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事故物件は“死にかた”で割引率が変わる! 一番安くなるのは殺人、URは一律半額…謎だらけの家賃設定を「大島てる」サイト管理人が語る【話者:大島てる、松原タニシ】

 殺人、自殺……様々な理由により、いわくつきとなってしまった事故物件を徹底的に語り尽くすニコニコ生放送番組「事故物件ラボ」。番組にはMCとして事故物件公示サイト「大島てる」管理人の大島てる氏と、事故物件住みます芸人の松原タニシ氏のふたりが出演。

 今回の放送では、ゲストに東京都杉並区方南町にある“日本一脱出困難なお化け屋敷”「オバケン」を監修したホラープランナーのオバケン氏を迎え、「事故物件が安くなる理由」「告知義務に関する取り決め」など、事故物件にまつわる疑問を大島氏が解説しました。

左から大島てる氏@Oshimaland)、松原タニシ氏@tanishisuki)、オバケン氏@obakensan

※本記事はニコニコ生放送での出演者の発言を書き起こしたものであり、公開にあたり最低限の編集をしています。

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UR以外の事故物件の値段は死に方で決まる

松原タニシ:
 事故物件って安いの? っていうところが、みなさん気になるところで……。

大島てる:
 今のお話そのものに当てはまるのは、たとえば有名な座間の9死体遺棄事件【※】の現場。元々の家賃が2万2000円。東京ではないので、元々安い家賃でした。

※座間9死体遺棄事件
2017年に行方不明女性(当時23歳)を捜査する過程で発覚し、翌31日までに9人の死体が見つかった死体遺棄事件。その後、犯人とされる男の逮捕後尋問にて自殺願望のあった若い女性を標的にして単独実行したことが発覚した連続殺人事件。

松原タニシ:
 元々2万2000円だったんですか。

大島てる:
 その事件の直後はもちろん空室だったんですけれど、入居した方がいます。40代の治験を生業とされている男性です。そのときの家賃は1万1000円だということがわかっています。
 つまり、2万2000円が1万1000円になったから「半額だ」という言い方もできますし、「あんな事件があったのに半額にしかならないの?」もしくは「1万1000円引きにしかならないのか」という捉え方もできるんです。

 そういうわけで、“日本最大の大家さん”と言われている「UR【※】」、昔の公団ですけれども、あそこは「特別募集住宅」という名のもとに、一定期間家賃を半額にしています。今は一年間ですが……。これが殺人事件から孤独死まで、一切差をつけずに十把一絡げにしています、残念ながら一般の民間の大家さんには、それは波及していませんが。

※UR
独立行政法人都市再生機構(Urban Renaissance Agency)。大都市や地方中心都市における市街地の整備改善や賃貸住宅の供給支援、UR賃貸住宅(旧公団住宅)の管理を主な目的とした、国土交通省所管の中期目標管理法人である独立行政法人。前身は日本住宅公団。

 普通の大家さんだと、どんな順番で安くなるかというと、まず殺人事件だと大幅に割り引く。自殺がその次に安くなります。自殺といっても首吊りとかで飛び降りはまた別です。火事は建て替えられることもあるので脇に置いておくと、次は孤独死。最後が飛び降り自殺。

松原タニシ:
 つまり、飛び降り自殺はそんなに安くならないんですか?

大島てる:
 そういうことです。繰り返しになりますけれど、URはそこに差をつけていません。

 でも、座間のような大事件の現場でさえ、半額の1万1000円引きにしかならなかったというのは、私にとってはちょっと高いなと正直思いますが、需要と供給で決まるわけですから、「その値段でいいよ」と誰かが手を挙げれば、それで決まっちゃう。

 法律でどういう事件があったら何割引しなさいみたいなことは、一切書いていないんです。
 「半額にしたんだぞ、住めよ」と言っても「いやだよ」と言われたら、もっと下げないといけないということですし、「下げなくてもいいよ」というか、そこまで安くなっていなくても人気が出れば埋まるということなので、そこはもう、場合によるとしか言いようがないです。

