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「“心をこめた皿洗い”にはリラックス効果が」って本当!? ――皿洗いだけじゃない、日常の何気ない作業からマインドフルネスを実践するにはコツがあった!

 ストレス……それは我々現代人が抱える多くの悩みの元凶。

 運動、エステ、音楽鑑賞、アロマetc……巷では、さまざまな“ストレス解消法”があふれているなか、「洗い物がストレス減少につながる」という言説をご存知でしょうか? たしかに「掃除がストレス解消法です」という人も世間にはいるでしょうが、そもそも洗い物が本当にストレス減少につながるのでしょうか? 

 本記事では、しーあの心理学さんが投稿した動画「お菓子と心理学#5 – 皿洗いにリラックス効果?」にて、音声読み上げソフトを使用したキャラクターであるしーあゆかりのふたりが、「皿洗いがもたらすリラックス効果」について解説をおこなう様子を紹介します。

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皿洗いはリラックス効果をもたらすのか?

左からしーあゆかり

しーあ:
 料理を作るのは、嫌いじゃないから別にいいんだけど。ご飯を食べた跡の皿洗いがすごく面倒くさくて、子供の頃は洗い物を流しに山のように積んでよく放置していたんだけど親に軽く怒られていたのを覚えています。

ゆかり:
 洗い物までが料理だよ!

しーあ:
 何? その「帰るまでが遠足」みたいなやつ。私は正直に言って、料理の後の皿洗いは面倒な作業だから他の人とか、全自動食器洗い機にお任せしたいです。

 だけど2015年にアメリカ、フロリダ州立大学のアダム・ハンリー博士が非常に興味深い研究発表をおこないました。それは「皿洗いという作業がストレスを減少させる可能性がある」ということを示す衝撃の研究なの。

 皿洗いに本当にストレスを軽減させる効果があるのか、視聴者からは「台所の高さと微妙に合わなくて腰に負担がかかるから嫌い」といった否定的なコメントや「始まるまでめんどくさいけど、皿洗い自体は気持ちいいよな」といった、なんとなく効果を実感しているコメントが寄せられました。

「自分が皿洗いしていることをしっかり意識し続けること」

ゆかり:
 「皿洗いがストレスを減少させる」なんて、そんなことないでしょ。

しーあ:
 アダム・ハンリー博士は、51人のグループを2つに分け、一方のグループには「皿洗いの手順だけを書いた指示書」、もう一方のグループには「気持ちを込めて皿洗いをするための指示書」をそれぞれ読ませてから皿洗いをさせました。

ゆかり:
 皿洗いに気持ちはこもらない……。

しーあ:
 後者が読んだ「気持ちを込めて皿洗いをするための指示書」にはこんな内容のことが書かれていました。「皿洗いなんてつまらないと思わず、自分が皿洗いしていることをしっかり意識し続けること。立って皿を洗う自分は素晴らしい。自分の呼吸、存在、行動を感じよう。すると、自分がふわふわと周囲に流されている存在ではないと思えるはずだ」

ゆかり:
 直訳感はすごいけど、壮大な皿洗い……。

しーあ:
 前者のグループには「洗い物お願いします。洗剤は棚の上にあるからそれを使って、終わったら声をかけて」みたいな感じの文です。

ゆかり:
 訳し方適当すぎでしょ。

しーあ:
 お皿を洗ってもらった後、どれくらい「苛立ち」があったのか計測しました。

 どうやら同じ皿洗いという行為でも、どんな指示を受けたかで被験者の心理状態に差異が生まれたようです。「気持ちを込めて」といった指示に「やりがい搾取の類じゃないだろうね」といった懐疑的なコメントが投稿されていました。

指示の出し方で被験者の“気分”は変わるのか?

しーあ:
 皿洗いの前者の気分を測定すると、後者にのみ「いらだち」の感情を軽減する効果が見られました。

ゆかり:
 しーあちゃんの訳だと、前者は苛立ちしか覚えないでしょ。

しーあ:
 一見するとなんでもないようなメッセージに見えますが、注意深く皿洗いをおこなったグループのうち25%は、緊張レベルが27%低下するという効果が見られました。一方で、注意深く皿を洗わなかったグループには同様の効果は確認できなかった、とのことです。

 注意深く皿洗いをおこなうことは、石鹸の匂い、水の温度、お皿の感触などを感じることになるため、ストレスを低下させた要因の特定は難しい、とのこと。

 また検証人数が51人と非常に小さなグループであるため、さらに大規模な人数で検証する必要があるそうですが、研究著者のひとりであるアダム・ハンリー氏は「皿洗いに限らず、日常の何気ない行動を意図的に集中することが、心の平静を高める効果を生み出す可能性があります」と推測しています。

 皿洗いという目の前の行動に集中するはストレスの軽減につながる可能性がある、とのことでした。「これって皿洗いじゃなくて自分の行動を意識できれば何でもいいんじゃないの」「集中するのが瞑想っぽい」といったコメントが寄せられました。

皿洗いでマインドフルネス!?

ゆかり:
 なんだか、マインドフルネス【※】に似てるね。

※マインドフルネス
瞑想等を通じて、今現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程。マインドフルネスに基づく医学的な介入は、うつ病や不安といった精神疾患を引き起こす要因を減らすのに有効であると複数の研究が示している。

しーあ:
 研究をリードするDr.Aric Sigman氏は「皿を洗うという単純な作業を、ひとつひとつ丁寧にこなしていくことで小さな達成感が積み上がっていきます。これはマインドフルネスと同じ原理であり、精神を落ち着かせる効果があります」と語りました。さらにエステに行く、好きな音楽を聴く、アロマを焚く……などなどリラックスする方法はたくさんありますが、手で食器を洗うことはスパに行くのと同じくらいのリラックス効果がある……らしいです。

ゆかり:
 流石にそこまではないでしょ。

しーあ:
 日頃洗っている身としては……ありえないね。ストレス解消効果が有る、という説に反対する気はないけれど皿を洗うときって、生ゴミの処理もあるし焦げたフライパンやカピカピのご飯茶碗も洗わんといかんし、毎日洗い物するとそうしても肌荒れや、ひび割れ、あかぎれもあるから。ストレス要素がどうしても勝ってしまうことが多いだろうと私個人は思います。

ゆかり:
 たまにだったらいいかもね。

しーあ:
 たしかに、たまに洗い物をする人なんかはもしかしたらストレス発散にはいいかもね。家族だったら、子どもにあらってもらうとかパパさんにやってもらうとか……でも毎日しないといけないってことになったらそんな事少ないだろうね。私なんかは、何日かおきにするお風呂掃除とかのほうが、心がスッキリする気がするけどね。

 「皿洗い」にストレス減少の効果があるというよりは、日常生活の何気ない行動を意識的におこなうことが鍵のようです。視聴者からは実験結果に対して「単純作業って確かに落ち着くかもしれん」「ニートだけど一日一回の洗い物はなにげに楽しみ。他の仕事はしたくないがな!」という意見が投稿されました。

▼ふたりの解説をノーカットで視聴したい方はコチラから▼

お菓子と心理学#5 – 皿洗いにリラックス効果?

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