ツッコミどころ満載な北朝鮮の”建設事業”「従業員が弁当箱にセメントを詰めて盗む」「エレベーターが動かないから高層階は不人気」
北朝鮮の潜入ライターとして活躍するニポポ氏が、3月14日放送の「高英起(コウヨンギ)×ニポポ【北朝鮮のアウトロー・裏社会の役割とは】」にて、在日朝鮮人2世のジャーナリストで、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」の編集長を務める高英起(コウヨンギ)氏と、北朝鮮における「建設事業」について言及。
軍人でありながら建設業務を担う“突撃隊”の存在や、建設員が弁当箱でセメントを盗み、水増しして密売するなど、日本では信じられないような建設事業の実態が明らかになりました。
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マンションを建設する“突撃隊”の存在
ニポポ:
北朝鮮にも悪い奴は色々いると思うんですけれども。
高:
やっぱり一番は“ゼネコン”じゃないですか。建設ね。
ニポポ:
これは深い(笑)。
高:
うん。これはゼネコン関係者の方にちょっと失礼かもしれないけど、良くも悪くもゼネコンというのは、動く金が大きいですから、やっぱりそういうのがはびこるじゃないですか。
例えば北朝鮮で平壌の高層アパート街「黎明通り」とか、ああいう所のマンションを建てようと思ったら、ものすごいビッグプロジェクトなわけじゃないですか。ちょっとかかるだけで、ものすごい上がりが取れるわけでしょ。で、例えば資材とかというのも、ほとんど中国から輸入してるやつなんですよね。
ニポポ:
なるほど。
高:
そのブローカーをやるだけで、相当なものなんですよ。
ニポポ:
それでちょっと、頭の中であのシーンはあれだったのかと繋がっちゃったところがあるんですけど。僕、観光客しか見せてくれないようなところももちろん歩くんですけど、意外と「こっちは見ちゃいけないよ」っていう所とかあるじゃないですか。
高:
ありますよね。
ニポポ:
そこでいわゆる、「お前とお前とお前、来い!」みたいな感じで、一般市民がいきなり呼ばれて、「えー?」みたいな感じで、いきなりビル建設とかさせられてたんですよ。
高:
そうそう。
ニポポ:
あれは役所の人がやってるんじゃなくて、いわゆるその下請けがまた下請け、孫請けに出してっていうので、そこら辺の人を働かせているっていうことだったんですかね?
高:
そういうパターンもあるけど、基本的には“突撃隊”というのがあるんですよ。
ニポポ:
突撃隊っていうんだ、あれ。
高:
そう。“トビ労”って言ってるんですけど、比較的ちょっと裕福じゃない人達がそこに行って、建設労働とかするんですよね。基本的に北朝鮮の軍隊って、よく120万人から140万人くらいって言われてるんですけど、数だけいうと確かにすごい規模なんですよ。
ニポポ:
ええ。
高:
実際に本当の意味での戦闘部隊っていうのは、恐らく30万人か40万人くらいでしょうね。
ニポポ:
それでもすごい数ですよね。
高:
ほとんど何やってるかっていったら、建設部隊なんですよ。
ニポポ:
なるほど。
高:
建設労働か農作業か大体どっちかですよ。
ニポポ:
自衛隊が雪まつりの石像作ってるような感覚ですかね?
高:
そうですね。ただやっぱり、軍隊っていうのは、そういう組織的な動きっていうのはすごいしやすい。
ニポポ:
統率もとりやすいですからね。
高:
だから、被災地に自衛隊が行くのは何でかっていったら、彼らは例えば行って、ある程度のそれを復旧だったり、そこに何かを作ったりとか、建物を直したりっていうことができる動力というのを持っている。基本的に自衛隊を軍隊って言ったら駄目なんですけども、いわゆる軍隊という組織だから、ある意味それはそうならざるを得ないんですよね。これはどこの国でもそうですよね。
ニポポ:
そりゃそうですよね。それはもう北朝鮮でも当然そうですよね。
高:
そうそう。それで、「持っている能力をなぜ活かさないんだ?」 っていう話ですよね。そんなところでドンパチやって、銃撃って勿体無いお金を使うんだったら、そいつらは20代で若いんだから、働かせろ! っていうことですよ。
ニポポ:
なるほど。
高:
巨大な公共事業みたいなもんなんですよ、あれは。
ニポポ:
そうか。それでいきなりあの人達は働かせられてたわけなんですね。
高:
そうなんですよ。だから皆さん軍服着てたでしょ。
ニポポ:
着てました。そこで繋がったなと思いましたね。
高:
3年くらい前に、とある建設現場で建物が崩壊しちゃったんですよね。
ニポポ:
ああ、ありそう。
弁当箱でセメントを盗む!?
高:
それで、崔富一(チェ・ブイル)という朝鮮労働党の中央の、日本でいったら内閣に相当するような一人の人物が、人々の前でわざわざ謝罪をしたんですよ。
ニポポ:
そんなことあるんですね。
高:
あるんです。それは何故かと言ったら、これが面白いんですけども、建設現場でみんなが弁当箱にセメントを詰めて盗んで行くんですよ。で、それを業者に横流しする。だから、セメントの強度がなくなって(笑)。
ニポポ:
そうか、水で増やしておけ! って言って(笑)。
高:
そう、砂を増やしておけ、と言って(笑)。
ニポポ:
やっちゃだめでしょう、それ。
高:
そこで小遣い稼ぎをするっていう。
ニポポ:
なるほど(笑)。
高:
これが北朝鮮の現実なんですよ。それだけ北朝鮮の庶民というのは、やっぱり生き残るのに必死。庶民の頑張りという話を聞いたら、ちょっと嬉しくなりますね。「いやぁ、頑張ってるなぁこの人ら」って思って。北朝鮮の人々が好きになりますね。
ニポポ:
庶民が(笑)。国家じゃなくてね。
高:
好きですよ、僕は。
ニポポ:
僕もなんですよ(笑)。