松原タニシ:
 傷んだ野菜みたいな感じですかね。訳あり野菜というか。傷もなければ正規の値段で売れるけど、傷があったり、変な形のキュウリは安くなったりしますよね。

大島てる:
 おっしゃるとおりです。
 ただ野菜と違うのは、素人にはわかりづらいから、隠そうと思えば隠せてしまう。ご覧になっているみなさんに改めて強調したいのが「事故物件は安い」といっても、それは「正直に言っていること」とセットです。

 この座間の事件現場みたいに、正直に言うも何も、メディアで大々的に報じられてしまった、今更隠しようもないというところであれば、誰かに騙されて住んじゃうということもないわけですし、安くしないと誰も借りない、安くしたくないけどしょうがなく安くすると、「それなら住もうかな」という人が現れた。
 他方で、何にも報道もされない、有名人でもない、こんな凶悪な事件でもない、ひっそりと死んじゃったみたいなものだと、隠そうと思えば隠せちゃう。安くすると、むしろ安くしたせいでバレちゃう。

松原タニシ:
 怪しまれるということですね。

大島てる:
 はい。一部屋だけ安いのはおかしいじゃないかと勘ぐられてしまうということで、逆に家賃を下げないことでバレないようにするということになってしまって、「事故物件=安い」という等式が成り立たなくなって、事故物件なのに安くない、相場通りの家賃の、あるいは販売価格の事故物件というのが山ほどあるということです。それは何も得しないわけです。

告知義務関連裁判の判決例はケースバイケース

オバケン:
 「事故物件の告知義務は最初に住む人だけ」とよく聞くのですが、そうなんですか?

大島てる:
 そんなことは定められていません。都市伝説のようなものだと思ってもらえればいいと思います。
 そういう思い込みが浸透しているのは間違いないですから、悪気なく「ふたりめだから言わなくていいんだよね」と思ってしまっている可能性はありますし、でもそれは裏を返せば「ひとりめには言わなければマズい」ということは理解しているわけです。
 それであれば昔よりは全然マシで、もう「ひとりめでも言わなくてもいいや」という時代ではないことなので、そこは進歩していると思います。

松原タニシ:
 「事故物件だ」と言わなくてよかった時代というのは、つい最近まであったんですか?

大島てる:
 10年くらい前の裁判所の判決が元になって、告知しなければいけないという認識がなぜか広がったんです。なので、それ以前は、人によっては最初から言わなかったですね。

松原タニシ:
 結果、裁判をされて「言わないほうが悪い」という判例が出たから、それ以降の人たちは裁判で同じような状況になったら負けるから、言うようにするっていうことですね。

大島てる:
 その裁判というのが最高裁の判決でもないですし、東京郊外のひとつの例にしかすぎないので、「全国どこでも通用する」とかは言っていないですし、「ひとりめが一日でも住めばOK」ということも言っていないので、そこを都合の良いように捻じ曲げるのは、その裁判官が思っていたこととは違うということです。

松原タニシ:
 あくまでも目安ということですね。

大島てる:
 はい。「そのケースでは」ということです。

松原タニシ:
 はじめて事故物件に疑問を持った人って、この部分がすごく気になるところだと思うんですけれど、簡単にパッと言えるようなことじゃないんですね。

大島てる:
 そうですね。事故物件をめぐるいろいろな疑問を弁護士さんに聞いても、だいたいケースバイケース、どっちつかずな答えしか得られなくて、私の知る限り唯一スパッと言えるものというのは、隣の部屋は関係ない。一戸建てであれば隣の家は関係ない。あるいは上の部屋、下の部屋は関係ないということだけです。

 関係ないというのは、たとえば205号室が事件現場でした。204号室を借りたいというときに、205号室の事件を教えてくれなかったとクレームをつけても相手にされない。埒が明かないから裁判を起こす。裁判官はどうするか。「あなたの部屋じゃないんだから」と一蹴されちゃう。これだけは私の知る限り、例外はないです。

松原タニシ:
 「隣の部屋が事故物件って言ってくれなかったじゃないか」と訴えたほうが負けるんですか。

大島てる:
 はい。地方裁判所、高等裁判所を見ていると「隣の部屋のことでしょう」とか、「隣の家のことでしょう」と「あなたの部屋は何でもないんだから言われなくても別にいい」というの判決で、例外がないですね。

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