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【会見全文】「ゆっくり茶番劇」商標登録に関してドワンゴが4つのアクションを公表 今後は独占防止のため関連用語の商標登録出願も

 「ゆっくり茶番劇」の商標登録に関して、ニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴは、5月23日に記者会見を実施しました。
 ドワンゴは、東方Projectの原作者・権利者でもあるZUN氏ともコミュニケーションを取りつつ、動画クリエイターが今後も安心して創作を続けられる環境を作るために、以下の4つのアクションを行うことを発表しました。

・「ゆっくり茶番劇」商標権の放棄交渉
・「ゆっくり茶番劇」商標登録に対する無効審判請求
・使用料を請求されてしまった方への相談窓口の設置
・商標登録による独占の防止を目的とした商標登録出願

 本稿では、ドワンゴ専務取締役COO・栗田穣崇、ドワンゴ法務部長・小川和晃が登壇した会見の全文を掲載します。

 なお、会見翌日(5月24日)に商標権を取得したとされる人物は「5月23日付で商標抹消登録申請した」という旨を公表しています。

■記者会見の視聴URL
https://live.nicovideo.jp/watch/lv336994652

■文字商標「ゆっくり茶番劇」に関するドワンゴの見解と対応について
https://blog.nicovideo.jp/niconews/170666.html


司会:
 はい、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。ネットを通して視聴の皆様もありがとうございます。本日、進行を務めます高橋と申します。
 本日は「ゆっくり茶番劇」という商標登録につきまして、ドワンゴのアクションとしての会見を行わせていただければと思います。

 まず登壇者のご紹介をさせていただきます。弊社、専務取締役COOの栗田穣崇でございます。弊社、法務部長の小川和晃でございます。

 冒頭、栗田より「ゆっくり茶番劇」という文字商標についてのご説明と、これからドワンゴが実施する予定のアクションについての発表がございます。
 その後、質疑応答を予定しております。よろしくお願いいたします。

左から、専務取締役COO・栗田穣崇、法務部部長・小川和晃。

■「ゆっくり茶番劇」という文字商標についてのご説明

栗田:
 メディアの皆様、お忙しいところ集まりいただきましてありがとうございます。それから、ニコニコやYouTubeで視聴してくださっている皆さん、お集まりいただきましてありがとうございます。株式会社ドワンゴ専務取締役COO、ニコニコ運営代表の栗田と申します。

 これから「ゆっくり茶番劇」という文字商標について、ドワンゴがこれから実施する予定のアクションについてご説明いたします。

 まずその前に、「ゆっくり」や「ゆっくり動画」という言葉になじみがないという方もいらっしゃると思いますので簡単に説明させてください。

「ゆっくり」とは

 「ゆっくり」とは「東方Project」というゲームのキャラクターをデフォルメして生まれたイラストのことです。

「ゆっくり動画」とは

 そして「ゆっくり動画」とは「ゆっくり」のキャラクターと特徴的な合成音声を組み合わせる動画の制作スタイルのことを指しています。

 そして「ゆっくり動画」の歴史についてご説明します。

「ゆっくり動画」の歴史

 「ゆっくり動画」ですが、2008年ごろから創作が始まりまして、弊社のニコニコ動画サービスに限定しましても、既に80万本以上の「ゆっくり動画」がインターネット上に投稿されております。
 動画の中身も様々でゲームを実況する、知識を解説する、お話や漫才を行うなど、たくさんの種類がございます。

 皆様ご存じの通り、2022年5月15日に「ゆっくり茶番劇」の商標権を取得したという発表がありました。その方は、商標を使用する場合は10万円を請求するとの発表がありました。

 ネットで非常に大きな話題となりまして、私がニコニコ代表として調査をするというツイートも2万回以上、リツイートされておりまして、皆様の関心の高さが伺えるかと思います。

 その後、当該商標に関しまして、法律事務所と協議したうえで弊社の見解を5月20日に公表いたしました。弊社の見解は次の通りです。

■ドワンゴが実施予定のアクション

「ゆっくり茶番劇」商標の弊社見解

栗田:
 まず「ゆっくり茶番劇」は、特許庁に登録されている商標です。しかし、その効力は限定されており、ほとんどの「ゆっくり動画」には影響しないと考えます。
 商標とは自分の商品と他人の商品を区別するための目印ですので、インターネット上での映像提供について、投稿者名やチャンネル名、動画タイトルではない動画説明文や動画のタグに商標権の効力は及びません。

