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元日なので天皇陛下がお乗りあそばされる『御料車』の知られざる歴史を解説してみた

竹田氏はミラーの位置が残念だった

竹田:
 全然変わってないとか記事で言ってるけども、だいぶ印象は変わりました。御料車に慣れてるからそっちのほうで惹かれるかもしれませんですけども。

 私ちょっと残念なことが一箇所あるんです。センチュリーというのはトヨタが作っている車で唯一「フェンダーミラー」だったんですよ。ミラーがここに付いてる。

「フェンダーミラー」は、車体の前方、ちょうど竹田氏が指を指しているあたりに設置されたミラーのこと

竹田:
 今ねサイドミラーといって、ここ(左右)に付いているじゃないですか? 運転席のすぐ脇に。前の方にサイドミラーが付いているっていうのをフェンダーミラーって言うんですけども。タクシーはそこなんです。
 ただ一般に販売する車で前にミラーが付いているのは、トヨタではセンチュリーだけなんですね。他の車はどんどん後ろの方にミラーが付くようになってしまったわけですよ。でもセンチュリーだけはフェンダーミラーだったんです。今回これ見て私「ついにセンチュリーもフェンダーミラーをやめてしまったのか」と思ってですね、ちょっと残念な気になりました。だって遠いだもんって?

スタッフ:
 見やすいですよね。

竹田:
  見やすい。そうなの。運転してると、左右にミラーがあるとこう見なきゃいけないわけ。ところがフェンダーミラーだと首を動かさなくていいんだもん。視線ちょっと移すだけだから。

竹田:
 車線を移る時も一応後ろを見てミラー見て目視するでしょう? だから後ろを見てからミラーを見て行けるか行けないかを判断できるわけです。そして本当に行く時に最後に目視ってことになるので、首の動きとか少なくてすむんですね。
 だからタクシーは前なんですよ。朝から晩まで運転してるから、少しでも運転手の負担を軽減さしたいということでフェンダーミラーなんですね。今、一般自動車を改造したようなタクシーもありますから、それらはここ(左右)に付いてますけども、普通はこう(前)なんですね。

 ですから、このセンチュリー、ちょっと残念な気がするんだけどな。たしかにスッキリはするんですよ、見た感じは。前の方に出てると目立ちますからね。外観もね。でもなんか「フェンダーミラー=センチュリー」みたいな印象はあったのでね。
 教習所もそうだったかな? ミラーが近いと視野が広くなるから、初心者的にはその方がいいのかな。

スタッフ:
 軽く見えますね。デザイン的に。

竹田:
  軽く見える? デザイン的にね、左右にあるとね。前にあると重厚感があるんですよね。センチュリーの場合は助手席の人が見るサイドミラーも付くんですよね。サイドミラーの上にサイドミラーが付いてて、助手席の人も運転手も見られるっていう。まあそれはVIPが乗ってる車ですけどね。

御料車の歴史を振り返る

竹田:
 天皇陛下が乗ってらっしゃるセンチュリーロイヤルについて話をしようと思います。もともとですね、天皇陛下がお乗りになっている車というのは最初ずっと外車だったんですよね。

 一番最初に導入したのは大正元年です。初代御料車イギリスのダイムラーランドレーというね。日英同盟を結んでましたから、イギリスのダイムラー社から買ったわけですね。
 日本にはその時、ちゃんと天皇陛下に乗っていただくような自動車がなかったですから。

初代御料車と同型の、イギリス王・ジョージ5世が使用した車
Image by Flickr upload bot.  Licensed under the terms of cc-by-2.0.)

竹田:
 次に大正10年にはロールスロイスを買ってます。これは2代目ですね。これもイギリスの車ですね。平成に入りますと、ロールスロイスのオープンカーを導入されて、これは天皇陛下の御即位の大礼の時にに使われましたよね。

1924年の、皇太子裕仁親王と良子女王との結婚の儀における御料車
(画像はWikipediaより)

竹田:
 ちょっと今回センチュリーロイヤルのオープンカーも作ってほしいな。天皇陛下のね、御即位のパレードの時に。ロールスロイスでもいいけど、やっぱりセンチュリーロイヤルのオープンカー作ってほしいよね。
 馬車はもちろん使われてますよ。美智子様ね、皇后陛下が入内なさった時は馬車のパレードありましたけども。今はないですよね。今は車になってしまいましたね。皇太子殿下の御成婚の時のパレードにもロールスロイスのオープンカーが使われています。

 次に昭和の時代、昭和天皇がずっと乗ってらしたのはドイツ車、昭和に入るとドイツ車になるんですね。やっぱり日独伊三国同盟ですわ。昭和7年に導入されたのが、3代目のメルセデスベンツです。そして昭和15年には日独伊三国同盟が締結されるということです。昭和天皇が終戦後に巡幸なさいますけども、その時に一番使われたのがこのドイツ車ですね。昭和43年まで御料車として使われていたということです。

元・日本皇室御料車の「メルセデス・ベンツ770」。メルセデス・ベンツ博物館に展示されている
Image by Kobac.  Licensed under the terms of cc-by-2.0.)

