“スリーパーセル発言”で炎上の三浦瑠麗に言及「リベラル側に戻るのは難しい」【語り:東浩紀×久田将義×吉田豪】
三浦氏がとあるパーティーで発した“嫌味”
東氏:
三浦さんを擁護するわけじゃないけど、正論新風賞のパーティーの挨拶では、彼女は正論に対してちょっと嫌味を言っているんですよね。
「私はリベラルです」みたいなことを最初に言うわけよ。あと「女性では、初めての受賞者です」とかね。新人賞では三浦さんが初めてなんで。それで、私が初めての女性で、とか。
総理からの花束を受け取る三浦さん pic.twitter.com/vpSbAxkqrO
— 東浩紀@ゲンロンカフェ5周年 (@hazuma) February 19, 2018
※東氏のTwitterより、正論新風賞のパーティーの様子。
さらに、僕がかなりの嫌味だなと思ったのが、「小川榮太郎さんだけでは極端になるというので私を選んでいただいたと思うんですが、それが産経新聞社の多様性、懐の深さをあらわしていると思いますので」みたいな感じのことを言った。これはかなりの嫌味なわけじゃん。
久田氏:
そうですね。
東氏:
それをやっているんで、そこはやっぱりバランス感覚があるんですよ。ただ、「周りがどう取るか」という問題に関しては、ちょっと楽観的過ぎるかなと思いますね。
吉田氏:
本人はたぶん、まだリベラルのつもり。
東氏:
そうだし、まだバランスが取れていると思っているはず。
久田氏:
なるほど。今回ので、おっしゃる通り世間的にはもうちょっと、色が付いたような気がしますね。
吉田氏:
まあね。
東氏:
左側の人たちは、単純ですからね。そういう意味ではね。
久田氏:
なんか第二の櫻井よしこみたいな感じになっているような気がしますけどね。
吉田氏:
若くて美人の櫻井よしこ出てきたぞーみたいな。
久田氏:
そうそう。キタキタみたいな感じで、そう思いますけどね。
東氏:
まあでも、変な話だけど、彼女は女性なんで。やっぱり、小川榮太郎的な「女は産めよ増やせよ、男についてこい」みたいなメンタリティは絶対、生理的に受け付けないと思うんですよ。
久田氏:
はいはい。
東氏:
やっぱり、保守論壇ってそういう方々が多いのは確かなので。で、そういう人たちとくっつくということで、どっちが勝つかですよね。三浦さんの中の。
ある種の女性的な部分、マイノリティ的な部分と、憂国の人みたいなものの、どっちが勝つかっていう。彼女の中のせめぎあいになっているんですよ。
ワイドナショーの落ち度は?
久田氏:
でも、「ワイドナショー」が良くないのかなとも、ちょっと思いましたけどね。
東氏:
そりゃ、「ワイドナショー」良くないでしょ。
久田氏:
だって、みんな炎上しますよね。あそこ。
東氏:
そうだし、基本的に「ワイドナショー」って、ワイドショーだから。
久田氏:
そうですね。
東氏:
ワイドショーでの発言をそんなにね。みんなが真に受けて。
吉田氏:
バラエティーのノリで作ってるから、それはまあ、問題は起きますよ。
久田氏:
そうなんだよね。
東氏:
そうなんですよ。
久田氏:
バラエティーっぽく報道っぽくしているのがな、っていう感じですよね。これね、坂上忍さんが言っても、あまり炎上しないと思うんですけど、たぶん。
吉田氏:
あと、単純に問題が、坂上さんの「バイキング」は、生じゃないですか。で、裏番組の爆笑問題のあっちとかも生ですよね。
でも「ワイドナショー」だけ何日か前の収録だから、発言にズレも出るし。生だったら、生だからしょうがない、となる部分が「わざわざこれ残したんだ」になるから、余計問題が起きやすいんですよ。
東氏:
というか端的に言うと、松本さんが首相と飯とか食っているのが、良くないですよ。
久田氏:
そうそう。あれはね。そう思いますよ。
東氏:
フジサンケイグループが首相とズブズブっていうのは、これは、本当にそうなわけで。「一緒に肉食っただけで何が悪いんだ」って言ったら、それは「パーティーにメッセージをもらって、何が悪いんだ」とか、一個一個全部言えるわけだけど、トータルな関係性の問題だから。だから「ワイドナショー」は、もうワイドショーじゃないわけですよ。バラエティーじゃないんだよね。
久田氏:
そうですね。
東氏:
ところが、本人たちはその意識で。俺たちは、言いたいことを本音で言うんだ、みたいな。ちょっと極端なことを言ったって良いんだ、みたいな感じでやっているから。「ワイドナショー」が自分たちの社会的な影響力を、自覚し、自制するしかないんじゃないですか?