 また、投稿者名やチャンネル名、動画タイトルにおいても「ゆっくり実況」や「ゆっくり劇場」など、「ゆっくり動画」で使われているほとんどの文字列は、「ゆっくり茶番劇」とは類似しない文字列であり、当該商標権の効力が及ばないものと考えております。

 弊社では「ゆっくり動画」で使われている365種類の文字列を調査しまして、362種は明確に類似しない文字列であり、残る3種についても商標権が類似であると主張する可能性はあるものの、弊社としては類似しない文字列だと考えるとの見解に達しました。
 さらに「ゆっくり茶番劇場」という文字列についても動画のジャンルやカテゴリとして使用する場合には当該商標権の効力が及ばないところだと考えております。

 以上の通り、「ゆっくり茶番劇」が商標登録されたとしても、ほとんどの投稿動画については影響がなく、これまで通りに動画を投稿いただいても問題がないと考えております。

 しかし、これだけでは十分に安心して創作できる状態ではないとも考えております。
 今回の問題で商標権を取得したとされる方は、商標を用いても使用料の請求を行わないとTwitter上で発言されておりますが、当該商標権は保持されたままであり、いつでも前言撤回ができる状態が続いております。
 また、商標権者になりすました悪意を持った第三者が動画投稿者に金銭を請求するような事態も考えられます。

 「ゆっくり動画」を制作している動画投稿者の方は、非常にお若い方も多く、例えば中学生ながら人気クリエイターとなっている方もいらっしゃいます。
 商標権者になりすました方が1万人のクリエイターに対して金銭を要求するなどのメールを行えば、不安や恐怖を感じたり、争いごとを苦手とする方が法律上は支払う義務がない場合でも金銭を支払ってしまうかもしれません。
 コミュニティが築き上げてきた名称が商標登録されることによって、クリエイターが安心して動画を創作できる環境が害されてしまっている現状を弊社は大変残念に感じております。

 そこでドワンゴは本問題に関して、4つのアクションを行います。こちらになります。

今後も安心して創作いただくために

 まず当該商標の商標権者に対して、商標権の放棄交渉を行います。

 もし放棄に応じていただけなかった場合には、「ゆっくり茶番劇」という商標登録に対して無効審判請求をいたします。
 弊社としましては、「ゆっくり茶番劇」という言葉は小説における「ライトノベル」や、テレビ番組における「連続ドラマ」と同じように、インターネット上の動画のジャンルを表す言葉であって、特定の作品の出所を示す商標ではないと考えております。
 実際に「ゆっくり茶番劇」という言葉を含む動画は、2011年からニコニコに投稿されており、その後も様々なクリエイターによって、様々な作品が発表され続けています。インターネット上には、200万再生を超える動画もあり、特定個人や企業の特定の作品の出所を指し示す単語ではないと考えております。

 次に「ゆっくり茶番劇」の商標侵害相談窓口を開設いたします。冒頭に申し上げた通り、当該商標権は現在のところ、権利放棄されていないと認識しています。そのため、今後、商標使用料が請求されてしまう可能性が残っております。
 そこで本件に関して動画を投稿したことによって実際に商標の使用料や損害賠償の請求が届いてしまった方に向けた無償の相談窓口を開設いたします。請求書の内容に応じて警察や法律事務所など、適切な窓口の紹介を行います。

 最後に「ゆっくり」系動画においてジャンル・カテゴリーを示す表示として広く使われている「ゆっくり」関係の複数の文字列を対象としまして、商標登録の出願を行います。こちらは誤解いただきたくないのですが、ドワンゴが権利行使をするために出願するわけではございません。
 もし、インターネットを利用して行う映像提供において、ジャンル・カテゴリーを示す表示として一般的に使用されていることを理由に特許庁が商標登録を拒絶すれば、誰も商標登録できないことが明らかになります。
 一方、その文字列について商標登録がなされてしまった場合においても、取得した「ゆっくり」関連の商標権について、弊社は将来にわたって一切の権利行使をしないことをここでお約束いたします。

