追求したのは「TRPGのおもしろさを最大限伝えられるか」。シェアの取りかたを研究し、趣味の範囲を超えて動画づくりを目指す理由とは【肉声動画投稿者・まにむさんインタビュー】
趣味の範囲からその先へ
──それが2019年からスタートした新シリーズ「笑い過ぎて一生忘れられないTRPG」と。こちらの動画は、前シリーズとはかなり変化が大きい動画の作りになっています。なにかきっかけが?
まにむ:
2017年の終わりくらいから、YouTubeが動画の投稿ベースとして基盤になりつつあったので、そこから自分もYouTubeでの再生数の取りかたやシェアの取りかたを研究していたんです。
それまでのやりかたでも別に悪くはないんですが、YouTubeには全然合っていないと思ったので。YouTubeに合わせたのが2019年の動画スタイルです。
──YouTubeに合わせたスタイルですと、ニコニコとはどこが違うのでしょう。
まにむ:
更新頻度と、再生時間です。ニコニコはどちらかというとクリエイティブなものを求めているので、2015年の動画はクリエイティブを追求した動画を作りました。それに対していまのYouTubeは、見やすいものを求めているんですよ。視聴者の年齢層も低いので集中力も続かないんです。
集中力の続く時間が、小学生が5分、中学生が10分、高校生で15分程度らしいので、その年齢層に合わせた動画の作りになっています。極端な話、小学生も見られるように、5分以内であっさりとしたものとして。これでしたら1週間に1本ペースで出していけるので。
──2019年の動画は半年からどのくらい短くなったんですか?
まにむ:
作り終わったらすぐに投稿しているので、だいたい1週間です。
──半年と比べるとかなり短くなっていますが、それでも1週間かかるものなんですね……。動画の編集はご自身で?
まにむ:
基本はそうですね。作業を分担すれば、1日1本あげられるようにはなると思うんですが。ひとりでやろうとすると1週間になってしまいます。
──それをほかの方に依頼されない理由ってなにかあるんですか?
まにむ:
じつはいまは少しずつ人に頼むような体制を築こうとはしているんです。文字の打ち込みであったりとか、BGMの選曲とか編集とか。ただ、人に作業をお願いするということはその分の報酬をお支払いする必要はありますよね。
単に趣味の範囲で作るのであれば今の状態でも問題ないのです。もしYouTubeの流れに乗るのであれば、いろんな人と協力して投稿頻度を上げる必要があります。そこにはお金が必要で、趣味の範囲を超える動画づくりになると思います。悩みどころですが。
──悩んでいる理由をお聞きしても?
まにむ:
いろんな人と協力して毎日投稿出来るようになったら、毎日動画作らないといけないじゃないですか(笑)。
──(笑)。
TRPGというジャンルの最高潮はこれから
──2019年からガラリと活動サイクルが変わったまにむさんですが、今後の目標は?
まにむ:
結局は毎日投稿ですね。そのためには、自分の考えかたを変えたり、生活スタイルを変えたり課題は多いですが。そうした課題を乗り越えて毎日投稿出来るようになれば、今よりさらにより多くの人たちに動画を知ってもらえるようになると思うので。
──なるほど。最後に、インタビュー定番の質問になりますが、ファンの方へメッセージをいただけないでしょうか。
まにむ:
ファンの方へのメッセージとは違うかもしれませんが、もっと多くの方がTRPG動画を作るようになっていってほしいです。
──ほう……それはどういう意図が。同ジャンルの投稿者が増えることって純粋にライバルが増えることだと思うのですが。
まにむ:
そのほうが楽しいじゃないですか! やっぱり張り合いがないとモチベーションも上がってこないんです。2015年に動画投稿を始めた当時、ニコニコの総合カテゴリ1位はものすごい高いハードルだったんです。それこそ半年かけてクオリティを追求した動画を出しても1位に届かないケースもあるほどで。
でも、当時の有名な投稿者のほとんどが、今はもうニコニコ動画に投稿しなくなっていて、ランキングの競争率が低くなってるように感じます。だから動画投稿がどんどん増えて、競い合い、盛り上がってほしいです。
ニコニコ総合1位、TRPGジャンル1位がもっと高い壁なのであればモチベーションも高まるし、なにより競い合うライバルがいるとやっぱり楽しいですよね。
──TRPG界隈全体が盛り上がってほしいと。まにむさんの視点から見ると、TRPGというジャンルの盛り上がりっていつくらいがピークで、いまはどのくらいの熱量なんでしょう。
まにむ:
TRPGはまだまだマイナーなジャンルで、最高潮はまだきていないと僕は思っています。いま主戦場であるYouTubeは、1日で100万再生を取る世界で、自分の動画はそこにはぜんぜん届いていないですし、ランキングにすら入っていません。だからまだピークが来てないジャンルだと言えるんです。
そこを目指すためには、認知度を高める瞬間を作りながら“数”を増やしていく必要があると思うんです。そうして、YouTubeでも上位に食い込むようになったときが、TRPGの最高潮になるのかなと。それこそ自分は一時期のブームを捨ててしまったので、そこにたどり着くためにもっと伸ばす努力をしていきたいです!
──ありがとうございました!(了)
TRPGというジャンルに「最高潮はまだきていない」、そこにたどり着くために趣味の範囲を超えて動画制作に取り組もうとしているまにむさん。現在の目標は、動画を毎日投稿し、今より多くのひとたちにTRPG動画を知ってもらうことだと語る。
どのような動画が流行り、どのような動画が再生数につながるのか、綿密な研究のもと、それを動画制作へと落としこんでいく。“動画制作にひたすらストイックに向き合っている”というのが、取材を通してまにむさんに抱いた印象だった。そしてその研究がしっかり再生数という結果につながっているのが、まにむさんの“すごさ”なのだろう。
本記事では、まにむさんとTRPG動画との歩みを振り返ってきたわけだが、ゆっくり動画投稿者であるダニエルさんへのインタビュー記事も同時掲載しているので、ゆっくり動画サイド、肉声動画サイドにおいて、それぞれどのような違いがあるのかの対比も合わせて楽しんでいただけたら幸いだ。
TRPG動画 連載企画 |
1.動画データをもとにTRPG動画の歴史を振り返る(記事はこちら) |
2.ゆっくり動画投稿者インタビュー ダニエルさん(記事はこちら) |
3.肉声動画投稿者インタビュー まにむさん(本記事) |