朝鮮学校って実際どんなところ? 卒業生にあれこれ聞いてみたら「ネイティブな朝鮮語を話す先生は居ない」など想像と色々ちがっていた件
スーパーマリオブラザーズをフィーチャーした曲『B-DASH』でスマッシュヒットを飛ばしたトンガリキッズのニポポ氏。潜入ライターとしても活躍するニポポ氏が北朝鮮へ取材旅行へ行った詳細を語る『ガチ潜入してみた 北朝鮮の真実』がニコニコ生放送で配信されました。
今回は“第九章”としてゲストに北朝鮮出身の父と、在日韓国人二世の母を持つライター・安宿緑氏を迎え、お話を伺いました。日本語しか話せない子供が、卒業する頃にはハングルを話せるようになる朝鮮学校の教育方法について、朝鮮学校のエリートコースを卒業した安氏が解説します。
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朝鮮学校の言語教育「1年生はまったく喋れない」
ニポポ:
安さんは、学校はどういった経歴で卒業したんですか。
安:
いわゆるエリートコースと言われるコースなんですけれども(笑)。ここでハッキリしておきたいのが、朝鮮学校のエリートコースといっても偏差値的には本当に大したことないんですよ(笑)。私は、朝鮮幼稚園から通っていました。
ニポポ:
いわゆる朝鮮学校は、高校と大学は有名じゃないですか? だから、それより下の年代の学校ってどうなのかな? たまたま僕が国道で車を運転していたら、すごい勢いで幼稚園バスにブワーっと追い抜かれた。
幼稚園バスかな? と思ったらハングルが書いてあって、マジかよ!? って思った(笑)。
安:
不用意なバスだな。
ニポポ:
やっぱり、あるんだ!
安:
ありますね。今はもう縮小されちゃったんですけど、私の時代は朝鮮幼稚園があった。でも、朝鮮幼稚園と言っても3、4歳の子供がいきなり朝鮮語をしゃべるようになるわけがないから……。
ニポポ:
そうだよね。
安:
近くに色々なインターナショナル幼稚園があるんですけど、別にそこの幼稚園生は英語をしゃべってないし(笑)、そんな感じなんですよね。
ニポポ:
なるほど、所謂そこで言語教育があるわけではない?
安:
そうですね、感覚的なものを教育するというか。
ニポポ:
そっちなんだね。
安:
とりあえず先生は、日本語と朝鮮語をしゃべって言葉に慣らすというか。
ニポポ:
両方使って、馴染ませていくみたいな?
安:
ほとんどは日本語で、ところどころに朝鮮語を挟んでくる感じです。すると小学校に上がったら、まったく抵抗はなかったです。でも、小学校1年生の時点ではまったくしゃべれないですよ。
ニポポ:
小1レベルだと、まだ挨拶がわかったりするくらい?
安:
そうそう。
ニポポ:
挨拶や食べ物の名前がわかったりする感じだけれども、しゃべったり日常会話ができるわけではない、と。
安:
そうそう。本格化するのが、小学校2年生くらいかな、そこから本格的にしゃべれるようになる。
ニポポ:
小学校2年生から?
安:
そうですね、しゃべれない人もいるけど。
朝鮮学校では、全ての科目を朝鮮語で教育
ニポポ:
いわゆる日本語の読み書きにプラスして、ハングルの読み書きがスタートする?
安:
そうですね。科目も日本の学校でいう国語が、我々はハングル。それと別に、日本語の授業があるんですよ。
ニポポ:
第二外国語みたいなレベルだね(笑)。小学校のそんなレベルから、本格的にしゃべらせようという気が満々だね。
安:
そうですね。
ニポポ:
そんな教育だと、言語に対する理解力って結構上がるんじゃないですか。
安:
そうですね、算数は日本語で覚えます。イマージョン教育というのをやるんですよ。
ニポポ:
イマージョン教育?
安:
すべてを覚えるべき言語で教育する、というのをやっています。だから、日本語以外の科目は全部朝鮮語でやります。
ニポポ:
なるほど!
安:
別に反日的な意味じゃなくて、言語発達的に日本語禁止なんですよ。日本語を一言でもしゃべったら、最後に放課後みんなで“総括”をするんですけども……。
ニポポ:
総括っていう言葉がいいね!
安:
「今日は朝鮮語率、何%だった?」みたいな。
ニポポ:
なるほど、「あいつのせいで85%だよ!」 みたいなね(笑)。
安:
めちゃくちゃ日本語を使っちゃった人は、75%とか。
ニポポ:
なるほどね(笑)。
安:
完璧に朝鮮語を使った人は99%や100%というふうに自己申告をするんですけどね。
ニポポ:
なるほど。
安:
でも、弊害もあります。言語学的に、第二言語と母語がある場合、必ず第二言語は、母語の干渉を受けるんですよ。
ニポポ:
そりゃそうだね。