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もはやテラピーの域! 『色づく世界の明日から』の圧倒的クオリティで描かれる色彩美で心をデトックスしよう

 2018年10月から放映中のアニメ『色づく世界の明日から』

 P.A.WORKSが手掛けるオリジナルアニメの本作は、タイトルに“色”がついていることもあり、繊細かつ緻密に描き込まれた色彩が印象的な作品になっている。

 遠景まで描き込まれ、時間による太陽光の変化すらも表現している映像美は、まるで息づいているかのような錯覚を覚えるほど。

 この記事ではそんな本作の魅力的な映像をクローズアップして紹介。

 息を飲むほどに美しい映像はもはやテラピーの域。現代社会で疲れた心も本作でデトックスすれば、ヘレン・ケラーばりの清い心を取り戻せること請け合いだ。

オープニングの映像から。水面の反射光があまりにも美しい。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
オープニングの映像から。光と影のコントラストが澄んだ空気を感じさせる。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
オープニングの映像から。海沿いを走る琥珀。この光、心が洗われる。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

色づく世界に生きる色の見えない少女の物語

 本作のヒロイン、月白瞳美は2078年に生きる少女。幼い頃に色を感じられなくなってしまった彼女は、感情に乏しく成長してしまった。

そんな瞳美を憂いた大魔法使い【※】の祖母・月白琥珀は魔法で瞳美を2018年に送り出す。

※本作の世界では魔法という存在が浸透している。

物憂げな表情の少女。魔法使いの家系だが魔法は苦手。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
瞳美が生まれた時代の琥珀。彼女に送られて瞳美は過去に飛ぶことに。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 60年前に飛ばされた瞳美は,葵唯翔(あおい ゆいと)という青年の部屋に出現。慌てて部屋を出ていくところを写真美術部のメンバーに目撃されたことで、瞳美と彼らの縁が生まれる。

 そしてこの彼の描いた絵は、なぜか色が見えない瞳美にも色彩を感じることができるというから驚きだ。瞳美は彼(の描く絵)に興味を持つのだが……?

60年前の世界で瞳美が出会う青年。写真美術部のメンバーで絵を描いている。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 60年前の月白家に居候することになった瞳美は、マジカルステイとして南ヶ丘高校に編入。

 唯翔の所属する写真美術部のメンバーとの交流で、徐々に瞳美の心境にも変化が生じていく。

色とりどりの魔法が込められた砂、星砂。これを撒くことで簡易的な魔法が発動する。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
カラフルな星砂も瞳美の目には認識できず。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

物語を彩る写真美術部のメンバー

山吹将

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 高校3年生。写真美術部の部長。面倒見がよく、瞳美のことも何かと気にかけている。カメラへの情熱はオタクの域で幼馴染のあさぎの実家の写真館でバイトをしている。

風野あさぎ

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 高校2年生。将の幼馴染で瞳美のクラスメイト。将に想いを寄せている。将が瞳美にかまっているのを見てやきもきすることも。

河合胡桃

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 3年生。後輩に慕われる明朗な性格の人物。怪談の類が苦手。

深澤千草

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 1年生。唯翔のバイトの同僚で、高校入学前から写真美術部に顔を出していた。

月白琥珀

イギリスから帰国した琥珀。佇まいからも快活な印象を受ける。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
失敗することも多々あれど、未来の大魔法使いだけあって魔法は瞳美より得意。
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 瞳美を60年前の世界に飛ばした大魔法使い。瞳美が過去にきた時点ではイギリスに魔法留学をしていたが、未来から瞳美がきたことを知って帰国する。

 2078年の世界では落ち着いた物腰の婦人という印象が強かったが、若き日の琥珀は快活そのもの。

 魔法で人々を幸せにしたいという情熱を持つがたびたび魔法を暴発させてトラブルを起こし、始末書を書かされることも珍しくない。日本に帰国後は写真美術部に入部し、魔法写真美術部に改名することを提案する。

心が現れるような美しい色彩のカットを紹介

切ないモノクロ世界の花火

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 まずは1話冒頭の花火のシーン。色とりどりの花火が打ち上げられ長崎の街を彩るが、色が認識できない瞳美にはモノクロにしか感じられない。

 溢れんばかりの賑やかな色彩と、瞳美の目に映るモノクロの世界のコントラストが切なくも美しい。

色づく世界との出会い

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 色が見えないはずの瞳美だが、唯翔の描いた絵を見た瞬間に世界が色づく。絵から飛び出したサカナが瞳美の視界を色鮮やかに塗り替えていくが、すぐにモノクロの世界に戻ってしまった。

 ちなみに、なぜ唯翔の絵だけ色を感じられるのかはいまだ謎のまま。

圧巻の空と雲

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 夕暮れの屋上で瞳美が唯翔に絵をもう一度見せてほしいと頼むシーン。

 沈みゆく太陽に照らされた空と雲が圧巻の美しさ。ナイル川を挟んだ向こう側に死者の国を見出した古代エジプト人もきっとこんな風景を見ていたのだろう。

やたらと描き込みがすごいヤシの木

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 やたら描き込まれたヤシの木。

 ヤシといえば作画に呪われた樹木の代表格みたいなところがあるが、本作の作画レベルならばこの通り。ヤシに宿る精霊も泣いて喜んでいるのは想像に難くない。

水面に映り込む夜景が幻想的

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 夜間撮影で夜の学校の屋上から長崎の夜景を望むシーン。モデルとなった長崎県立長崎南高等学校の立地から推測すると、正面に見えるのは長崎湾だろう。

 生活感の象徴である街明かりだが、水面に映り込むことでどこか幻想的な雰囲気を醸し出している。

実写に見紛うほどの景色

(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)
(画像は「色づく世界の明日から」第1話~第5話振り返り上映会より)

 琥珀の計らいで唯翔と買い出しに出た瞳美が帰りがけに見た景色。色遣いも相まって実写と見紛うくらいに背景が描き込まれている。

 透明感のある優しく暖かい日差しはもはや心の人工透析。血がサラサラになっていくのを感じられるのは筆者だけだろうか。

瞳美の世界は色づくのか?

 あまりにも美麗な美術や色彩から、筆者の周りでは

「夜飯に食ったギトギトのラーメンが身体の中で七草粥になった」

「ポテトチップスを食いながら見れば実質サラダ」

など完全にデトックス効果があると思い込まれている本作だが、そんな素敵な世界にも関わらずヒロインである瞳美の色彩認識能力には改善が見られないまま。

 第6話で唯翔の言葉をきっかけに一時的に色彩を取り戻したことから、何かしら心因性の原因があると思われるが……。

 また、なかなか色づかない瞳美の視界に反して、友人たちが色気づき出したのも困りもの。第9話では将が瞳美に告白して断られるという青春イベントが発生し、ずっと将のことが好きだったあさぎとギスギスオンラインとまではいかずとも気まずい感じになってしまう。

 圧倒的にメンタルによろしくない波がきている瞳美だが、はたして色を取り戻す日はくるのだろうか。最終的に瞳美は元の時代に帰るのか、もしくは60年前の世界に留まるのかなども現時点ではどうなるかわからない『色づく世界の明日から』。最後まで目が離せない展開になりそうだ。

●Nアニメ『色づく世界の明日から』ページ

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