なぜSUPER GTは日本で受け入れられたのか――「技術開発の発表」「オーバーテイクの駆け引き」モーターレースの魅力を脇阪寿一が語る
4月8日に開幕したSUPER GT。LEXUS TEAM LeMans WAKO’S監督としてSUPER GTを戦う脇阪寿一さんと、AUTOSPORT webがコラボレーションした『脇阪寿一の言いたい放題!』。
全てのコースでレコードが更新されるといわれる今年のF1レースでは、速さを追求した代償として見せ場であるオーバーテイク(追い越しによるバトル)が無くなるのでは、と予想する脇坂さん。技術開発の発表とスポーツ観戦の二つの面を持つモーターレースの魅力と、SUPER GTがなぜ日本で受け入れられたのかを『autosport』編集長の田中康二さん、ナビゲーターの水瀬きいさんを交えて語りました。
速さを追求した代償として、バトルが少なくなっていく
脇阪:
ただ、(マシンの速度が)速くなると、オーバーテイク【※】がなくなると思いますよ。
※オーバーテイク
レースにおいて、前の車を後の車が追い越すこと。
田中:
なくなりますね。懸念されていた通りなんですけれど、ラップタイムは上がったのに、去年と比べて最高速度は全部落ちてるんですよ。
脇阪:
それはダウンフォース【※】が増えているから?
※ダウンフォース
走行する自動車に対して空力によって発生する、地面に押さえつけられる向きに発生する力のこと。
田中:
そういうことです。スーパーフォーミュラでも同じ課題があって、オーバーテイクボタン【※】があったりしますが。オーバーテイクがなくてもフォーミュラレースの面白さは成立するんですかね?
※オーバーテイクボタン
一時的にエンジンの最高回転数とエンジンパワーが上がるシステム。1レース5回まで使用可能。
脇阪:
それは見ている人によるんじゃないの? 毎年アップデートされていく車の技術開発の場を、楽しみの大半として見ている人には問題ないんじゃない? ただ単純にスポーツとしてF1を見るということになってくると、やっぱりオーバーテイクって、いるんじゃないかとは思うねんけど。
オーバーテイクを見たければ、GTを見れば
脇阪:
野球はピッチャーとバッターの対戦を見ていて、3ボール1ストライクとかになってきたら、「これはバッターが有利になってきた」とかドキドキして見れるとこあるでしょ? 僕は野球は素人ですけれど、勝負の世界では車という道具を使って戦ってきた人間やから。野球が本当に好きな人って、そういう(ピッチャーとバッターの駆け引きのような)ところが楽しいわけでしょ?
脇阪:
だから、「F1がオーバーテイクが少なくて楽しくない」っていう人達がいるとするならば、SUPER GTを見ていただければ。そこはオーバーテイクがすごいよ。GT500クラスはGT300クラスをあっという間に抜いていきますから(笑)。