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「これがマリファナビジネス最前線だ」5万人が大麻を吸いまくる”ヤバい”パーティーから超ハイテクのマリファナショップまで突撃リポート

 アメリカ在住の映画評論家でコラムニストの町山智浩氏が、日本ではあまり知られていないアメリカの文化や風習を体を張ってリポートする【町山智浩のcurious U.S.A】。

 今回のターゲットは、毎年4月20日に開催される『マリファナ(大麻)デー』。21歳以上の大麻の栽培、所持、使用を条件つきで合法化したコロラド州デンバーから、4月20日の午後4時20分に5万人が一斉にマリファナを“ラリー”するピースフルな瞬間をリポート!

 また、他州に先駆けてマリファナを解禁したコロラド州は、マリファナビジネス先進州として、マリファナ用電子パイプ、マリファナコーラ、マリファナはちみつなどなど、多彩なマリファナ関連商品を展開。その様子をキャッチするため、「マリファナ観光ツアー」なるトンデモツアーに参加し、栽培施設、マリファナショップなどを周遊&解説。

 副流煙渦巻くツアーバス車内で、町山智浩は正常を保っていられるのか? そして、我々が想像している以上に先鋭的なマリファナビジネスの未来とは!? 約9時間に及んだ「大人の社会科見学」の一部始終をお届けします!

■9時間の生放送を10分にまとめた動画はコチラ

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大人の社会科見学「マリファナ体験ツアー」スタート!

町山:
 今、私はアメリカの中央に位置するコロラド州のデンバーという街に来ています。4月20日は、アメリカでは「マリファナの日」ということで、コロラドではマリファナを祝うために約5万人が駆け付け一斉にマリファナを吸うというパーティーを行います。そこで今日はそのパーティーの取材しようと思います。

 コロラド州は2014年1月から解禁されていて、買うこと吸うことが許されています。一人当たりの量を超えたマリファナの売買をすると逮捕されるのですが、個人使用に関してはOKです。

 コロラドを皮切りに、アメリカではすでに28州と首都ワシントンD.Cで栽培や使用が解禁となり、2019年にはカリフォルニア州でも購入が許可されるようになります。日本からの観光客であっても21歳以上であれば誰でも買うことができ、ますますマリファナを取り巻く環境は変わってきています。そのあたりも含めて、今日はリポートできればと思っています。

町山:
 コロラド州のマリファナ関連ビジネスは、年間約2000億円とも言われる巨大産業なんですね。だいたい28グラムで2万円が相場となっていて、さらに税金として20%を支払わなければいけないため2万2000円ほどになります。

 コロラド州はマリファナによる税収が大きく、そのお金は公立学校の設備や教育、学校食などに活かされている背景を持っています。マリファナによって教育を支えることができているとも言えるわけですね。

町山:
 これから何をするかと言うと、あの大きなリムジンバスに乗って、「マリファナ体験ツアー」に出かけます。4月20日の午後4時20分に一斉にみんなでマリファナを吸うのがクライマックスで、それまでマリファナ栽培施設やマリファナショップなどを巡って、最後に5万人が集まっている場所に行こうというわけです。

 コロラド州では、マリファナビジネスが観光としても成立しているからビックリです(笑)。あそこに今日のツアーに参加する人がいるので、ちょっと話を聞いてみましょう!

町山:
 ハロー、今日はこのツアーに参加するためにどこから来たんですか?

男性:
 テキサスだよ。テキサスは医療用マリファナだけが解禁されていて、他はアウトなんだ。

町山:
 医者に行けばもらえる?

男性:
 そういうことになるね。

町山:
 髪形が素敵ですね。マリファナみたい(笑)

男性:
 ははははは! ありがとう、自分でも気に入っているんだ(笑)。

町山:
 サンキュー、あなたのお名前を聞いてもいいですか?

男性:
 カントリーだよ。

町山:
 カントリー? え、国っていう意味の?

カントリー:
 ニックネームさ(笑)。俺的には「田舎者」という意味で使っているよ。

町山:
 すごいネーミングセンスだな~。 

町山:
 というわけで、バスに乗り込みましょう。コロラド州外からこの日のために参加する人も多く、先のカントリーだけでなく、いろいろな人がバスに乗り込んでいます。

解禁と言っても、マリファナは屋外で吸ってはいけない!

町山:
 ツアーガイドの男性が、バスツアーに際して注意事項を説明していますね。「これから栽培しているグリーンハウスに行きます」「マリファナを吸うととても喉が渇くけど、大量にミネラルウォーターはあるから心配するな」など話していますね。

町山:
 もう皆さん、かなり吸い始めていますね(笑)。私の隣にいる男性はミズーリ州から来たとのことで、「ミズーリではごく少量の所持なら逮捕されない程度で、コロラドほどではない。だから今日は楽しみにして来たんだ」と言っていますね。

 実は、これまでアメリカではマリファナの逮捕者が最も多かったんです。そのため少量の所持で逮捕されなくなったことは、大きな変化なんですよ。マリファナの取り締りのために割かれる警察官や刑務所の負担も減ったわけで、さまざまな部分に変化が起こっているんですね。

 もちろん州によって、マリファナに対する取り締まりも異なっていて、特に反対運動の激しい保守的なアメリカ南部では、解禁されるまでの道のりは時間がかかると言われています。ちなみにコロラドは、解禁してから約3万人の雇用が生まれたと言われていて、解禁初年度だけで5億ドル、現在はその4倍の20億ドル(約2000億円)にまで成長しているんですよ。

コメント:
 なぜ車内の窓を開けないの?

