有名な心理学実験「パブロフの犬」って結局なんだっけ? 「梅干しを見ると唾液」など“刺激と反応の条件づけ”のメカニズムをやさしく解説してみた
今回紹介する、青い花【ゆっくり心理学】さんが投稿した『【ゆっくり解説】刺激と反応の条件づけ、パブロフの犬【心理学】』では、音声読み上げソフトを使用して、パブロフの犬の実験内容や学習理論について解説していきます。
パブロフの犬ってどんな実験?
魔理沙:
この条件反応は1903年、旧ソビエト連邦の生理学者イワン・パブロフが実証した。パブロフはもともと犬の唾液分泌の実験をしていて、この実験中に偶然「条件反射」という現象を発見した。そこから実験を重ね、条件反射の研究を行ったということだ。
霊夢:
そういえば冒頭で「条件反応」って言ってたけど、「条件反射」と何か違いがあるの?魔理沙:
パブロフは最初この現象のことを「精神反射」と呼んでいたが、その後「条件反射」と改めた。そして現在では先天的な反射に限らず、様々な行動が研究されているために心理学では「条件反応」と呼ばれているんだ。
ということで、ここからは「条件反応」で統一していく。ではまずは実験内容を紹介していく。まずは犬にメトロノームを聞かせる。そして次に犬に餌を与える。そうすれば犬は餌を食べながら唾液を出す。そして1と2のプロセスを何度も繰り返す。すると犬はメトロノームの音を聞いただけで、唾液を出すようになる。 この実験は有名なので、聞いたことがある人は多いと思う。
余談だが、パブロフの犬のというと単数の印象があるが、実際に実験で使用された犬は数百頭いたらしい。実験される犬には頬に手術で管を倒して、唾液の分泌量を測定していたらしい。
レスポンデント条件づけ=パブロフの犬の学習理論
魔理沙:
話は変わるが、心理学では「学習」という言葉をもっと広く捉えて、「経験による行動の変化、あるいは行動の可能性の変化」と定義しているんだ。そしてこの学習の基本的な型には「レスポンデント条件づけ」「オペラント条件づけ」というものがある。この「レスポンデント条件づけ」が、今回のパブロフの犬の学習理論なんだ。
この「レスポンデント条件づけ」を簡単に言うと、刺激Aとセットで刺激Bを提示され続けると、刺激Aに対する反応が、刺激Aがなくなっても刺激Bだけになっても引き起こされるというものだ。
これだけでは分かりにくいと思うので、先ほどのパブロフの犬の実験に当てはめて解説していく。生体が本来持っている反応を「無条件反応」という。この実験では、犬が「餌を口にして唾液出す」という反応だ。そしてその無条件反応を起こす刺激のことを「無条件刺激」という。この実験の場合は「餌」のことだな。
学習が成立する前に、犬にメトロノームを聞かせていたが、そのメトロノームのことを「中性刺激」という。そして最初は注意を向けるだけの中性刺激によって起こる犬の反応のことを「おやなんだ反射」というんだ。
霊夢:
さすがにそれは今作ったでしょ……。魔理沙:
いやこれはボケとかじゃなく、本当なんだ。現在では「定位反応」というんだが、日本では最初「おやなんだ反射」と言われていたらしい。霊夢:
ネーミングセンスよ……。魔理沙:
中性刺激を与えた直後に無条件刺激を与え続けると、中性刺激のみで無条件反応が起こるようになる。これを「レスポンデント条件づけ」という。実験では学習成立後の犬に対してのメトロノームのことだ。さらにレスポンデント条件づけに基づく反応を「条件反応」といって、実験では学習成立後の犬が唾液を分泌することだ。
霊夢:
なるほど。用語はちょっとややこしいけど、絵にするとわかりやすいね。つまり無条件に起こっていた反応を刺激での学習を繰り返すことによって、意図的に起こすようにできたということだよね。魔理沙:
そういうことだ。パブロフは初期の頃から消火腺について研究していて、その後唾液腺の研究から偶然見つけた「条件反射」を発表した。そしてその功績により、1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞したんだ。パブロフはロシア人初のノーベル賞受賞者だったらしい。霊夢:
すごい! それだけ大きな発見だったんだね。
ヒトにも同様の条件反応が
魔理沙:
ちなみにこの条件反応は人にも見られる。霊夢:
梅干しの写真を見るだけで唾液が出るみたいなやつだ!
魔理沙:
そう。この場合、梅干しの写真が「条件刺激」、唾液が出る というのが「条件反応」。そしてこの条件反応を引き起こしている「無条件刺激」は過去に食べた梅干しというわけだ。霊夢:
一度も梅干しを食べたことがなくて、梅干しが酸っぱいというのを知らない人は写真を見ただけで唾液が出ることないもんね!魔理沙:
このレスポンデント条件づけは、現代において教育や心理療法など、様々な領域で活用されている。
より詳しい解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。
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