竹田:
 そして4代目の御料車は昭和26年のゼネラルモーターズ製キャデラックです。占領下だったので、今度はアメリカ製になるわけですよ。日英同盟でイギリス車、日独伊三国同盟でドイツ車、そして今度はアメリカの占領を受けてアメ車に変わるわけです。
 (コメントを見ながら)牛歩なら山本太郎? あ、牛車がね、牛が引く牛車が一番位が高いんですけどね。でも、山本太郎には引かせたくないね(笑)。そして、国産の車が使われるようになったのは昭和42年ですよ。

1951年に導入された「キャデラック・75リムジン」と同型の車
Image by Lglswe.  Licensed under the terms of cc-by-3.0.)

竹田:
 日本の自動車産業もずっと成長を遂げていって、いよいよ天皇陛下の御料車、つまりキャデラックでもなくロールスロイスでもなくベンツでもなく、これでいけると初の国産御料車が使われるようになりました。
 プリンス自動車と日産自動車が合併するんですけども、最初はプリンスという会社が作って納入してましたプリンス・ロイヤルですね。なんでインペリアスじゃないんだ? っていう話ありますけども、それは置いといて(笑)。
 なかなかおしゃれな車でしたよ、プリンス・ロイヤル。ずっと昭和天皇が乗ってらっしゃいましたよね。

1967年に導入された「日産・プリンスロイヤル」
Image by Coptic Light.  Licensed under the terms of cc-by-4.0.)

竹田:
 プリンス自動車工業と日産自動車が合併してからは、日産ロイヤルと言われていました。プリンス・ロイヤルというのは外国で作っていた御料車を、とにかく日本で作るんだということでですね。日本の工業の発展を象徴するような出来事でした。
 有名なところでいうと昭和天皇の大喪の礼の時にプリンス・ロイヤルの霊柩車があります。これが使われています。それから現在の天皇陛下の御即位の礼の時もプリンス・ロイヤル使われています。それからエリザベス女王みたいな要人がいらした時にもプリンス・ロイヤルは使われています。

そして6代目、トヨタ・センチュリーロイヤル誕生

竹田:
 そして長い間昭和42年からずっとプリンス・ロイヤルが使われていたんですけども、6代目でようやく今度はトヨタに変わるんですね。日産が結構経営状態が悪くて。やっぱり御料車の納入って、何台かあるだけですから、そのための専用の部品とか作ってて、どえらい赤字だったみたいですね。一般に販売するもんじゃないから。そしていよいよ持ち堪えれなくなってトヨタに変わった。これも時代の流れです。

竹田:
 初めてトヨタが御料車を納入したのが平成元年ですね。これは一般的に売られているのと同じトヨタセンチュリーでした。ですから通常の御公務は、現在でも普通のトヨタセンチュリーが使われています。センチュリーが導入されたあとも国会の開会式とか、重要な御公務での御料車は、日産・ロイヤルが使われていました。
 ところが、日産プリンス・ロイヤルの老朽化が進んでついに置き換えられることになったんですね。その時にトヨタが開発したのがトヨタ・センチュリーロイヤルだったわけです。トヨタセンチュリーは一般に売られている車だから。

 だいたい一台5000〜6000万円って言ってたかな。でも本当にこれは破格ですよ。だって数台しかないんだから。たぶん原価割り出して売ったとしたら、2億円してもおかしくない。もっとしてもおかしくない。よく5000〜6000万円で抑えられえた。高い高いと言うアホがいますけども、ロールスロイスだって1億とかするわけですよ。私が乗ってるロールスロイスだって、新車で買ったら7000〜8000万円ですよ。私はもっと安く買いましたけども。5000万、6000万以上の車なんか、東京ではあちこち走ってますから。
 しかも天皇陛下が乗るしかも特注品ですからね。数台しかないわけですよ。これが5000〜6000万円ぐらいで納入されるというのは、トヨタよく頑張ったなと思いますけどもね。
 そして平成18年からセンチュリーロイヤル。これが導入されまして順次置き換えられていきました。平成18年の9月28日に臨時国会に陛下が行幸なさった時から使われるようになりして、現在は寝台車を含む4台体制で運用されています。

竹田:
 センチュリーロイヤルは全長が6m超えます。6.1m。普通の車が5mぐらいですから普通の車より1m長いんですね。だからセンチュリーロイヤルというのは最初からリムジン仕様なんですね。2.9tですからね。8人乗りです。
 内装には和紙とか天然木とか使われましてね。それから座席には毛織物、乗降ステップには御影石を使って、日本固有の歴史や文化といったものを表現するようになっていると。
 あと窓枠の位置とかシートの硬さが両陛下がお手振りをしやすいような作りになっているそうです。ちょっと興味ある方は後程プリンス・ロイヤル、それからトヨタ・センチュリーロイヤル、天皇陛下の御料車がどんなものか見ていただければありがたいなと思います。

スタッフ:
 プリンス・ロイヤルかっこいいですね。

竹田:
  かっこいいでしょう? なかなか味があってかっこいいんですよ。あれは市販されなかったからね。もちろんセンチュリーロイヤルも市販されてないんですけども。あれが通ると鳥肌が立つレベルですね。またセンチュリーロイヤルはプリンス・ロイヤルとは違う趣があるんですけどもね。
 私もセンチュリーロイヤルを目の前で拝見したのは1回ですね。天皇陛下はだいたい普段、日常的には普通のセンチュリーに乗ってらっしゃるんですよ。そして国会への行幸とか、国務をなさる時などの正式なお出かけの時にしか出さないんですよね。私は皇居で一度だけ見ましたけどね。

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