼らはアメリカから学ぼうとしないのですが、実はアメリカの映画、ハリウッドの映画がやはり一番娯楽映画として優れてできているんです。なぜ左翼が多いとだめかというと、芸術映画を撮りたがるんです。「スター・ウォーズ」シリーズも「007」シリーズもなかなか面白くできていますよ。ハリウッドというのは基本的には、人種が雑多なんです。つまり言葉でしゃべったって、なかなか通じない。画で見せなきゃだめだということ。

 日本語でしゃべっていても、画で見せることができたら内容が全部わかる。ハリウッドはこれでやっているんだと思いました。今、アニメが世界で「クールジャパン」といわれているのは、画で見せることができているからです。これさえ外さなければ、世界の市場を席巻できるんですよ。

日本映画が発展しないのはハリウッドを勉強しないから?

津川:
 それともう一つ、ハリウッド式のドラマの作り方ですね。僕は“ひき”と呼んでいますが、障害を作ってそれを“ひいて”いくときに、障害を倒していかないといけないから、力がいるじゃないですか。ドラマのストーリーの先に向かって、引っ張っていくときに、抵抗力のある引っ張り方を映画がしてくれるかどうかなんですよ。どれだけの障害を作るか、どれだけ画だけ見ていればわかるかといえば、それはキャラクターなんです。

 手塚治虫さんが日記に書いていらっしゃるんですけど、日本の映画が発展しないのはハリウッドを勉強しないからだと。それは何だったかというと、キャラクターをちゃんと立てず、ストーリーばかり作るから。

 そうではなく、キャラクターがストーリーを作るんです。たとえばここに獰猛な女と華奢な男がいたら、どんなドラマがはじまるかと、面白おかしくいきそうじゃないですか。それがキャラクターが普通だと面白くもおかしくもない。面白く見せてやるためには、いろいろな引っ掛かりが必要なんですよね。思った通りにいかない意外性です。そういうものを、どれだけたくさん置いてやろうかというのを脚本の段階で仕組んでいかないといけないですね。

山本:
 以前、『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』という東映アニメーションが大きく賭けに出て、30億くらい使って本当に素晴らしいアニメを作ったんです。しかし残念ですが興行的にはあまり上手くいかなかった。ヨーロッパでは意外と流行ったのですが、全体の収益を足してもあまりいかなかった。

小栗旬氏が主演声優を務めた『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』
(画像は公式サイトより)

 試写会の段階では私は本当に素晴らしいと思ったのですが、なかなかハリウッドやアメリカのようにいかない。津川さんのお話を聞いていて思ったのは、最初からシナリオライターをアメリカ人にするとか、ラブストーリー要素を入れるとか、どうすれば娯楽として人の心を惹きつけるのかを、プロットの段階で、いろいろな異分野融合でやればいいなと思いました。

津川:
 そうそう、ところが日本の脚本家はみんな芸術ぶっていて、ストーリーを大事にする。キャラクターを際立たせるということをしないんですよね。ハリウッドに追随するのは日本の恥だと思ってる人は多分いるんでしょうね。

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