『高校生クイズ』『Qさま!!』等を手がけるクイズ作家とN高クイズ研究会がトークセッション。「クイズ作りで気をつかうこと」
具志堅用高さんが黙ってしまうクイズ問題はダメ
yami:
次の質問に参ります。クイズ問題を作るとき、最も気を使うことを聞きたいと思っていて……。
Levia_than:
一時間くらい聞きたいです(笑)。
矢野:
簡単に言うと、具志堅用高さんが一問も答えられないクイズ問題はダメなんですよ(笑)。具志堅さんみたいな方でもピンとひらめいて答えられて、もしかしたらカズレーザーさんに勝てるかもしれないというのを、視聴者が見てワクワクする。そういうふうな問題のアプローチの仕方というか。
日高:
具志堅さんは正解しなくてもいいんですよね。発声できればいいんですよ。黙っちゃったらダメなんです。
一同:
(笑)
日高:
このあいだ具志堅さんが「人間の五感といえば味覚、触覚、あと三つは何でしょう」っていう問題で「性格!」って(笑)。
一同:
(笑)
日高:
もういいです、もう撮れ高【※】ある(笑)。
※撮れ高
撮影した映像の中でうまく使える構図がいかに撮れたかという度合いのこと。テレビ業界などで用いられる業界用語の一種。
矢野:
もう大丈夫ですって(笑)。
日高:
僕、「クイズ! ヘキサゴンII」とか担当していたんですけれど、リアルですからね。いわゆるボケ回答っていうのも、一生懸命正解を出そうと思って答えるから面白いのであって、やりにいくと……っていうのがありますよね。
矢野:
やりにいくと、次から呼ばれないです。
yami:
なるほど。
矢野:
そんなことに気を使いながら問題を作っています。
松浦:
インターネットのニュースを作っている側からすると、クイズの問題を作るときって結局新聞とか、いろいろな情報から調べると思うんですけれど、単純に文字面だけで追うのではなくて、いろいろな動画とかを見たほうがいいと思うんですよね。 昔はなかなか動画を探すのが大変だったけれど、今はインターネットで動画を含めて見ることができます。見るとやっぱり体に入ってくる。そのときに自分が文字面として出てくる情報量も変わってくるんですよ。
ニュースの記事だって、そういう意味では単純に調べて集めただけで記事ってできちゃいます。まとめサイトとか作れちゃいます。でもそういうのじゃダメなんです。
日高:
日本語に血が通うみたいな?
松浦:
そうですね。そういう感じで、自分の日本語にちゃんと裏付けとしての情報量が頭の中に入っているかどうかというふうに作っていったほうが、後々役に立つ。他の問題文を作るときにもその情報量って後々役に立つので、一つの問題文を作るときに一個の情報量だけじゃなくて、複数の情報量から一つを出す。
ニュースとかもそうなんですよ。ニュースを読む側になっても、一個のニュースから一つの事象しか捉えられるわけではなくて、複数の事象を捉えられる。それを積み重ねることによって、クイズの問題を作るときに自分の知識が溜まってくるから作りやすくなってくる。
情報を受け取るときも、「こんなことがあったな、あんな過去があったな」という形で、インプットもしやすくなるし、アウトプットもしやすくなる。そこは意識してほしいかな。
N高校生へメッセージ「キラキラした情熱で長く楽しくクイズを続けて」
yami:
私たち高校生がクイズに取り組むときに、持っておきたい心構えや、これをやっておいたほうがいいなどあれば是非、お聞きしたいです。
日高:
僕、高校生だったのが25年前くらいになるんですけれども、「25年前に戻れるにはいくら出しますか」って言われたら「1000万円くらい出すかな」と言う気がするくらい、あの頃は本当にキラキラして楽しかったんですね。だから高校生のみなさんって、僕らからしてみたら1000万円の価値があるんですよ。
キラキラした情熱で長くクイズを続けていくと、10年後、20年後、まわりが本当に今じゃ考えられない環境になったりするので、是非長く楽しくクイズを続けていってほしいなと思います。
大門:
クイズはみなさん大好きなのでどんどん勉強されると思うんですけれど、同じように勉強していて差がつく部分って、クイズ以外の興味だと思うんですよ。だからクイズ以外の趣味を持つこと。映画を見たり読書をしたり、お笑いが好きでも漫画が好きでも何でもいいんですけれど、それが最後の勝負を分ける一手になると思うので、感受性の高い時期にいっぱい引き出しにものを入れる作業をされるのがいいと思います。