性的シーン強要か「やるまで終わらねぇぞ」——出演者が暴露で上映が中止に。『童貞。をプロデュース』舞台挨拶騒動を吉田豪らが語る
ドキュメンタリーに“演出”は付き物
吉田:
Kダブさん的にはどうですか。童貞がどうとか、ヒップホップ世界にもそういう可愛がりとかあったりするのですか。
Kダブ:
いや、ヒップホップはどちらかというと下剋上で、上のやつをどんどん突き上げる感じだから、あんまり上からものを言うと逆効果なんじゃないかな。
吉田:
たぶん、かつてのバブルガム騒動【※】以降、そういうものがなくなった感じはしますよね。上が何かしてきたら「もうやんのか」という。
※バブルガム騒動
ブラザー・コーンこと近藤信秋氏が自身とゆかりの深かったEAST ENDの事をライブで批判したSOUL SCREAMのメンバーを殴打した騒動。当時渋谷にあったHIP HOP専門レコード店が発行していたフリーペーパーがこの一件を取り上げ批判したり、同じく渋谷のCDショップでSOUL SCREAMの推薦コメントカードに『ブラザー・コーン、暴力はよくないぞ』という一文が書き込まれた。
Kダブ:
そうです。体育会系というよりは文系なんじゃないですかね。
そのかわり、生意気なことを言ってくる後輩みたいなのはいますよ。論破してやるみたいな感じで。
久田:
論破と言っても、勢いで論破するというのが多いので。
Kダブ:
でも性的なものは、男の人は割と「まあ、いいか」で済ませたりするじゃないですか。女の人は将来のこと考えると、残るのがかわいそうですよね。
吉田:
だからちんことかだと笑いになっちゃうから、あまり深刻に捉えないじゃないですか。でもそれは本人は嫌だろうし、という。
久田:
そうだよね。まあ、見世物にされたという感じで怒っているわけなんですよね。
吉田:
どうですか、久田さん的には。
久田:
だから、『名前のない女たち』と通じる面【※】があって……。
※『名前のない女たち』と通じる面
ルポライターの中村敦彦さんがセクシー女優たちをインタビューした書籍『名前のない女たち』の映画化に際して炎上している問題。中村さんが書籍印刷前に、女優側に事実確認を行わなかったことが問題の発端だが、AV出演強要問題で弁護士達がこの書籍を参考資料として取り上げたことにより、さらに影響は広がっている。
吉田:
松江さんもAVを撮っていた人ですからね。
久田:
意思疎通ができていなかったという話ですよね。そういう問題は結構あるじゃないですか。
性に関すると、そういう問題が結構クローズアップされ、炎上しがちなので、『名前のない女たち』の原作者の中村淳彦さんの問題と、松江さんの問題は、炎上の仕方が結構同じかな、という感じはしますね。
吉田:
AVの問題として捉えるとそうだし、またドキュメンタリーの問題としても捉えることができて、ドキュメンタリーがどこまで踏み込んで、どこまで残酷なことをしていいのか、責任を取れるのか、ということですね。
久田:
ドキュメンタリーが撮りにくいのは、絶対に演出があるからなので、やっぱりちょっと上からなんですよ。
吉田:
『童貞。をプロデュース』は、実は結構な演出があって、そこにも納得いっていなかった、ということもありますね。それなのにノンフィクションとして描かれて、全部が自分のことだと思われていることも嫌だし。
久田:
本当のドキュメンタリーは盗撮でしか撮れないと思います。
Kダブ:
ヒップホップ警察的には、この2人は刑に処しますね。
吉田:
ヒップホップ警察は、そっちも取り締まるのですか(笑)?
久田:
AV関係も取り締まる?
Kダブ:
たまには。
久田:
Kダブさん、すごいな。
Kダブ:
口の中にいっぱい突っ込んじゃってね。「気持ちがわかったか!」って。
久田:
ヒップホップ判事でやろうっていう。
吉田:
いいかもしれない。
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