 以上の取り組みはドワンゴとしてもネットクリエイターを守るために行うものであり、「東方Project」原作者のZUNさんにもご承知いただいております。詳細についてはプレスリリースや弊社ウェブサイトをご確認ください。

・「ゆっくり茶番劇」商標登録に対する 弊社のアクションについて
https://dwango.co.jp/news/5639933611999232/

 「ゆっくり動画」は、10年以上の歴史と80万本以上の作品数を誇る巨大な文化圏です。コミュニティが築き上げてきた名称が商標登録されることによって、クリエイターが安心して動画を創作できる環境が害されてしまっているという現状を弊社は大変残念に感じて憂慮しております。
 弊社は今後とも関係各所と連携を図りながら、すべての方々が安心して創作活動を楽しめる環境を守っていきたいと考えております。説明は以上になります。

司会:
 はい、発表は以上になります。ここから、質疑応答に移りたいと思います。質疑のある方は挙手をしていただきまして、マイクが回ります。その後、社名とお名前を述べていただいた後に、質問をお願いいたします。

■質疑応答

記者A:
 先ほど最後のほうで「関係各所と協議して」という話があったんですけども、例えばニコニコさんが動画サービスの代表事業者として、こういう発表をされるということは、クリエイターにとってはすごく心強いところだとは思うんですけども。
 こういう言い方はなんですが、動画サービスというのはニコニコ以外にもたくさんありまして……そこらへんでは、今これ(ゆっくり茶番劇)の商標登録の効力が発揮されてしまうのではないかという懸念があるんですけど、そのあたり他の動画サービスとはどういったお話を(以下、音声不調)。

栗田:
 ありがとうございます。まず今回においてはですね、非常にスピード感が重要だと感じておりまして。
 弊社、この問題が起こりましてから、1週間以内にこちらの検討をし、見解を示しまして、1週間ちょっと経ったところで記者会見をやらせていただいているのですが、恐らく他の会社さんと協議していたらこのスピード感では対応できなかったと思います。

 ですので、まず今回我々が単独……もちろんZUNさんの関係している各社さんですとか、法律事務所さんですとか、そういうったところとは連携しておりますけれども、他の動画プラットフォームの会社さんとまでは、そこまでやれておりません。

 ただ、もちろんこれはネットクリエイター全体の問題ですので、我々としては当然、門戸は常に開いておりますので、いっしょに検討していきたいという会社がおられましたら、お声がけいただければ対応することを考えております。

記者B:
 今回のドワンゴさんの立場というのを教えていただきたいんですけれども、そもそもの同人ゲームを作ったクリエイターの方がいて、(ゆっくり茶番劇は)そこから派生したネットの用語といいますか。アスキーアートから派生してという形なんですけれども、ドワンゴさんが商標権者になっている方に放棄を交渉できるというのは、どういう立場でできるんですか?

栗田:
 ご説明しましたように、我々としては、こちらの「ゆっくり茶番劇」という単語は、動画の中で言うとジャンルを表す言葉だと考えております。
 ですので、我々は各種のネットクリエイターさんたちが動画であったりとか、生放送を配信するためのプラットフォームとして存在しておりますので、我々としましては皆さんからニコニコに上げていただいたコンテンツというものを取り扱うプラットフォーマーとして、そういったジャンルにかかわるものが商標登録されてしまっているというところで我々も対象者というか、我々も訴えられる可能性があるという当事者の一員であるということを認識しております。

記者B:
 この問題に限らずなんですけど、定期的にこういう商標権の問題とかっていうのは起きてて、ネットの世界でも定期的にあったりとかするんですけども。今回のこの対応っていうのがひとつのフォーマットのようになって、今後の創作活動と著作権者の保護を両立する形としてドワンゴさんは考えてらっしゃるのかどうか。それとも今回だけの特別な措置なのかというのを教えてください。

栗田:
 これはもう、世の中の関心の大きさに関係するかなと我々は考えておりまして。
 今回、「ゆっくり茶番劇」が商標登録されたというのが先々週の日曜日でしたが、その日のうちにTwitterトレンドするような大きな騒ぎになりました。
 ですので、ネット上のミームといいますか、そういったものをすべてこういった形でやり切れるかというと、さすがに量もたくさんありまして、そこまでの対応が難しいですので、我々としましてはどれぐらいクリエイターの方々にインパクトがあるのかということで、もうそれは都度都度、案件ごとに対応していくものだという風に考えております。
 もちろん今回、我々のほうでも知見がたまりましたので、また同じようなことがあれば即座に対応できますし、またそれ以外でも何か我々として先手を打って守っておかなければいけないようなものについては、今後検討しまして対応したいと考えております。

