ボカロP・呆による琴葉茜のポエトリーリーディング楽曲『音楽の聴き方』ビート感のあるテクノトラックに「好きすぎます」の声
従来からテクノ・エレクトロサウンドを強みとし、数々の楽曲をこれまでに投稿してきたボカロP・呆(あきれ)。
そんな呆によるボカコレ2025夏参加曲として発表されたのが、私たちを取り巻く“音楽”に対するやや哲学的な提起を主題とした「音楽の聴き方」だ。
文/曽我美なつめ

ビート感のあるテクノトラックに載せて、タイトルの通り“音楽の聴き方”をリスナーへと提起する今曲。
日頃の作品では初音ミクが使われていることも多いが、今作はメッセージ性の強い楽曲の性質を鑑みてか、ポエトリーリーディング的なボーカルに琴葉茜を起用している。
呆楽曲への琴葉茜登場は、おそらく2022年投稿の「デッドアンソロジー」以来だろうか。

楽曲の中では、私たちが音楽と呼ぶ概念をさまざまな角度からより細かな概念へと落とし込み、より意識的に音楽を聴くという行為への行動提起が歌われ(語られ)る。
私たちが音楽と呼ぶもの、より正確に表現するならば一つの“曲”は、どのような要素を持って構成されているのか。
意識的か無意識的かは人それぞれである前提の上で、私たちは何を目的として音楽を聴くという行為に親しんでいるのか。
日頃あまり積極的に言語化されることのない“音楽を聴く”という行為を、音楽を聴きながら言語化していく。
本曲は、ある種そういった実験的な思考・行動を内包した非常にユニークな意欲作になっていると言えるだろう。

また歌詞・言葉によるメッセージ性のみならず、冒頭から展開される非常に空間的な響きを感じられるサウンドも注目したいポイントのひとつ。
だが心地良い音とあわせて、単純なポエトリーリーディングが終始展開されるわけではない。
ともすればややサプライズ感すらあるメリハリの利いた楽曲展開も、リスナーを最後まで飽きさせず惹きつけられる理由となっているのだろう。

わずか2分間という短さながらも、歌詞のメッセージ性とサウンドの音楽性、両方が非常に濃密なクオリティとなっている今曲。
視聴の際はぜひイヤフォンやヘッドフォンを用いて、本作が展開する楽曲の世界観に存分に浸って欲しい。
■楽曲配信情報

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