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漫画『アルスラーン戦記』の製作過程を大公開。荒川弘の手描き原稿の秘密をマガジン編集者が語る「ネームの段階で既に面白そう」

 講談社の編集担当者が「別冊少年マガジン」をさらに楽しむために見どころを読者へ届けるニコ生番組「別ナマseason3」。

 番組内では、荒川弘先生が作画を担当した別冊少年マガジン4月号に掲載された『アルスラーン戦記』のネーム、下書き、原稿が公開されました。

 別冊少年マガジン編集部のフジカワさんが、ネームや下書きを掲載された漫画と比べて、雑誌の原稿が出来上がるまでを解説しました。

『アルスラーン戦記(1) (週刊少年マガジンコミックス)』
(画像はAmazonより)

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荒川弘『アルスラーン戦記』のネームと下書きを公開!

フジカワさん。

フジカワ:
 いつもは生原画公開ということで表紙だったり、あるいはセンターカラーみたいなカラーページのメイキングみたいなことを皆さんに見ていただいてるんですけれども、当然このカラーページではない白黒のページも、お話の流れが分かるネームという状態があって、その次に下書きという状態があって、そして皆さんがご覧になる原稿の状態になるということなんですよね。

 なので今月は白黒原稿の過程を皆さんに見ていただこうじゃないかということで、アルスラーン戦記連載中の荒川弘先生からネームと下書きをお借りしてまいりました。荒川先生、ご協力ありがとうございます。

 皆さん、お手元にまず「別冊少年マガジン」をご用意いただきたいと思います。そしてご用意いただきましたら、392ページ、393ページを開いていただけますでしょうか。

 ここから3見開き用意してもらっております。一番最初の冒頭のくだりですね。皆様のお手元にこちらの原稿を持っていただいて、僕が画面に一番最初の段階のネームをお見せしますので、見比べていただきたいと思います。

 それでは392ページ、393ページのアルスラーン戦記のネームがこちらでございます。

 線もラフなところなので、実際の原稿では松明がパチンと燃えるところなんですけれど、細いのが見えますかね。

 ここに小さく「たいまつ」って書いてあるんですけど、分かりますでしょうか。これは僕の感覚からしても、かなりしっかりしたラフなのかなというふうに思います。

 ちょっとずつ流れを見ていきましょう。3コマ目です。

 そして4コマ目。

 驚きの表情のアップになるわけですね。表情が分かる、しっかりたラフだというのがお分かりいただけると思います。ちゃんとセリフも書いてあります。

 次の隣のページに参りましょう。隣のページの1コマ目、会話がはじまりました。

 このようにキャラクターのアップがあって、セリフがあって、そしてこういう流れで読んでいくわけですね。

 だいぶ読みやすいネームかなというふうに思います。表情も書いてありますし、セリフもかなり分かりやすいかなと思います。下書きですので、完全に「たいまつ」という文字も消えています。そしてキャラクターの実線がかなりしっかり見えるのが、お分かりいただけると思います。

 表情もかなりしっかりしていて、ほとんどの線の雰囲気は原稿と同じような感じになっているのがお分かりいただけると思います。そのまま隣のページもご覧いただければと思います。先ほどのネームと比べると、キャラクターそれぞれの表情がかなりしっかり原稿と近くなっているのがお分かりいただけると思います。

 荒川先生はアナログなのですか? ということなんですけど、荒川先生は白黒原稿に関しては完全アナログです。ネームもアナログとのことです。ちょっと並べてみましょうかね。

 私が持っているほうがネーム、スタッフに持っていただいているのが下書きということで、こういうふうに遠目で見ると線がかなりはっきりしているというのが下書きのほうになることが、お分かりいただけるかと思います。

編集者「荒川先生のネームは読みやすい」

フジカワ:
 次の見開きにいきたいと思います。先ほどは392ページ、393ページを見ていただいたんですけれども、次は398、399ページ。タイトルが入ってる見開きをご用意ください。

 まずはネームから見ていただきましょう。こちらがネームでございます。タイトルのところ、ここにもタイトル入れてくださいっていう指定が入ってるのがお分かりいただけると思います。

 ここは空白を開けていますけれど、ここはタイトルを入れてくださいねということで、もうネームの段階で、こういうふうな扉ページのイメージも出来上がってるということがお分かりいただけると思います。

 「既に面白そう」。そうなんですよね。これは結構かなり読みやすい。これぐらいのネームっていうのが、すごく我々にとっても読みやすいし、臨場感も伝わって、とってもありがたいネームなのかなというふうにも思います。

 文字が丁寧。そうなんです。やっぱり作家さんは読みやすさを重視して綺麗な文字を書かれる方が多くいらっしゃいます。荒川先生はだいぶ読みやすいですね。これが398ページの下側でした。

 次、隣のページにいってみましょう。399ページは先ほどのように、タイトルが入った次のページということで、一番最初の状況の説明から、今どこに物語の舞台にしているのかというのが分かる、導入が非常に分かりやすいページになっております。

 そんな感じで画面が下に入っていきます。これがネームですね。

 では、同じページの下書きをご覧になっていただきたいと思います。こちらが下書きでございます。先ほど同様に、ネームよりもだいぶ線がしっかり描かれているのが分かると思います。

 そして先ほど同様にタイトルの指定がございまして、そして下側、ここの部分。著者名と書いてあるんですね。ここに担当者が「片目の男」とサブタイトルを入れたのですが、実際には「早春の邂逅」というふうになって、これは荒川先生のチェックが入っているんだということです。

 もう片方のページもご覧いただければと思います。

 下書きなので背景からキャラクターからしっかり線が入っているのがご覧いただけているかと思います。

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