記者C:
 大きく2点ありまして、ひとつ目なんですけど、無効審判請求についてお聞きしたいんですけど。無効審判請求というのは、どうやら5年間という期限があるようでして、このなぜ期限がある無効審判請求から先にやるんじゃなくて、直接交渉というところから始めるのかお聞かせください。

栗田:
 まだこれは確かな情報ではありませんが、先方は商標を放棄するというような情報も、Twitter上で入っておりますので。
 もちろん事実確認が必要なんですけれども、そういう意思が先方にあるのであれば、まずそこから行うというのが、穏便というか、非常に平和的解決に至るのではないかというところと、それと合わせて先ほど「ゆっくり」関連の商標を別途申請するというお話をしましたので、そことの合わせての見解になります。

記者C:
 2点目です。今回の騒動を踏まえて(ドワンゴ)社としてですね、日本の法律とか、法慣習についてどんな課題があると思われているのかお聞きしたいんですけど。
 例えばなんですけど、過去には新潟県産の「コシヒカリ」を中国に輸出しようとしたときに、中国で「コシヒカリ(越光)」っていうのが先に(商標)登録されちゃっていてですね。
 「日本産米(新潟産米)」っていう名前で輸出せざるを得なかったという事態がありました。なので個人的にこの騒動というのは皆が使っている言葉を模倣犯のように登録してビジネスにする事例ができてしまうという懸念があるのかなと思っていまして。

 例えば御社の夏野社長だったら、政府の各会合の委員を務めてたり、そういう大変発言力のある経営者もいらっしゃる会社でもありますので、会社としてまず今回、感じた法律の課題っていうのと、今後政府とかに対して何か働きかけていくようなつもりがあるのかお聞かせください。

栗田:
 まずネットミームというものが、どうしてもその特定の界隈に関してはものすごく知名度があっても全体で見るとそうでもなかったり。
 例えば「ゆっくり茶番劇」というのも、特定の界隈の方はものすごく認知があるんですけれども、じゃあ一般のネットをあまり見られない方がそこまで認識しているかというと、世代にも当然あって、若い世代は当然、認知度高いんですけれども。上のほうの世代の方がそこまで認知してるかどうかという問題もあります。
 ですので、恐らくこういう問題は個別によって起こるのかなと思いまして、特許庁のほうでも当然、特定ジャンルに詳しい詳しくないとか、そういったところはありますので、やはりそういったものに関して我々も情報提供するなど、そういったところでも協力が必要かなと思っておりますが、実際問題かなり個別に発生する案件だと思っていますので、全体に関して何か働きかけるというのは、ちょっと難しいかなと感じております。

記者D:
 現状、先方の方と連絡はどうやって取るのかというのと、もし取っていれば取っている内容を言える範囲でお願いします。

栗田:
 まだ当然アクションは、これから今日発表してからになります。また、当然これに関しては、法律事務所並びに特許庁とのやり取りになりますので、それ以上の詳細について、いまのところではお答えすることは控えさせていただきます。

記者E:
 先ほどにもお話にもありましたけれども、商標権者の方と思われる活動名が柚葉という方の所属する事務所からTwitterのほうで、こちらの商標権の放棄手続きを開始するという投稿とかもあったと思いますが、こちらに関してのドワンゴさんとしての受け止めとかがございましたら伺ってもよろしいでしょうか。

栗田:
 当然Twitterでそのような発表があったことは承知しておりますけれども、まず現在のところ弊社の方針に変わりがないということとですね。
 あくまで所属する団体の声明ですので、商標権を取得したと主張する方が、商標放棄するとTwitter上でまだ発言されているわけではないと(2022年5月23日会見時点)。
 それから、またその方もTwitter上で当該商標権を放棄すると発言されたとしても、その方が実際に特許庁のほうに登録されている商標の権利の保持者かどうか、というところの確認もまだ取れておりませんので、我々としましてはそういう情報があるという認識はしておりますけれども、そこについての特定のアクションというのは今後になると思います。

