『ウォーキング・デッド』や『ブレイキング・バッド』、ハイクオリティな海外ドラマの流行が招く“映画産業の終焉”とは。1話製作に6億円をかける作品も
動画配信メディアの隆盛によって日本のアニメはどうなるのか
岡田:
こういう流れの中でNetflixが日本のアニメスタジオに大金を投じてアニメを作らせようとしているんだけど、これについては今のところまだ大きい成果は出ていない。今、いわゆる”チャイナマネー”と呼ばれる中国からの資金が山のようにいっぱい来て、日本のアニメスタジオが潤っているという状況なのですが、まだまだこれが製作されるアニメーションの質とか面白さにあまり影響を与えてはいないのです。
岡田:
なので、今はまだNetflixが大量にお金をかけたからといって、ドラマにしてもなんにしてもそんなに面白いものは出来ないというふうにも見ている人も多い。だけど、たぶんこれも数年のうちに大きく変わってくるだろうと思います。
いや、数年のうちにというか、来年にも大きく変わってくるんじゃないかな。 来年の春には湯浅監督がNetflixで作っている『デビルマン』の新作アニメの公開もある。本当に大きく変わってくるんじゃないかなと思います。
二極化していくこれからの映画
これからの映画は、”低予算の安物”と、Netflixとかの配信作品ではかなわない、『スター・ウォーズ』みたいな1時間あたり100億円、2時間200億円くらいかけた”豪華一点もの”に二極化していくのではないかと思います。
岡田:
かつて栄華を誇った大エンターテイメントが落ちぶれるときというのは、チープ化と高級化に走るという法則があります。これ、昔の日本映画もそうで、邦画がダメになっていった時期というのは、超大作とくだらない映画とに二極化していって、その中間の全体の質を保つ作品がなくなっていった。
同じように紙の漫画もダメになっていくときというのは、コンビニで売っているようなダメ漫画と、あとは超名作みたいなものとに二極化していく。どちらの場合も超名作が残っているから「まだまだ邦画も、まだまだ漫画もダメになってない!」と言う人が出てくる。
だけど、何かがダメになっていくときいうのは、黄金期には活性化していた「こんなのが毎週見られるなんてすげえ!」というようなしっかりとした中堅層というのが、ズボッと抜けていく。今の日本のお笑いタレントの話をしているみたいになってきたけど、まあ、そんなもんだと思うんですよね(笑)。
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