漫画やアニメでお馴染み“炎のシュート”を蹴るにはどうすればいいのか? マッハ2.9、ライフル弾並みのスピードを受け止めるキーパーっていったい
漫画やアニメでおなじみの、“主人公が放ったシュートでサッカーボールが炎に包まれる”という描写。現実にはありえないフィクションならではの表現ですが、実際にやってみるにはどうすればいいのか?
エンジンかずみさんが投稿した動画『【物理エンジン】炎のシュートを打つには秒速何メートル必要か検証』では、空気との摩擦でサッカーボールが燃え上がるにはどの程度の力でシュートを放てばいいのか、科学的に徹底検証しています。
“ボールが燃えるとは!?”隕石が燃えるメカニズムを応用
「炎のシュートを撃ってみたい」エンジンかずみさんが、「ボールをどのくらいのスピードで蹴ったら、炎のシュートになる?」をコンピューターでシミュレーションする“物理エンジン”で検証してみました。
理想はこんな感じです。これを現実でやるにはどのくらいの速さが必要なのだろうか? 今回は隕石が燃えるメカニズムを使って、ボールが燃える速さを求めてみます。
そもそも、なぜ隕石は燃えるのか? 「空気との摩擦で熱くなって燃える」と聞いたことがあるかもしれない。しかしこの時、同時にもっと熱が発生する現象が起きている。それが断熱圧縮です。
断熱圧縮を簡単に言うと、空気が押しつぶされると温度が上がる現象。このように中の空気を押しつぶしていくと温度が上がります。今回は「圧縮した空気は温度が高くなる」ことを用いてサッカーボールに火をつけたいと思います。
サッカーボールの構造はこんな感じです。今回は表面さえ燃えればいいので、表面に近い素材だけ注目します。使われている素材と発火点は、表面(人口皮革)は、ナイロン500℃、ポリエステル485~510℃、ポリウレタン415~456℃、ポリウレタン層は、ポリウレタン415~456℃で発火します。今回は527℃(800K)で燃焼すると仮定します。
蹴る位置からゴールまでを断熱した筒で覆います。ゴールから10m離れたところから蹴ってみます。
サッカーボールが燃えました。
ちなみに燃えた地点は、ゴールから86㎝手前でした。
こんなに燃えた地点がゴールに近いと、キーパーを置いて、シュートを打つと、キーパーを通り過ぎてから燃えます。
なので、相手キーパーにあらかじめ下がっておくよう言っておきましょう。すると、キーパーの手前でボールを燃やすことができます。
次にこの空気を圧縮するために必要な速さを求めてみます。計算すると、この長さの空気を圧縮するのに必要なエネルギーは約15.8万N・m。
分かりやすく言うと、180㎏の鉄球をサッカーコートの端まで運ぶくらいのエネルギー。スポーツ少女でもちょっとしんどい。
マッハの速さでボールを蹴ると…?
ボールの運動エネルギーが全て空気の圧縮に使われたとすると、秒速836m/s(マッハ2.5)で蹴る必要があります。しかし、これはあくまで10m手前から蹴った時の話です。
筒の長さを変えると、燃える位置や速さは変わってしまいます。ゴールから45m離れたハーフラインから蹴ると、ゴールから3.8mで燃え始めます。
なんとか筒なしのでの速度も求めたい。
流体力学の知識を使います。温度とマッハ数の関係からマッハ2.9の風を受ければ、燃えることが分かりました。つまりボールを秒速981m/s(マッハ2.9)で蹴れば、炎のシュートが打てます。
さっそく打ってみましょう。
マッハ2.9で普通に蹴ります。速い!
相手ゴール前から蹴ります。余裕でゴールです。ちなみにマッハ2.9は、ライフル弾の初速くらい(1000m/s前後)。まさに弾丸シュート!
「ビルを吹っ飛ばしたい」ということで、ビルを軽くしてみます。ビルの重さを1円玉4枚分にしました。
吹っ飛ばせました。
結論、マッハ2.9で蹴れば炎のシュート!
視聴者コメント
・なんか頭良さそうな動画だ…
・思った以上にガチな動画で草
・初めて視聴したけど面白かった
・日向君って、やっぱりすごかったんやなって(フェンスに穴があくシュートを中学生で放ってる)
『【物理エンジン】炎のシュートを打つには秒速何メートル必要か検証』
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