町山:
 煙が外に行ってしまうからです(笑)。基本的にマリファナは、解禁したどの州にも言えることですが、吸っていいのは自宅だけです。屋内であっても公共施設やホテルではNGですし(罰金100ドルなどが課される)、公園などの屋外でも禁止されています。そのため、このような密室空間限定となってしまうわけですね。

 今日は5万人がつめかけるわけですから特別に外で……ということなのですが、その場所は一体どこなんだ!? と気になると思うのですが、それはあとのお楽しみにしておきましょう(笑)。

町山:
 彼はコネチカット州から来たようで、コネチカットでは医療用マリファナのみ解禁されていると話しています。アメリカ全土でマリファナが解禁されるのが待ち遠しい?

男性:
 そうでもないさ! だってもう俺は吸っているんだよ!? 今さら解禁しようがしなかろうが、どうでもいいよ!(笑)

町山:
 ははっ、なるほど~! この狭い車内だと副流煙でこっちまでキちゃうね~! へへへ、喉が渇いてきたから、のど飴をなめます!

町山:
 彼はこのツアーのガイドをしているオースティンさんです。どれくらいこの仕事をしているんですか?

オースティン:
 4ヶ月だよ。その前まではレストランのウェイターをしていたんだ。

町山:
 へぇ~、ウェイターだったんだ! このツアーのガイドをするにあたってライセンスなどはあるのですか?

オースティン:
 ガイドに関しては特別なライセンスは必要ないけど、売買には許可が必要だよ。その許可もテストは必要なく、お金さえ払えば認可してくれるんだ。

町山:
 今、トランプ政権でジェフ・セッションズが司法長官になったけど、どう思いますか? 彼は南部出身でマリファナ反対派の急先鋒だけど。

オースティン:
 難しい問題だね。すでに動き出している部分もある。でも、トランプはあまりにブラフが多いから、単なる脅しなだけかもしれない。どうなるか分からないな。

町山:
 なるほど。たしかにトランプ自身はマリファナに言及はしていないんですよね。ただ、お酒に関してはお兄さんがアルコール依存症で死んでいるので良い印象を持っていない。アルコールで死んでしまう人や、たばこが原因でガンになってしまう人がいる一方で、(医学的には)マリファナで死ぬ人はいないと言われているんですよ。OK、オースティン、ありがとう! 

こうしてマリファナは育つ。栽培施設に潜入!

町山:
 現在、施設の前で説明を受けているのですが、「地元の住民の許可を得れないと栽培所やお店は出せない」ということを話しています。州が決めた量であれば、個人でも育てることは許可されているようです。そのため種も普通に売っているみたいです(笑)。では、いざ栽培所の中に行ってみましょう!

町山:
 ある程度育っていくと、マリファナを置く場所を隣のハウスに移していくようです。

町山:
 分かりづらいですが、この花みたいに白いフワフワしているところが育っていきます。その後、キラキラと透明に輝くように育ちます。クリスタルと呼ばれるこの部分に、THCなどの幻覚物質などが含まれていんるんです。よくマリファナのことを“葉っぱ”といいますが、葉っぱ自体に効果はほとんどないんです(笑)。ちなみに、マリファナにもたくさん品種があって、効果はさまざま。次はマリファナショップに場所を移しますので、行ってみましょう! 

町山:
 ちなみに、このツアーは22000円くらいだそうです。次に向かうショップでは、ツアー参加者限定でマリファナ価格が25%オフになるそうです(笑)。こちらでは1グラム約3000円くらいから購入できるので、さらにお得感が増すと。マリファナはお酒と違って、やめろと言われれば止められるし、我慢しようと思えば我慢できると言われています。お酒と違って依存度が低いなんてことも……。

正面に座っている女性:
 ねぇねぇ、あなたは吸うの?

町山:
 う~ん、日本はとても保守的な国だから、マリファナが吸える国の人たちがうらやましく感じるというか……。

女性:
 ここはアメリカよ、吸えばいいじゃない?(笑) あなた、吸いそうだもの(笑)。 

町山:
 ロックスターとかならいいんだけど、僕のような立場の人間が吸ってしまうと日本ではテレビに出れなくなってしまうので、その質問には答えられません(笑)。アイムソーリー!(笑)

女性:
 (笑)

なぜか水パイプを渡される町山さん

町山:
 わーお! これはボングと呼ばれ、水を使って煙をろ過するものですね。それにしても、喉が渇くね~(笑)。マリファナを吸うととてもお腹が減るので、食欲減退の治療をしている人には効果的だと言われています。裏を返せば、ダイエットをしている人には向いていません。あと、マリファナが危険視されていることとして、運転中の事故があります。ですが、マリファナの症状ってすべてがスローに見えたり、体に力が入らないことなので、アクセル全開で突っ込む大事故みたいなことではないんです。そういったことも踏まえて、運転に関するマリファナの取り締まりは非常にデリケートで、車内に置いてあるだけで逮捕の対象となってしまうんです。当然、車内で吸うことも禁止されています。と言っていたら、目的地に到着したようですね。

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