吉田氏:
いろいろな野党の党首とも飯食ったりしているんだったら、まだわかるけどね。
久田氏:
それはいいと思いますよね。
だからあの、枝野さんとも別に食えばいいんじゃないかなと思うんだけど。安倍さんとだけみたいな、安倍さんを呼んだりとかって、そう思っちゃうけどな。
「お笑い」の社会的位置
東氏:
ほら、あのダウンタウンの「ガキ使」のスペシャルで、あの……。
吉田氏:
「笑ってはいけない」ね。
東氏:
そうそう。あそこもブラックフェイスの問題があったじゃないですか。あれもそうなんだけど、お笑いの社会的地位が変わっているっていうことを、お笑い芸人とか、テレビプロデュサーがやっぱり自覚しないと。
昔は、お笑いってすごく辺境のものだっていうか、彼らが変なことをやったって日本人全体がそれを肯定しているわけじゃないし、別に影響力もないってことだったんだけど、今はお笑い芸人の地位がすごい高いわけですよね。社会的に。
首相と会食したり、芥川賞を獲ったり。あとテレ朝の「朝まで生テレビ!」に出たりとか。そういう状況になっちゃっているから、お笑いに対する目線が、違ってきてますよね。それは本当は、お笑いにとっては良くないことかもしれないけど。
吉田氏:
権力側になったりとか、権威になっちゃったということですよね。
東氏:
それは、お笑いにとっては、悪いことなのかもしれないですよ。というか、僕は、悪いことだと思いますよ。
久田氏:
差別されている側ですもんね、芸能って。
東氏:
お笑い芸人なんて、いくら金持っていても馬鹿にされているしってスタンスで価値観をひっくり返しているから面白いのであって。首相と会食したり、芥川賞獲ったりしていたら、単なる権威ですよね。
久田氏:
なるほど。そっかそっか。
東氏:
もう又吉さんの発言をお笑いだと受け取らないでしょ? 社会は。
久田氏:
作家として。
吉田氏:
はいはい。
東氏:
そうそう、芥川賞作家が、しゃべっているわけだから。
久田氏:
本当にそうですね。
東氏:
ただたぶん、ひっくり返しという意識が、まだお笑い界全体にはあると思うんですけどね。
久田氏:
なるほどね。
東氏:
そういう問題だと思いますよね。
吉田氏:
その通りだと思います。
久田氏:
僕もその通りだと思いますよね。
東氏:
(コメントを読みながら)たけしがって書いてあったけど、そうなんだと思います。ただ、たけしさん自体は、たぶんすごくバランスが取れていたんだと思うんですよね。
吉田氏:
たけしさんは、足掻こうとしているよね。
久田氏、ぶっちゃける
久田氏:
たけしさんは、僕はそう思っていて。これはあとで、松本さんが出てくるんで言いたくないけれど……。
吉田氏:
良いんじゃないですか? 言っちゃって。
久田氏:
たけしさんは映画を撮って、賞を獲って、コラムも書いて、コメントもするじゃないですか。政治的な。あれって結構痛快なんですけど、松本さんはちょっと違いますよね。映画がダメで、コラムは売れましたけど。
あとはコメントも……安倍さんと飯食っても、まともなコメントできないでしょ。はっきり言って。僕も情が移りますもん、たぶん。安倍さんと飯食ったら。
一同:
(爆笑)。
東氏:
それ、絶対良いわ。明日首相官邸から電話がくるかもしれない。
一同:
(笑)。
東氏:
「情が移って、と聞きましたが?」みたいな(笑)。
久田氏:
(笑)。
吉田氏:
「こいつを黙らせることができるぞ!」って(笑)。
久田氏:
「ちょっと、筆を緩めますよ」みたいなね。
吉田氏:
(笑)。
東氏:
TABLOもね。アベノミクス叩きも行き過ぎじゃないか、みたいな記事出す(笑)。
吉田氏:
「えらそうなヤツ、だいたい嫌い」って言っておいて、いちばん偉いやつに折れてるじゃないかよって(笑)。
久田氏:
最近ちょっと「LITERA」がおかしいみたいな(笑)。
東氏:
「LITERA」と論争はじめるんだ(笑)。
吉田氏:
なんの原稿でも安倍叩きにして、みたいな(笑)。
久田氏:
「ちょっと、おかしいな」みたいな(笑)。
吉田氏:
なんなんですかね。
久田氏:
ま、でも、なんかね。だからやっぱり松本さんとたけしさんを比較しちゃうんですよね。で、たけしさんには、なれないなっていう気がするんですよね。
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