記者F:
 ドワンゴさんを信用していないというわけではないのですけども、一応これでドワンゴさんが商標権を仮に取得されて、これがそのひとつのフォーマットとして業界に浸透したとして、他の動画サービスとかも同じように商標権を取得して守るような形になっていったときに将来的に、そのプラットフォーマー同士のビジネス的な競争の中で商標権を行使するような事態になってしまう懸念とかも、この問題がこう抱えることだと思うんですけど。
 そうならないように何かしらプラットフォーマー同士で適切に商標権を管理するような業界団体みたいなの作るとか、そういう風なことに発展するようなお考えとかっていうのはあるんでしょうか。

栗田:
 そうですね。現状としては中々難しいのではないかと思うんですけども、いまの法制度ですと、いわゆる個人とか第三者に権利を主張されて、ご自身の権利だというものであればご自身で取ればいいと思うんですけど、そうでない場合は第三者の個人なり法人が取るというパターンしかありませんので。
 そうすると弊社が取るか他の方が取られるかという話にどうしてもなってしまいますので、弊社のようにプラットフォームとして責任が世の中に対してある会社であり、かつそのレピュテーションリスクを持っておりますので、当然その弊社側が権利を行使しないということで権利を取得したのに、実際にこちらを商的に使った場合というのは世の中的に非常に大きなリスクを負いますし、当然関係会社の株価にも影響が出ますのでそういった会社であるということで皆さんに信用していただくというところがいまのところでは、最善手かなと思っております。

 どうしてもその関係各社と話をするというのもひとつの方法だとは思うんですけれども、やはり色んな考えの方がたくさん集まっているところでの決定というのはスピードも落ちますし、中々調整も大変ですので、まずは我々が先例を作っていく中で、その中でみんなでやっていきましょうという気運が生まれて、そちらのほうに移していけるのであればそういった方向も模索したいと思いますけれども。現在ではこれがベストではないかなと考えております。

記者G:
 先ほど、栗田さんにも話していただいたんですけど、改めて法務部としての見解をお聞きしたいなと思うので、今回の商標登録をめぐる件についてですね、異議申し立ての期間が2ヵ月間しかない、かつ今回、柚葉さんという方は、異議申し立ての期間が終わってからTwitterで報告してたりとかすると思うんですけど。後は無効審判という5年間という期限があったりとかする中で、法務部として今回はこの日本の法律に対してどういう課題があるのかというのをちょっとお聞きしたいです。

小川:
 現行の法制度に関する会社としての見解というのは、まだ私が発言できる立場にございませんので、私からの回答は控えさせていただきたいと思います。

記者G:
 栗田さん的には何かあったりしますか? 私見とかでも構わないですけど。

栗田:
 これだけの早いスピードで対応するところがベストエフォートでやってまして、そこまではちょっとまだ踏み込んだ形になりますので、お時間いただけるとありがたいと思います。

記者G:
 こういった騒動みたいなものって諸外国とかでも何かあったりとかするんでしょうか。参考にした事例とか会社としてあれば教えてください。

小川:
 諸外国の対応事例で参考にしたというのは、今回のケースにおいてはとくにございません。

栗田:
 参考ではないですけど、一例としては弊社「投げ銭」という商標を登録しておりまして、こちらも公式に我々がこちらを商標利用するために取ったのではないということを公言しているんですけども、そういった形でネット上でもう既に公共のものとなっていて、誰かがその商標を主張するというのが、全体のリスクになるというものに関しての実例ではあるので。
 そういった「投げ銭」で一回やっていることを「ゆっくり」でも同じようにやっていこうというところでの実例にはなっております。

記者H:
 今回の件をちょっと確認したいんですけれども。そもそもこの商標権が先ほど言ったようにほとんど効力がないものだっていうのと、先方が主張している部分が音声付きの動画についての使用権に対して10万円払えっていうような話と、商標権の話がそもそもズレているんじゃないかという話があったりとか。

 基本的に法的な効力があまりないんじゃないかなという風に思っているんですけれども、今回それでもこういう対応をしたのは世に知らしめることが目的であるのか、法的なことの効力がもしかしたらどこかで発生するかもしれないところで抑制するのかというのと、どちらなのか、もしくは両方なのかというのをもう一回確認させていただければなと思ったんですけど。

栗田:
 当然、商標権の権利があるというのは、これはとくに変わりがないというか。それがなくなるわけではなくて、弊社のような動画共有プラットフォームと配信プラットフォームにおいて、作品を上げる方においては、ほぼ対象とならないのではないかという見解を示していただいたに過ぎないんですね。
 そこに対しての対応というのは先ほど、4つのアクションをしますというようにお話した通りですので、それが法的に正しいかどうかというのはこれから法律事務所ですとか、特許庁とやり取りしていく中で明らかになっていくと思うんですけれども。
 我々ドワンゴとしましては、その商標を取得されている方の主張というのは当たらないという見解を出させていただいたということになります。

記者H:
 最悪の場合は、向こうの言い分が通る可能性もあるということですか?

栗田:
 そこに関しては、法律でのジャッジになると思うんですけども、我々としては我々の見解に妥当性があると考えております。

記者I:
 先ほど説明していただいた中で、問題ないと考える例の中で「【ゆっくり茶番劇】私のモーニングルーティーン」という動画タイトルとかも問題がないという例の中に入っていると思うんですけれども。こういう文字列を使ったタイトルにしていても問題がないというのは、なぜなのかちょっとわからなかったので、もう一度説明していただけますか?

栗田:
 はい。基本的にはジャンルという、ジャンル・カテゴリーを示す表示として広く使われているというところから、いわゆる全体の共用性が高いというか、いわゆるもう既知で皆さんが普通に使われているものなので、そこの使用に関しては商標権の対象にはならないという風に考えているということです。
 小川さん、他に実例か何かありますか?

小川:
 実例というより、商標は特定の商品とか役務の出所を表示するものとして使われているわけではなく、今回のような事例はあくまで派生コンテンツのひとつのカテゴリを示すものとして広く使われてきたということを考慮すると、商標的使用に該当しないものという風に弊社としては考えております。

記者I:
 もうひとつなんですけれども、今回の商標を登録したのは(Twitterで公表した)柚葉さんなのか、まだ同一人物であるかは確認取れていないと思うんですけれども。ニコニコ動画の会員IDや権利のはく奪とかそういった措置とかは考えておられますか?

栗田:
 基本的にそういったものは、ニコニコの利用規約の中で、当然そのこういう行為をしたら会員を、言い方ではBANとかそういった形なんですけども。そういったものにしますという風に該当している内容であれば、そうなんですけれども。そういう風にならない場合は、とくに特例でどうとかということはございません。

記者J:
 相談窓口についてなんですけども、警察や法律事務所など適切な窓口の紹介を行いますと書いてあるんですけども。警察を紹介するパターンって具体的にどういうものが想定されているって感じなんですか?

栗田:
 その場合は恐喝とかそういった、いわゆる警察の業務範疇に当たるものの場合になると考えています。

記者J:
 法律事務所に相談する場合っていうのは民事的な請求という風にお考えですか?

栗田:
 はい、民事になります。基本的に我々は当然、非弁行為の話もありますので、実際にユーザーの方をそういった法律関係の方におつなぎするみたいな形になると思います。

記者J:
 そのときは無償でされるという(ことですか?)。

栗田:
 はい、そうです。

記者K:
 いま相談窓口の話をしていただいたかと思うんですけれども、既に結構な数の相談が寄せられているということなのでしょうか。

栗田:
 現在はまだ個別の相談はなくて、今回の件に関する反応で「頑張ってくれ」とか、そういったものはいただいていますけれども。商標を取られたとおっしゃっている方も実際に行動はしていないということですので、実際に我々のほうに何かそういったユーザーからの被害の声だったりとか、相談が来ているということはいまの時点ではございません。

司会:
 それでは以上をもちまして、ドワンゴの記者会見を終了したいと思います。ライブ配信を通してご参加の皆様、誠にありがとうございました。

栗田:
 皆様、本日はどうもありがとうございました。


 記者会見のタイムシフト(アーカイブ)は下記URLより視聴できます。(アカウント登録不要。ただし、スマートフォンから視聴する場合、ニコニコ生放送アプリのインストールが必要です)

■記者会見の視聴URL
https://live.nicovideo.jp/watch/lv336994652

 

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